北恵(9872)2026年11月期 第3四半期決算分析――増益の出どころが腑に落ちない

北恵(9872)2026年11月期 第3四半期決算分析――増益の出どころが腑に落ちない 決算を読む

はじめに

北恵は、住宅に使う資材を売っている会社です。売る相手は木材店、建材店、工務店、住宅会社。床材や内装材、キッチンや風呂といった住宅設備機器を仕入れ、現場に届けています。地盤は関西です。

ただ運ぶだけではありません。施工付販売といって、品物と一緒に取り付ける工事まで引き受けます。工務店の側は職人を手配する手間が減り、卸の側は工事の分だけ受け取る金額が増えます。太陽光発電システムや蓄電池も扱っていて、これにも取り付けがついてきます。

家が建たなければ商売になりません。住宅ローンの金利や、着工の許可が下りるまでの日数が、そのまま売上に効いてくる位置にいます。

売上は横ばい、利益は4つとも増えた四半期

10月2日に出た第3四半期の決算です。この会社の期は11月に終わるので、2025年11月21日から2026年8月20日までの9か月分になります。

項目今回前年同期増減率
売上高443億1,100万円441億3,200万円+0.4%
営業利益5億4,400万円5億円+8.9%
経常利益6億7,000万円6億5,000万円+3.1%
純利益4億1,200万円3億9,500万円+4.2%

ただ、比べている前年同期のほうは営業利益が26.3%減、経常利益が19.9%減という年でした。落ちたところからの戻りです。

営業利益が4,400万円増えたのは、売上総利益のおかげではなかった

損益計算書は短信の7ページ目にあります。ここで引っかかりました。

売上高は1億7,900万円増えています。ところが売上総利益は48億2,900万円から48億3,600万円にしかなっていません。増えた幅は700万円です。増えた売上のほとんどが原価だったということになります。

動いたのはその下です。販売費及び一般管理費は43億2,900万円から42億9,100万円へ下がりました。減ったのは3,800万円です。粗利の700万円増と足すと4,500万円になります。営業利益の増えた4,400万円とほぼ一致します。増益の8割以上は、売ったほうではなく使ったほうで出ています。

販管費がなぜ減ったのかは、決算短信には書かれていません。

営業外の仕入割引が1,500万円減っていました

経常利益の伸びが+3.1%で止まった理由も、同じページにあります。

営業外収益の合計は1億5,800万円から1億3,500万円へ下がりました。減ったのは2,300万円です。内訳でいちばん動いたのは仕入割引で、9,400万円から7,900万円へ。受取利息は900万円から1,600万円へ増えているので、減ったのは割引の側だけです。

仕入割引は、仕入代金を期限より早く払うと値引きしてもらえる分です。仕入の量か、支払いのしかたが変わると動きます。貸借対照表では、支払手形及び買掛金が9億5,800万円減り、電子記録債務も4億9,800万円減っていました。あわせて14億円を超える仕入債務が消えています。

営業利益で稼いだ4,400万円のうち、半分以上が営業外で削られた。これがこの9か月の形です。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書が無かった

注記に一行あります。当第3四半期累計期間に係る四半期キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません、と。代わりに減価償却費だけが載っていて、8,900万円から7,400万円へ減っています。

現金及び預金は7億2,200万円減りました。この減り方の中身を、今回は追えません。

貸借対照表から見えるのは3つです。受取手形、売掛金及び契約資産が7億4,000万円減ったこと。商品が7億4,400万円から9億8,600万円へ増えたこと。増えた幅は2億4,200万円です。そして無形固定資産が2億1,400万円から4億6,600万円へ増えたことです。こちらの増えた幅は2億5,200万円になります。

回収で入った7億4,000万円より、仕入債務の支払いで出た14億円のほうが大きい。差が現金の減りに出ている、という形までは読めます。

無形固定資産のほうは分かりません。有形固定資産は少し減り、減価償却費も減っている中で、無形だけが2倍以上になっています。何に使った2億5,200万円なのか、短信には説明がありません。

会社はどう説明しているか

4ページ目に、会社自身の言葉があります。中東情勢を背景に一部建築資材の供給が不安定となり工期のずれが生じたが、着工予定を踏まえた資材確保に努めて影響を最低限にとどめた、と。

商品が2億4,200万円増えたのは、これと向きが合います。先に押さえた在庫、と受け取れます。

市場のことも書いてあります。持家と戸建分譲の新設着工戸数は前年同期を上回りつつある。ただし前年は、建築基準法改正の駆け込みとその反動、それに建築確認申請の長期化による着工減が続いた年でした。そう同じ段落に自分で添えています。

心配のほうも隠していません。建築コストの上昇で住宅価格が高くなっている。そのうえ住宅ローン金利が固定・変動ともに上がっており、住宅取得マインドに与える影響が大きい、と。

一つだけ留保をつけます。環境配慮型商品の拡販と工事領域の拡大に注力した、という部分です。理由は、売上が+0.4%で、粗利が700万円しか増えていないからです。取り組んだことは書かれていますが、9か月の数字には出ていません。

最後の3か月を、2割近い減益で置いたまま

通期予想は売上593億円、営業利益7億2,000万円。経常利益は9億1,000万円、純利益は5億6,000万円です。2025年12月26日に出したもので、今回も変えていません。

9か月での進み具合は、売上74.7%、営業利益75.6%。経常利益と純利益はどちらも73.6%です。12か月のうち9か月なので目安は75%で、ほぼそこに乗っています。私の割り算です。

通期予想から9か月の実績を引くと、残り3か月に要る額が出ます。

残り3か月必要額前年の同じ3か月と比べて
売上高約149億8,900万円約+0.8%
営業利益約1億7,600万円約−17.8%
経常利益約2億4,000万円約−6.4%
純利益約1億4,800万円約−5.0%

9か月で営業利益を9%近く増やしておいて、最後の3か月は2割近く減らす置き方です。ここまで積んだぶんを最後に返す形になっています。なぜそうしたのかは分かりません。短信に理由が書かれていない、というところまでです。表紙には決算補足説明資料も決算説明会も無しとあるので、今回はここで止まります。

私はどう読んだか

増益の出どころは、販管費の減少だと考えています。理由は、増えた4,400万円の8割以上が、使ったほうの減りで説明できるからです。売り方が変わったのなら、粗利の側が動くはずです。

これを悪い話とまでは受け取っていません。……いや、落ち着かない。3,800万円が何を削ったものなのか分からないので、来期も続くとは見ていません。

在庫の2億4,200万円増は前向きに取ります。理由は、未成工事支出金が11億1,300万円から10億4,300万円へ減っているからです。仕掛かりの工事は減って、商品だけが積まれている。売れ残りではなく、仕入を先に動かした形に見えます。

自己資本比率は50.5%から53.9%へ上がりました。配当は28円のまま据え置きです。貸借対照表には借入金という科目が出てきません。足元は固い会社です。

それでも、最後の3か月の置き方がいちばん腑に落ちません。心配性なので、第4四半期までここを覚えておきます。

出典:決算短信(会社発表)

https://data.swcms.net/file/kitakei-corp/dam/jcr:98bbfc22-81d6-4d31-bcf5-4d15990c843a/140120261002545339.pdf

現金が7億2,200万円減った中身は、この短信にキャッシュ・フロー計算書が無いため読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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