キユーソー流通システム(9369)2026年11月期 第3四半期決算分析――本業2つの減益が気になる

キユーソー流通システム(9369)2026年11月期 第3四半期決算分析――本業2つの減益が気になる 決算を読む

冷やしたまま運ぶことを仕事にしている会社

キユーソー流通システムは、食品の物流の会社です。食品メーカーが作ったチルドや冷凍の食品を倉庫で預かり、温度を保ったまま、スーパーやコンビニ、外食の店まで届けています。

冷蔵ケースのヨーグルトや、冷凍庫のおかずは、工場を出てから棚に並ぶまで、一度も温まってはいけません。その途中の倉庫とトラックを受け持つのが、この会社の仕事です。

事業は3つに分かれています。いくつものメーカーの荷物をまとめて運ぶ共同物流、特定の取引先のために倉庫や車をそろえる専用物流、それに倉庫の施設工事や海外の仕事を含む関連事業です。海外ではインドネシアで取引を広げていて、この9月にはインドの低温物流の会社を子会社にしました。

売上は伸びて、利益は4つとも前年を下回りました

2026年9月30日に出た第3四半期の決算です。2025年12月から2026年8月までの9か月の累計です。

今回前年同期増減率
売上高(営業収益)1,562億4,500万円1,506億9,500万円+3.7%
営業利益44億700万円44億5,100万円△1.0%
経常利益35億9,000万円37億6,800万円△4.7%
純利益18億3,300万円20億8,100万円△11.9%

営業利益はほぼ前年並みです。そこから下へ行くほど減り方が大きくなり、純利益は1割以上減りました。

伸びたのは関連事業で、柱の2つはそろって1割近い減益でした

添付資料の8ページと9ページに、事業ごとの数字が前年と今年で並んでいます。

事業営業収益前年比利益 今回利益 前年前年比
共同物流1,046億5,900万円+2.5%20億1,200万円22億3,100万円△9.8%
専用物流299億8,500万円+0.5%10億800万円11億1,400万円△9.5%
関連事業216億100万円+15.5%13億6,300万円10億8,000万円+26.3%

営業収益は外部の取引先に対するものです。

売上の3分の2を占める共同物流で、利益が1割近く減っています。専用物流もほぼ同じ減り方でした。

全社の営業利益がほぼ前年並みで済んだのは、関連事業が伸びたからです。利益は共同物流で2億1,900万円、専用物流で1億600万円減りました。その分を、関連事業の2億8,300万円の増加でほぼ埋めています。

しかも関連事業は、インドの会社を買うための一時的な費用を抱えたうえでこの数字です。伸びている場所ははっきりしています。ただ、それは柱ではないほうの事業です。

純利益の減少は、大半が外の株主の取り分でした

営業利益が1%減なのに、純利益は1割以上減っています。どこで差が開いたのか、損益計算書を下へたどりました。

経常利益までの減少は1億7,800万円です。支払利息は9億円から9億3,400万円へ増えました。前年に無かったデリバティブ評価損も7,800万円出ています。ただ、固定資産の売却益などの特別利益が増えて、この減少をほぼ埋めていました。

実際、税金を引いたあとの四半期純利益は、25億4,800万円から25億円へ。4,800万円しか減っていません。……純利益の減り方は、ここまでの数字からは出てこない。

差が開いたのは、その下の行です。非支配株主に帰属する利益が、4億6,600万円から6億6,600万円へ増えています。増えた額は2億円です。子会社の利益のうち、ほかの株主に帰る分です。親会社の株主の分は2億4,800万円減っています。そのうち2億円がこの行の増加なので、減少の約8割はここから来ていることになります。

どの子会社の利益が増えて、外の株主の取り分が膨らんだのかは、決算短信には書かれていません。9月に子会社にしたインドのColdrush社も、持っているのは51.6%で、残りの半分近くはほかの株主のものです。そこが稼げば、その分は同じ行に入っていく形になります。

借入を増やして、車両と土地を増やしています

私が短信でいちばん先に探すのはキャッシュ・フロー計算書ですが、今回は注記に「作成しておりません」とありました。第3四半期では作らない会社も多い書類です。代わりに貸借対照表の動きを並べます。

科目2025年11月末2026年8月末
現金及び預金45億2,900万円76億3,700万円
短期借入金153億1,400万円181億7,200万円
長期借入金282億2,600万円334億200万円
有形固定資産818億300万円851億300万円

借入は9か月で合わせて80億3,400万円増えました。有形固定資産の増加は、機械装置及び運搬具と土地が中心です。減価償却費も54億3,500万円から60億8,400万円へ増え、営業利益より大きい額になっています。車と倉庫を持って回す商売の重さが、この一行に出ています。

Coldrush社の取得に払った28億5,300万円は9月1日の取引で、8月末の貸借対照表にはまだ入っていません。8月末に現金が増えていたのは、その支払いに備えた分なのかもしれません。

会社の説明は「運送・倉庫のコスト」と「労務費」

減益の理由を、会社は短信の中で書いています。共同物流は「運送・倉庫のコストや労務費などの費用増加」、専用物流は労務費の増加に加えて「退職給付制度の導入に伴う費用計上」です。どちらも売上は「適正料金施策」、つまり料金の引き上げで増えたとしています。

これはそのまま受け取ります。理由は、損益計算書でも営業原価が51億3,100万円増えていて、売上の増加55億5,000万円をほとんど食っているからです。

ただ、1つ分からない点があります。新しい退職給付制度の費用がいくらだったのかは、短信には出てきません。一度きりの費用なら来期は軽くなりますが、制度として毎年かかる費用なら、専用物流の減益は続く種類のものです。

残り3か月は、売上を前年より減らす置き方です

通期予想9か月の実績進捗残り3か月前年の同じ3か月比
売上高2,050億円1,562億4,500万円約76%487億5,500万円約6%減
営業利益57億円44億700万円約77%12億9,300万円約9%増
経常利益44億円35億9,000万円約82%8億1,000万円約23%減
純利益21億円18億3,300万円約87%2億6,700万円約53%減

約の付いた数字は、表紙の通期予想と前年の増減率から私が出したものです。

9か月で4分の3という目安を、4つとも超えています。そのうえで売上は、9か月では前年を上回っているのに、残り3か月だけ前年を下回る形になっています。

予想は2026年1月8日に出したまま、変えていないと短信に書かれています。なぜ残りの売上を減らす形のままなのかは、短信には書かれていません。表紙には補足説明資料も説明会も「無」とあり、手元で確かめられたのは短信だけです。私は、年初の予想を直さずに置いているだけだと見ています。理由は、4つとも進捗が4分の3を超えているのに、予想のほうが一度も動いていないからです。

私はどう読んだか

純利益の1割減は、数字の見た目ほど重い話ではないと考えています。減った分の8割は、子会社のほかの株主に回った分だからです。

私が重く見ているのは、共同物流と専用物流の減益のほうです。理由は、料金を上げて売上を伸ばしても、運送・倉庫と人の費用がそれを上回っているからです。しかもそれが、売上の3分の2を占める事業で起きています。伸びている関連事業とインドの新しい子会社は、利益の半分近くを外の株主と分け合う形になります。柱の2つが戻らないかぎり、親会社の株主に残る利益は増えにくい、と私は受け取りました。

出典:決算短信(会社発表)

財務・業績情報|IR情報|KRS|株式会社キユーソー流通システム

外の株主の取り分が2億円増えたのが、どの子会社の利益によるものなのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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