はじめに
駅の改札を出て少し歩いたあたりに、赤い看板のラーメン屋があります。ハイデイ日高が営んでいる「日高屋」です。ラーメン、餃子、野菜炒め、レバニラ炒め。注文するとすぐ出てきて、短い時間で食べ終えて出ていく店です。
昼は近くで働いている人が一人で入り、夜はつまみと酒を少しだけ頼んで帰る人がいます。短信の中で会社は「お食事・ちょい飲み両方のご期待に沿える店作り」という言い方をしています。終電の近い時間でも灯りが付いている店があるのは、この「ちょい飲み」を見込んでいるからです。
店が並んでいるのは東京・埼玉・神奈川・千葉で、駅前と繁華街が中心です。他社に看板を貸すのではなく、ほとんどを自社で出して自社で回しています。焼鳥の店も手がけています。
売上が1割増えて、利益も同じ幅で増えました
10月2日に出た中間決算です。3月から8月までの半年分の数字になります。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 340億6,300万円 | 307億5,400万円 | +10.8% |
| 営業利益 | 40億6,700万円 | 36億6,300万円 | +11.0% |
| 経常利益 | 40億9,900万円 | 36億8,000万円 | +11.4% |
| 中間純利益 | 27億7,400万円 | 24億9,000万円 | +11.4% |
売上が1割増え、利益も同じくらいの幅で増えています。中間期として3年連続で過去最高だと会社は書いています。ここまでは表紙で分かる話です。
増益を作ったのは、原価ではなく販管費のほうでした
短信の4ページ目から先に、会社自身が中身を書いています。原価率は31.2%で、前年同期は30.3%。0.9ポイント上がっています。米の価格が7月まで高い水準にあり、豚肉、小麦粉、長ネギなどの一部の野菜も上がったためだという説明です。
一方、販管費の売上に対する比率は56.8%でした。前年同期は57.8%で、1ポイント下がっています。費用そのものは減っていません。注記を見ると、給与手当は85億4,598万円から91億3,128万円へ増えています。増えた額は6億円近くです。賃借料も水道光熱費も増えています。それでも比率が下がったのは、売上の伸びがそれらの伸びより速かったからです。
ここで引っかかったのが利益率です。営業利益率は11.9%で、前年同期も11.9%。まったく同じです。つまりこの2桁増益は、1食あたりの儲けが厚くなって出たものではありません。原価の上がった分を、売上が1割増えたことで薄めて作られた増益です。
閉めた3店と、開けた7店の場所が違います
短信のいちばん後ろに、店をどこに開けてどこを閉めたかが書いてあります。半年で新規が7店、退店が3店。8月末の直営は476店です。
開けた7店は、東京が1店、茨城が2店、栃木が2店、群馬が2店。このうち6店はロードサイドだと会社は書いています。閉めた3店は、南与野店、久我山駅前店、経堂農大通店です。
地域別の表に、その結果が出ています。
| 地域 | 店舗数(前年同期末) | 店舗数(今回) | 売上(前年同期) | 売上(今回) |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 208 | 209 | 145億9,158万円 | 159億1,778万円 |
| 埼玉県 | 111 | 108 | 66億8,916万円 | 71億1,609万円 |
| 神奈川県 | 73 | 73 | 48億3,700万円 | 52億6,910万円 |
| 千葉県 | 55 | 59 | 36億431万円 | 41億9,299万円 |
| 茨城県 | 7 | 11 | 3億3,821万円 | 6億3,914万円 |
| 栃木県 | 5 | 8 | 3億4,295万円 | 5億63万円 |
| 群馬県 | 6 | 8 | 3億5,088万円 | 4億2,810万円 |
茨城の売上が3億3,821万円から6億3,914万円へ、ほぼ倍になりました。栃木と群馬も伸びています。逆に埼玉は、店が111店から108店へ減っています。会社の表では、東京の構成比が47.5%から46.7%へ下がりました。埼玉も21.8%から20.8%へ下がっています。
日高屋は駅の改札を出たところにある店だと思っていました。……いや、ここ半年で開いた店は、そうではない。会社は「駅前一等地とロードサイドの両面で」と書いていますが、半年の実物は7店のうち6店が車で行く店です。閉めたほうは駅の名前が付いた店でした。出店の場所は、駅前から車で行く場所へ入れ替わってきています。
