JPホールディングス(2749)決算分析――業績の一覧表で、営業利益の左隣に見慣れない列が1本挟まっていた

8月13日に決算を出したJPホールディングス(2749)――1ページ目の表で、営業利益の左隣に見慣れない列が1本挟まっていた 決算を読む

はじめに

保育園を運営している会社です。「アスク」という名前の認可保育園を全国で運営していて、そこにこども園、学童クラブ、児童館、最近はインターナショナルスクールやバイリンガル保育園まで加わっています。共働きの家庭が朝、子どもを預けて仕事に行く。その預け先を作って運営するのが本業です。

この商売の特徴は、売上の元が「公定価格」や補助金という、国と自治体が決める値段の上に乗っていることです。普通のメーカーのように値上げで稼ぐ余地は小さい代わりに、制度が広がれば商売も広がる。こども家庭庁の少子化対策や、東京都の認証学童クラブといった制度の動きが、そのまま事業環境になります。ダスキンが筆頭株主、というのも覚えておくと話が早い会社です。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高10,79210,356+4.2%
営業利益1,7171,371+25.2%
経常利益1,7311,378+25.6%
純利益1,124926+21.4%

(単位:百万円)

売上は4%ほどの伸びですが、営業利益は2割5分増えて、会社は「過去最高を更新」と書いています。増収の幅に対して利益の伸びが大きい決算です。

最初の表では分からなかったこと

営業利益の左隣に、EBITDAの列がある

まず表の話からです。この会社の短信の1ページ目、業績の一覧表は「売上高・EBITDA・営業利益・経常利益・純利益」という並びになっています。売上と営業利益の間に、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)の列が1本挟まっているんです。

その数字が1,872百万円。……1,872と1,717。どっちが営業利益だ。

一覧表を左から流し読みすると、1,872を営業利益と取り違えます。損益計算書まで行って確かめると、営業利益は1,717百万円です。会社の説明文でも1,717と書かれているので、迷ったら本文とP/Lのほうを信じてください。数字を1つずらして覚えると、進捗率の計算まで全部ずれます。私はここで一度引っかかりました。

増収の中に、期ズレが混ざっている

会社は増収の要因を並べています。新規施設の開設・受託、東京都を中心とした児童数(乳児)の増加、ALT事業。ここまでは事業の話です。ただその列の最後に「前期と比較して公定価格の確定時期が早まったことによる計上月の差異」と書いてあります。

つまり、増収の一部は本来もう少し後の四半期に乗るはずだった売上が、今回に前倒しで乗ったものです。会社が自分でそう書いています。4.2%の増収のうちいくらがそれなのかは書かれていません。

利益は2割5分増えたのに、税金で削られている

経常利益は2割5分増えたのに、純利益の伸びは2割1分にとどまっています。損益計算書を見ると、法人税等調整額が前年同期の124百万円から315百万円に増えていました。貸借対照表側では繰延税金資産が331百万円減っています。事業の稼ぎが削られたわけではなく、税金の計上の仕方で最終利益の伸びが目減りした形です。

読みに行ったら、キャッシュ・フロー計算書が無かった

私はキャッシュ・フロー計算書まで読みに行く習慣なのですが、この短信には「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とありました。第1四半期なので作らない、という会社は珍しくありません。無いものは無い、です。

代わりに貸借対照表を見ると、現金及び預金は930百万円減っています。ただ中身は、未払法人税等が1,041百万円、未払金が896百万円、賞与引当金が447百万円それぞれ減少──つまり期末にたまっていた支払いを済ませた動きが主です。未収入金も1,826百万円減っていて、これは回収が進んだ側の話。長期借入金も返済で減り、自己資本比率は60.0%から65.6%に上がりました。現金が減った、という字面ほど悪い話ではありません。

会社はどう説明しているか

利益が伸びた理由として、会社は増収要因に加えて「離職率の抑制・独自の採用活動による紹介手数料の減少」「物価高騰に対応した仕入体制の変更による費用減少」を挙げています。実際、販管費は696百万円から636百万円へ減っていました。保育は人の商売なので、人が辞めない・紹介会社に頼らないというのは費用に直接効きます。

ここは半分受け取って、半分留保します。離職率の抑制は続けば毎期効く話ですが、仕入体制の変更のような費用減は、一度変えたら翌年はそこが比較の基準になります。期ズレの増収と一時的な色のある費用減が、2割5分増益の中に混ざっている。どのくらいの割合かは、短信には書かれていません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目通期予想予想の増減率
売上高44,017+1.6%
営業利益6,600+1.0%
経常利益6,686+1.0%
純利益4,341+1.3%

(単位:百万円。会社は5月発表の予想を据え置き)

これは私が割り算した数字ですが、営業利益1,717百万円は通期予想6,600百万円の4分の1をわずかに超えたあたりです。3ヶ月経過の目安どおりで、貯金があるとまでは言えません。

そしてこれも私の引き算ですが、第1四半期に2割5分増えた営業利益で通期が1%増のままということは、残り9ヶ月は前年を下回る置き方になっています。会社は予想を据え置きました。期ズレで前倒しになった分が後の四半期から抜ける、と会社自身が見ているなら、この置き方は整合します。

私はどう読んだか

私は会社の据え置きに寄せて読んでいます。理由は、増収要因の中に会社自身が期ズレを挙げていて、第1四半期の2割5分増をそのまま通期に伸ばす根拠が短信のどこにも書かれていないからです。事業そのものは悪くありません。学童クラブと児童館を12施設受託し、東京都認証学童クラブを新設し、ALT事業を3道府県で始めて、施設は357になった。借入を返しながらこれをやっているので、財務は素直に良くなっています。ただ「過去最高」の字面のうち何割が実力かは、次の四半期で期ズレが抜けたときに分かります。離職率の抑制が本物で下期も効き続けるなら、私の読みが慎重すぎたことになるかもしれません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.jp-holdings.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2026/08/20260813_1.pdf

計上月の差異、つまり期ズレで前倒しになった売上がいくらだったのかは、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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