平和堂(8276)2027年2月期 中間決算分析――減益の理由は粗利より経費と受け取りました

平和堂(8276)2027年2月期 中間決算分析――減益の理由は粗利より経費と受け取りました 決算を読む

はじめに

平和堂は、滋賀県彦根市に本社を置くスーパーです。滋賀を地盤にして、東海や北陸にも店を出しています。売っているのは野菜や肉、総菜、洗剤といった毎日の買い物の品です。仕事帰りや、子どもを連れた夕方に寄る店だと考えてください。

グループには、総菜や弁当を作る工場、店舗のビル管理、ケンタッキーフライドチキンなどの外食、書店とフィットネスがあります。中国の湖南省では百貨店も営んでいます。それでも稼ぎの大半はスーパーなので、この決算もスーパーの話として受け取って構いません。

私はこの会社の店に入ったことがありません。売場のことは書けないので、書類の側から入ります。

売上は増え、利益は4行とも減りました

2026年10月1日に出た中間決算です。2月21日から8月20日までの半年分です。

今回前年同期増減率
営業収益2,304億8,900万円2,235億3,900万円+3.1%
営業利益56億6,500万円68億3,300万円△17.1%
経常利益61億9,000万円75億1,200万円△17.6%
純利益35億8,000万円49億400万円△27.0%

下の行へ行くほど、減り方が大きくなっています。通期予想は据え置きで、配当も年66円のままです。

粗利の率はほとんど下がっていません

会社は、減益の理由を「粗利益率の低下」と書いています。そこで、損益計算書の数字で率を出してみました。

前年の上期は、売上高2,046億8,600万円に対して売上総利益が623億100万円でした。割ると約30.4%です。今年は売上高が2,106億2,000万円、売上総利益が638億700万円です。割ると約30.3%になります。下げ幅は0.1ポイントほどしかありません。今年の売上高に前年の率を掛けても、粗利は実際より3億円ほど多くなるだけです。これは私の割り算です。

営業利益の減り幅は11億6,800万円です。粗利の率の下げでは、そのうち3億円ほどしか説明できません。

前年同期今回
売上総利益623億100万円638億700万円
営業総利益(賃料などの収入を含む)811億5,300万円836億7,600万円
販売費及び一般管理費743億2,000万円780億1,100万円
営業利益68億3,300万円56億6,500万円

粗利にテナントからの賃料などを足した営業総利益は、25億2,300万円増えています。ところが販売費及び一般管理費は36億9,100万円増えました。差の11億6,800万円が、そのまま営業利益の減少になっています。ここまでは損益計算書の数字です。

……粗利というより、経費の話だ。

経費の中身は短信には載っていません。会社が別に出している営業概況には内訳があります。説明会資料の数字ですが、人件費は378億9,600万円から401億8,700万円へ増えています。増えた額は22億9,100万円です。経費の増加36億9,100万円のうち22億9,100万円ですから、6割ほどが人件費ということになります。

小売の13%増益は、子会社からの配当で膨らんでいます

会社の説明文には、小売事業の経常利益が13.3%増えたとあります。ここに引っかかりました。連結の経常利益は2割近く減っているのに、主力の事業が増益というのは合いません。

前年同期今回
小売68億4,200万円77億4,800万円
小売周辺8億8,300万円9億5,800万円
その他5億5,300万円4億1,000万円
調整額△7億6,500万円△29億2,700万円
連結の経常利益75億1,200万円61億9,000万円

答えは調整額の行にありました。△7億6,500万円から△29億2,700万円へ、大きく膨らんでいます。注記によれば中身は「受取配当金の取引消去等」です。説明文にも、平和堂単体の経常利益は「連結子会社からの配当の増加により」増えたと書いてあります。

子会社が親会社に配当を払えば、親会社の経常利益は増えます。けれどもグループの中でお金が動いただけなので、連結では消えます。小売事業の増益は、その配当で膨らんだ分を含んでいます。

店の商売に近いのは、単体の営業利益のほうです。会社の説明文では41億7,200万円で、2割近く減っています。

営業キャッシュ・フローが減らなかったのは、前年の支払いの裏返しです

利益が減ったのに、営業キャッシュ・フローは114億2,600万円で、前年の112億9,700万円とほぼ同じでした。理由を探すと、前年の上期に大きな支払いがありました。

前年同期今回
営業キャッシュ・フロー112億9,700万円114億2,600万円
うち退職給付に係る負債の増減額△42億1,700万円△1億4,300万円
有形・無形固定資産の取得△72億1,900万円△91億6,800万円
自己株式の取得△26億9,700万円△100万円未満

前年は退職給付で42億円ほどが出ていっていました。今年はそれがほとんどありません。営業キャッシュ・フローが横ばいなのは、前年が特別に少なかったからです。前年に何を払ったのかは、短信には書かれていません。

お金の回り自体は苦しくありません。設備投資を91億円に増やしても、営業キャッシュ・フローの中に収まっています。前年は自己株式の取得に27億円ほど使いましたが、今年は止めています。自己資本比率は62.2%です。

会社の説明は「米と値上げの反動」です

短信4ページ目の説明文は、「前年の米需給や商品値上げの反動」で粗利益率の確保が厳しくなったことを、利益が減った理由に挙げています。前の年に米の値段が動いた分、今年はその比較がきつい、という説明です。

粗利の率が下がったこと自体は、損益計算書の数字と合っています。ただ、減益の大半は経費の増加でした。説明文も環境の段落では「人件費の大幅な上昇」に触れていますが、減益の理由としては粗利の側しか挙げていません。

もう一つ、反動が薄れているのかどうかを確かめました。営業概況の四半期推移は説明会資料の数字ですが、営業利益は前年比で第1四半期が9割弱、第2四半期が8割ほどです。半年の後ろのほうが、前年との差が開いています。

下期には、前年より3割多い営業利益が要ります

通期予想上期実績進み具合下期に要る額
営業収益4,780億円2,304億8,900万円約48%約2,475億1,100万円
営業利益143億円56億6,500万円約40%約86億3,500万円
純利益98億円35億8,000万円約37%約62億2,000万円

約の付いた数字は、通期予想から上期実績を引いて私が出したものです。

前年の下期と並べると、この予想の重さがはっきりします。通期予想の143億円は、前年より7.4%多い額だと表紙にあります。そこから逆算すると、前年通期の営業利益は約133億円です。そこから前年上期の68億3,300万円を引くと、前年下期は約65億円になります。今年の下期は86億円が要るので、前年より3割強多く稼ぐ前提の予想です。

表紙には、業績予想の修正は「無」とあります。

私はどう読んだか

私は、通期の営業利益143億円に届くのは難しいと考えています。理由は、減益の中心が経費の増加で、とくに人件費は半年で元に戻る種類のものではないからです。反動が一巡しても、経費の増え方が変わらなければ下期の3割増には足りません。

心配性なので、悪いほうを先に拾っています。売上は既存店も新店も伸びていて、商売が弱っているわけではありません。財務にも余裕があります。会社が下期に何を見込んで予想を据え置いたのかは、まだ分かりません。

出典:決算短信(会社発表)

決算情報 | 株式会社 平和堂
平和堂の決算情報ページです。

下期に営業利益を前年より3割増やす道筋は、短信からも営業概況からも読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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