NGK(5333)2027年3月期 中間決算分析・続報――上期より細る下期は、説明で腑に落ちました

NGK(5333)2027年3月期 中間決算分析・続報――上期より細る下期は、説明で腑に落ちました 日本株

はじめに

NGKはセラミックスの部品をつくる会社です。社名の元になった「がいし」は、送電線と鉄塔のあいだに挟まっている白い焼き物です。電気が鉄塔へ漏れないように絶縁する部品で、いまも電力会社が買っています。

ただ、稼ぎの中心は別のところにあります。1つは、自動車の排気管の中で排ガスをきれいにするセラミックです。断面が蜂の巣のような形をしています。もう1つは、半導体をつくる装置の中に組み込まれる部品です。前者は世界中の自動車メーカーが、後者は半導体の装置メーカーが買い手になります。使われる場所はばらばらですが、どれも熱や電気に強い焼き物という同じ技術から出ています。

このサイトでは8月に、7月30日に出た第1四半期決算を取り上げました(前の記事)。そのときは、純利益の伸びに税金の減少が混ざっていることに引っかかりました。また、通期予想を据え置いたのは会社が固く見積もっているからだ、と書いています。今回はその答え合わせです。

この決算で何が起きたか

2026年10月30日に出た、2027年3月期の中間決算短信を読みました。4月から9月までの6か月分です。

項目今回前年同期増減率
売上高3,713億600万円3,262億400万円+13.8%
営業利益698億8,900万円487億円+43.5%
経常利益703億9,500万円466億6,700万円+50.8%
純利益608億円238億7,000万円+154.7%

売上が1割強増えて、営業利益は4割増、純利益は2.5倍です。通期予想も引き上げられました。

純利益の伸びは、前年の損が消えた分が大きい

損益計算書を下までたどると、前年同期との差は営業利益の外でも開いています。前年同期の特別損失には、事業構造改革費用116億9,300万円がありました。今期はこれがありません。代わりに、政策保有株式を売った投資有価証券売却益25億9,100万円が特別利益に入っています。

その結果、税金を引く前の利益は329億3,500万円から722億5,600万円へ増えました。法人税等の合計は109億4,200万円です。これを722億5,600万円で割ると、税負担はおよそ15%です。前年同期の法人税等は87億7,400万円でした。329億3,500万円で割ると、およそ27%です。

……利益は倍以上なのに、税金は2割ほどしか増えていない。

会社は4ページ目で理由を2つ挙げています。1つは、第1四半期でも書かれていた電子デバイス事業の組織再編による税負担の減少です。もう1つは、海外子会社の清算手続きが完了して税金費用が減ったことで、これは今回新しく出てきました。どちらも、毎年くり返す種類の話ではありません。

上期の営業利益には、会社が「一時的」と書いた分がある

短信の後ろには補足資料が付いています。そこに、営業利益の増加の内訳が少し書かれていました。

為替による営業利益の増加は79億円です。前年同期は1ドル147円、今期は160円でした。さらにエンバイロメント事業、つまり排ガス用の部品の側では、費用の発生時期のずれとセンサーの白金価格の影響で利益が上振れしたと書かれています。そして通期の見通しの欄で、会社はこの上振れの反動を下期に見込んでいます。

下期の営業利益が上期より小さい理由

通期の営業利益予想は1,300億円です。ここから上期の698億8,900万円を引くと、下期は601億1,100万円です。上期より100億円ほど少なくなります。事業ごとに分けると、どこが減るのかが見えてきます。

営業利益上期 実績下期 見込み
エンバイロメント460億円約360億円
デジタルソサエティ196億7,600万円約213億円
エネルギー&インダストリー42億4,500万円約28億円
全社698億8,900万円601億1,100万円

約の付いた数字は、補足資料にある事業ごとの通期見通し(億円単位)から、上期実績を私が引いたものです。

半導体向けのデジタルソサエティは、下期のほうが大きい見込みです。減るのはエンバイロメントで、およそ100億円です。会社が書いた反動の話と、方向が合っています。

為替の前提も効いています。下期は1ドル150円、1ユーロ175円と、上期の実績より円高を前提にしています。補足資料には、下期に為替が1円動いたときの営業利益への影響が載っています。ドルで3.4億円、ユーロで0.7億円です。ドルは、上期の160円との差が10円です。影響額3.4億円の10倍です。ドルだけで34億円になります。ユーロは、上期実績との差が9円です。影響額0.7億円の9倍です。こちらはおよそ6億円になります。合わせて40億円ほど、下期の営業利益を為替だけで低く見込んでいることになります。

送電線のがいしが、米国のデータセンターで伸びている

補足資料の中に、祖業のがいしについての一文がありました。米国のデータセンター投資に伴って電力網が強化され、がいしの売上と営業利益が増えた、という説明です。収益の内訳を見ると、がいしの売上は241億3,300万円から266億5,600万円へ増えています。

同じ短信の注記には、国内の知多事業所でつくるがいしの受注を終えたことに伴う事業整理損10億8,400万円が載っていました。製造と販売の終了は2023年3月に決まっていたもので、今回はその最後の費用です。同じがいしが海の向こうで伸びる一方で、国内の工場は予定どおり閉じていきます。

会社はどう説明しているか

通期について、会社は3つの理由を挙げています。自動車関連は中国市場をはじめ弱さが見られるが、自社製品の需要は堅調。半導体製造装置用製品は、AI関連で旺盛な需要が続く。そして上期の円安も寄与する、という説明です。

これはそのまま受け取ります。理由は、上振れの中身と、その反動を下期の見込みに織り込んだことまで、会社自身が書いているからです。ただ、中国の弱さを書きながら自社製品の需要は堅調とする根拠は、短信からは分かりませんでした。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目前回予想今回予想進捗率
売上高7,100億円7,700億円48.2%
営業利益1,070億円1,300億円53.8%
経常利益1,050億円1,260億円55.9%
純利益820億円1,000億円60.8%

半分が目安のところ、売上はほぼ半分、利益は半分を少し超えました。純利益は6割まで来ています。下期の純利益は392億円で、上期の608億円よりかなり小さい見込みです。上期の軽い税負担が下期には続かない、という前提で組んだ数字だと私は考えました。

前の記事で私は、会社が予想を固く見積もっているだけだと書きました。営業利益予想は半年で2割引き上げられたので、その見方は外れていませんでした。ただ、引き上げの中には上期の円安分も入っています。全部が需要の強さによるものではありません。

私はどう読んだか

下期の見込みは慎重すぎる数字ではなく、理由の付いた数字だと私は考えています。理由は、エンバイロメントの反動と為替の前提という2つの説明を差し引くと、下期の減り方とほぼ合うからです。上がるかは知りません。

気になっているのは棚卸資産です。半年で2,328億3,500万円から2,497億3,500万円へ増えました。この短信にもキャッシュ・フロー計算書は無く、在庫が現金をどれだけ使ったのかは確かめられません。設備投資の通期見通しも、4月の620億円から720億円へ引き上げられています。心配性なので、次の決算まで覚えておきます。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信 四半期決算情報 | 株主・投資家情報 | NGK株式会社(旧:日本ガイシ株式会社)
決算短信 四半期決算情報のページです。NGKは持続可能な成長と社会貢献を実現するために、カーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する製品・サービスを提供します。

電子デバイス事業の組織再編と海外子会社の清算が、それぞれ税金をいくら減らしたのかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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