使用済みのトナーを回収して、詰め直して売る会社です
コピー機やプリンタに差し込む、あの黒い箱を作っています。空になったものを回収し、中を洗って部品を替え、粉を詰め直してもう一度売る。純正品より安く買えるので、印刷の費用を抑えたい会社の総務や購買が入れ替えます。仕入れて転売しているのではなく、自社の工場で作って直接売っているところが、この会社の言い分です。
もう一つの柱がITソリューションです。パソコン、セキュリティ機器、ネットワーク、複合機を売り、紙の書類を電子に変えるスキャニングも請け負っています。トナーを買ってもらっている相手に、パソコンも売る。窓口が同じ総務なので話が早い、という組み立てです。文具や事務用品、オフィス家具も扱っています。
売上も利益も、そろって過去最高でした
10月2日に出た通期決算です。対象は2025年8月21日から2026年8月20日までの1年。
| 項目 | 今回 | 前の期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 201億9,200万円 | 189億2,700万円 | +6.7% |
| 営業利益 | 5億5,700万円 | 4億2,600万円 | +30.8% |
| 経常利益 | 6億4,800万円 | 5億1,500万円 | +25.9% |
| 純利益 | 4億8,900万円 | 3億3,200万円 | +47.4% |
4つとも過去最高だと会社が書いています。売上が7%弱しか増えていないのに利益が3割増えているので、中身を見にいきました。
増えた純利益の3割は、税金が軽くなった分でした
損益計算書を上から下まで並べ直すと、こうなります。
| 税金を引く前まで | 前の期 | 今回 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 4億2,671万円 | 5億5,798万円 |
| 営業外の収支 | 約8,856万円 | 約9,092万円 |
| 投資有価証券の売却益 | 4,605万円 | 8,066万円 |
| 特別損失 | 1,241万円 | 10万円 |
| 税金を引く前の利益 | 5億4,998万円 | 7億2,946万円 |
| 法人税など | 1億7,778万円 | 2億3,990万円 |
| 純利益 | 3億3,219万円 | 4億8,955万円 |
約の付いた2つは、営業外収益から営業外費用を引いた私の計算です。ほかは短信の損益計算書に載っている数字で、表紙の業績表より細かい単位になっています。
税金を引く前の利益は1億7,947万円増えました。これに対して法人税などの増え方は6,211万円です。税金を引く前の利益のうち、純利益として残らなかった割合を出すと、前の期が39.6%、今回が32.9%。
前の期と同じ39.6%がかかったとします。すると今回の税金は2億8,886万円、純利益は4億4,059万円になります。実際は4億8,955万円なので、差はおよそ4,900万円。純利益の増加分1億5,736万円のうち、3割ほどがここから出ている計算です。会社は決算説明資料で、賃上げ促進税制の税額控除と政策保有株式の売却益を挙げています。売却益のほうは前の期より3,461万円増えました。
手形が電子に替わっただけのところと、そうでないところ
営業活動のキャッシュ・フローが、2億6,457万円から10億2,083万円へ増えています。4倍近い。中身で目を引くのは、仕入債務の増加額4億5,389万円です。前の期はここが5,890万円の減少でした。
貸借対照表で突き合わせます。支払手形及び買掛金が14億9,920万円から15億8,785万円へ増えました。電子記録債務は11億3,055万円から14億9,580万円へ増えています。合計すると26億2,976万円から30億8,366万円で、差額はキャッシュ・フロー計算書の数字とぴったり合います。
仕入が増えれば支払う金額も増えるので、それ自体はふつうのことです。ただ売上原価は144億7,551万円から153億2,761万円です。6%弱しか増えていません。債務のほうは17%増えています。……いや、これは仕入が増えたからではない。
日数に直します。期末の仕入債務を、1日あたりの売上原価で割る。前の期は26億2,976万円を3,965万円で割って約66日です。今回は30億8,366万円を4,199万円で割って約73日になります。支払いまでの期間が、1年でおよそ7日延びたことになります。これは私の割り算です。