現金が10億円増えた中身は、短信では追えません
中間の短信には、キャッシュ・フロー計算書が載っていません。貸借対照表と損益計算書だけです。半期報告書の提出予定日は10月14日と表紙にあるので、現金の出入りの内訳はそちらを待つことになります。
現金及び預金は122億1,846万円から132億8,070万円へ増えました。ただし同じ期間に、投資有価証券が12億7,269万円から3億2,974万円へ減りました。減った額は9億円以上です。そして流動資産のほうに、有価証券9億9,912万円が新しく出てきています。満期が1年以内に入ったものを移した、と見るのが素直です。
出店の跡も貸借対照表に残っています。建設仮勘定が573万円から1億7,091万円へ膨らみました。閉めた店の分として、固定資産除却損も2,818万円から5,010万円へ増えています。
会社の説明と、そこで止まるところ
売上が伸びた理由として会社が挙げているのは、新店の売上が好調なこと、既存店の来店客数が伸び続けていること、ポイントやキャッシュレスのキャンペーン、営業時間の延長です。各月の売上は42か月連続、来店客数は35か月連続で同じ月の過去最高を更新し、7月は単月で過去最高だったと書いています。
7月に初めて行ったニラレバ炒めのキャンペーンでは、同じ商品の注文数が前年比で1.5倍を超えたそうです。タッチパネルの注文は451店、全体の約95%まで入り、配膳ロボットは71店で75台が動いています。
この説明は、店の数と客数が増えた話としては筋が通っています。ただ値段のことが出てきません。売上が1割増えたうちの、客が増えた分と1人あたりの支払いが増えた分の切り分けは、短信からは分かりませんでした。
利益は6割を超えて進んでいるのに、予想は4月のまま
| 項目 | 中間期まで | 通期予想 | 進み具合 | 残り6か月 | 前年の同じ6か月と比べて |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 340億6,300万円 | 670億円 | 50.8% | 約329億3,700万円 | +4.5% |
| 営業利益 | 40億6,700万円 | 68億円 | 59.8% | 約27億3,300万円 | -6.4% |
| 経常利益 | 40億9,900万円 | 68億円 | 60.3% | 約27億100万円 | -7.2% |
| 純利益 | 27億7,400万円 | 45億円 | 61.6% | 約17億2,600万円 | -23.0% |
約の付いた数字と右端の列は、通期予想から中間期までの実績を引いて、前年の同じ6か月と比べた私の計算です。
半年で、売上はちょうど半分、利益は6割を超えました。それでも短信の6ページ目には、4月10日に出した通期予想から変更はないと書かれています。据え置けば、残りの半年は営業利益が1割弱減り、純利益は2割以上減る置き方になります。
通期予想そのものも、売上と営業利益と経常利益は増える見込みなのに、純利益だけ前期より4.9%減ります。営業外に大きな費用は出ていません。この差がどこから来ているのかは、決算短信には書かれていませんでした。補足説明資料は、10月19日の説明会のあとに載せる予定だと表紙に書いてあります。
一方で、配当は動かしています。表紙の修正の有無は、業績予想が「無」、配当予想が「有」。中間配当は前期の23円から28円へ上がりました。通期も52円から56円へ上げています。予想配当性向は44.8%です。業績の見込みは触らずに、配当だけ上げたことになります。
私はどう読んだか
私は、下期の見込みは控えめだと考えています。理由は、増益を作っているのが店の数と客数で、それが下期に急に止まる材料が短信に出てこないからです。米の価格は足元で下落傾向にあるため原価率に落ち着きが見られる、と会社自身が書いています。
気になるのは出店の場所です。駅前の店は家賃が重く、客の回転で稼ぎます。車で来る店は土地と建物に金がかかり、回転も客層も違うはずです。建築費の高騰は、会社も短信で挙げています。北関東のロードサイドが駅前と同じ利益率で回るのかは、半年の数字では分かりません。476店のうち、まだ十数店の話です。
出典:決算短信(会社発表)

――ロードサイドの店と駅前の店で、1店あたりの採算がどう違うのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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