大東建託(1878)2027年3月期 中間決算分析――増えた現金は借りたお金だと読みました

大東建託(1878)2027年3月期 中間決算分析――増えた現金は借りたお金だと読みました 日本株

はじめに

大東建託は、土地を持っている人にアパートを建ててもらい、その建物を丸ごと借り上げて入居者に貸す会社です。地主にとっては、空室が出ても借り上げの家賃が会社から入ってくる仕組みです。住宅街でよく見かける同じ外観の賃貸アパートは、多くがこの会社の物件です。

建てる仕事、借り上げて貸す仕事、部屋を紹介する仕事が柱です。ほかにLPガスの供給や介護施設もやっています。ここ数年は、自分で土地を買って建物を開発し、投資家に売る仕事を広げています。今回の決算では、この最後の仕事の影響がはっきり出ていました。

売上は小さく、利益は大きく伸びた半年

10月30日に出た、2027年3月期の中間決算です。4月から9月までの半年分にあたります。

今回前年同期増減率
売上高9,886億8,600万円9,595億5,300万円+3.0%
営業利益792億9,900万円693億9,300万円+14.3%
経常利益785億6,700万円713億8,000万円+10.1%
純利益641億7,500万円498億8,600万円+28.6%

純利益の伸びが飛び抜けている理由は、持分法の対象だった介護会社ソラストの株をすべて売ったからです。この売却益98億7,000万円が特別利益に入りました。一方で、JustCo Holdings社の株について43億8,000万円の評価損を出しています。

利益が増えた半年に、営業キャッシュ・フローはマイナス318億円

短信の10ページ目、キャッシュ・フロー計算書のところで手が止まりました。

前年同期今回
営業活動によるキャッシュ・フロー△157億4,700万円△318億700万円
販売用不動産の増加△208億8,300万円△355億1,300万円
仕掛販売用不動産の増加△154億9,300万円△359億9,600万円
長期借入れによる収入1,784億4,200万円1,567億5,000万円
社債の発行による収入―310億円
現金及び現金同等物の増減+458億2,900万円+806億1,000万円

マイナスの中身ははっきりしています。売るための不動産と、建てている途中の不動産を積み増した分です。この2行を足すと715億円ほどになります。一方で売上債権は減っているので、代金を回収できていないという種類のマイナスではありません。

足りない分は借入で賄っています。長期借入金は半年で1,704億5,800万円から3,163億1,200万円へ増えました。現金は806億円増えていますが、借入と社債で入ってきた額のほうが大きいです。……稼いだ現金ではなく、借りた現金で厚くなっている。

増収増益で営業キャッシュ・フローがマイナスになる形は、私が以前、1ページ目だけを見て痛い目に遭ったときと同じです。ただ、今回は理由が書類の上で追えます。前年同期もマイナスだったので、一度きりの出来事ではなく、開発の仕事を広げている間は続く形だと受け取りました。

支払利息は12億9,000万円から29億2,000万円へ増えました。伸び方としては2倍を超えています。営業利益と比べれば、まだ小さい額です。

7月に買った会社の分も、貸借対照表に乗った

在庫は、貸借対照表で見るとキャッシュ・フロー計算書の数字より大きく増えています。7月末に完全子会社にしたTHEグローバル社の分が加わったからです。この会社は首都圏で住宅を開発しています。現金305億5,500万円で取得し、のれんは174億9,800万円でした。のれんの額は暫定的な会計処理によるものだと、短信に書いてあります。

不動産開発の売上が3割増えたのも、主にこの連結の効果です。開発の仕事を柱の一つにするための買収だ、と注記で説明しています。

建てる仕事の受注が、戸数で2割以上減った

もう一つの筋は、今の利益ではなく、この先の売上のもとの話です。

前年同期今回増減率
受注工事高2,739億5,100万円2,378億3,500万円△13.2%
受注戸数16,533戸12,582戸△23.9%
うち首都圏の受注戸数4,670戸3,040戸△34.9%
受注残高(9月末)7,918億6,700万円7,549億9,500万円△4.7%

会社は理由を、金利上昇で顧客の資金調達の負担が重くなり、投資判断が慎重になったから、と書いています。引っかかったのは、同じ短信の4ページ目にある別の数字です。4月から8月にかけて、世の中全体の賃貸住宅の着工戸数は前年同期より17.2%増えた、と書いてあります。

前年同期は法改正で着工が落ち込んでいたので、その反動が含まれる、と短信の中で断っています。着工と受注は数える時点も違うので、そのまま比べることはできません。それでも、世の中の着工は増え、大東建託の受注は減っています。

地主は金利を嫌って建てるのを控え、会社自身は借入を増やして開発用の不動産を買っています。同じ金利の下での、向きの違う2つの判断が、1冊の短信に並んでいました。

借り上げの家賃は、静かに伸びている

不動産賃貸の営業利益は533億1,000万円で、2割近く増えました。全社の利益のいちばん大きな柱です。居住用の家賃ベース入居率は9月で97.7%と、前年より上がっています。管理戸数も増え続けていました。

会社はどう説明しているか

建設の利益率については、価格改定の効果だと書いています。完成工事高が6.1%減ったのに完成工事総利益は増え、総利益率は27.6%になりました。減った売上で粗利が増えています。ここまでは損益計算書の数字です。値上げが通った、という会社の説明はそのまま受け取ります。

ただ、27.6%はいま完成した工事の数字です。受注が減った分は、来期以降の完成工事に出てきます。

通期予想の上方修正について、会社が挙げた理由は3つです。THEグローバル社の連結、賃料改定、高い入居率の維持。受注の減少は、修正理由の文章には出てきません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

営業利益の通期予想は、1,420億円から1,500億円に引き上げられました。

通期予想上期実績進捗率残り6か月
売上高2兆800億円9,886億8,600万円約47.5%約1兆913億円
営業利益1,500億円792億9,900万円約52.9%約707億円
純利益1,090億円641億7,500万円約58.9%約448億円

約の付いた数字は、通期予想から上期実績を引いて私が出したものです。

営業利益は、半年で半分を少し超えたところです。残り6か月の約707億円を前年の下期と比べると、7%ほど多い計算になります。本業は下期も伸びる前提です。

純利益だけ進捗率が高いのは、上期に売却益が入ったからです。残り6か月の約448億円は前年の下期より1割近く少ない計算で、これは売却益の反動です。

配当予想も引き上げられ、年間165円になりました。中間81円、期末84円です。配当性向は50.2%と短信にあります。

私はどう読んだか

営業キャッシュ・フローのマイナスを、開発の仕込みと受け取るか、資金繰りの苦しさと受け取るか。私は前者の見方をしています。理由は、マイナスの元が売上債権ではなく売るための不動産で、しかも借り上げの家賃という毎月入る現金が別にあるからです。

それでも心配性なので、2つ頭に置いておきます。仕込んだ不動産が売れるまで、借入と利息は増え続けること。そして、建てる仕事の受注が戸数で2割以上減ったことです。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

403 Forbidden

積み増した販売用不動産を、いつ、どれくらいの利幅で売る見込みなのかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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