資産の側は様子が違います。受取手形が2億6,047万円から3,557万円へ減りました。電子記録債権は1億700万円から3億8,226万円へ増えています。足すとほぼ横ばいで、紙の手形が電子に置き換わっただけです。ところが負債の側は、電子記録債務が3億6,524万円増えたのに、支払手形及び買掛金も8,865万円増えている。置き換えになっていません。なぜこうなったのかは、短信には書かれていませんでした。
会社の説明と、そこに出てこない数字
短信4ページで会社が挙げている理由は3つです。リユーストナーの市場で業界再編が進む中、新規の顧客を取れたこと。製造から販売までを自前で持っていること。ITのほうはパソコンの販売が引っ張り、そこにセキュリティなどを重ねて売れたこと。
数字でも裏は取れます。売上総利益を売上高で割ると、前の期が23.5%、今回が24.1%。セグメントも両方が伸びています。サプライは利益9億5,414万円で+14.7%。ITは2億2,061万円で+37.2%です。片方だけが支えた決算ではありません。
ただ、会社の説明に出てこない数字が1つあります。2つのセグメントの利益を足すと1億8,196万円増えているのに、営業利益の増加は1億3,126万円です。差の5,070万円は、どちらにも配らない全社の費用が増えた分でした。説明資料のほうには、人への投資と事業拡大に伴う費用が増えたと書かれています。
営業利益を5,200万円増やして、経常は2,100万円しか増やさない予想
まず今期の着地です。会社が期初に出していた数字(説明資料に載っています)を、売上も3つの利益も上回りました。
来期はこうです。
| 項目 | 2026年8月期 実績 | 2027年8月期 予想 |
|---|---|---|
| 売上高 | 201億9,200万円 | 204億円 |
| 営業利益 | 5億5,700万円 | 6億1,000万円 |
| 経常利益 | 6億4,800万円 | 6億7,000万円 |
| 純利益 | 4億8,900万円 | 4億2,500万円 |
営業利益と経常利益の差を取ります。今期は6億4,800万円から5億5,700万円を引きます。差は9,100万円です。来期は6億7,000万円から6億1,000万円を引きます。差は6,000万円です。営業外で稼ぐ分を、3,100万円細らせた置き方です。
心当たりはあります。今期の営業外費用に、投資事業組合管理費用1,083万円という前の期には無かった科目が出てきました。会社は2026年5月1日にバイアウトファンドへの出資を決めています(説明資料)。5月1日から期末の8月20日までは3か月と20日ほど。均等にかかると仮定して12か月に伸ばすと3,500万円ほどになります。すでに今期に出ている1,083万円との差は2,400万円ほどです。3,100万円の縮みの大半はこれで説明がつく、と私は考えています。
純利益だけが1割以上減る予想になっているのは、今期の売却益と税額控除が無くなるからです。説明資料にも特殊要因の剥落と書かれています。来期は経常6億7,000万円に対して純利益4億2,500万円なので、残る割合は6割3分。今期の6割7分より重くなる見込みです。
私はどう読んだか
本業の伸びは本物だと考えています。理由は、2つのセグメントの両方で利益率が上がり、売上総利益率も改善しているからです。値付けと自社製品の構成が効いた形で、1年で消える種類のものではありません。
気になったのは損益計算書より貸借対照表のほうでした。営業キャッシュ・フローが4倍近くになった最大の理由が、支払いを7日遅らせた分だからです。この7日は一度しか効きません。来期に同じことをもう一度やらない限り、営業キャッシュ・フローは今期の水準から落ちます。
支払い条件を交渉して勝ち取ったのなら、それは実力です。期末の締めがたまたまそうなっただけなら、来期に戻ります。私は後者だと考えています。理由は、仕入が6%弱しか増えていない年に支払いの期間だけが7日延びているので、取引先との条件変更より締めのタイミングで説明するほうが素直だからです。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.ktk.gr.jp/wp-content/uploads/2026/10/tansin20261002.pdf
仕入債務が売上原価より速く増えた理由は、短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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