放電精密加工研究所(6469)2027年2月期 中間決算分析――現金の細りは支払い時期と読みました

放電精密加工研究所(6469)2027年2月期 中間決算分析――現金の細りは支払い時期と読みました 決算を読む

電気の火花で、硬い金属を形にする会社です

放電加工は、金属の仕事をしていない人にはなじみの薄い言葉だと思います。刃物を当てる代わりに、電極と金属のあいだに細かな火花を飛ばします。その熱で少しずつ溶かして形を作る加工です。刃物では歯が立たない硬い合金も、狙った形に仕上げられます。

この会社がその技術を向けているのは、発電所のガスタービン、旅客機のエンジン、防衛装備品の部品です。どれも高い温度と速い回転にさらされ、壊れては困る部品です。部品の表面に膜を付けて、熱や摩耗に耐えさせる表面処理も同じ部門で手がけています。

ほかに金型も作っています。アルミの窓枠を押し出すための金型と、自動車の排ガスを通す蜂の巣状のセラミックスを押し出す金型です。プレス機とその周りの設備も売っています。

売上が2割増えて、利益は倍近くになりました

10月6日に出た中間決算です。3月から8月までの半年分になります。

今回前年同期増減率
売上高86億3,600万円71億100万円+21.6%
営業利益11億3,200万円6億1,600万円+83.7%
経常利益10億7,600万円5億7,100万円+88.2%
純利益7億3,200万円3億4,300万円+113.3%

売上の伸びに比べて、利益の伸び方がずっと大きい決算です。同じ日に、通期予想の修正と増配も出ています。

粗利が増えたぶんが、ほぼそのまま残りました

利益が倍近くになった仕組みは、損益計算書ですぐに分かります。粗利は18億6,645万円から24億7,043万円へ増えました。一方で販売費及び一般管理費は、12億4,999万円から13億3,789万円へ。増えたのは8,790万円だけです。

前年にあった補助金収入2,000万円のような特別利益も、今回はほとんどありません。利益は本業から出ています。

事業売上(今回)売上(前年同期)利益(今回)利益(前年同期)
放電加工・表面処理61億7,324万円48億5,223万円14億6,950万円10億204万円
金型17億9,393万円16億4,643万円2億1,135万円1億5,220万円
機械装置等6億6,931万円6億262万円1億5,294万円5,806万円

※短信12ページ目のセグメント情報から。利益は本社の費用を配る前のものです。

3つの事業がそろって増収増益ですが、金額で利益を押し上げたのは放電加工・表面処理です。機械装置等は利益が2.6倍強に増えています。ただ、この期から環境事業の一部が放電加工の部門から機械装置等へ移されました。前年の数字が新しい区分に組み直されているのかどうかは、短信の表からは読み取れませんでした。

作るより速く、注文が入っています

短信の最後にある補足情報も開きました。この半年の受注高は96億7,740万円です。生産実績の86億4,365万円を、10億円あまり上回っています。放電加工・表面処理だけでも、受注は73億815万円で前年同期の4割近く増です。

貸借対照表では、建設仮勘定が7,300万円から2億3,462万円へ増え、土地も増えています。作る場所を広げている最中だと分かります。

営業キャッシュ・フローが減ったのは、払った時期のせいだと考えています

引っかかったのは、キャッシュ・フロー計算書でした。税引前の利益は倍近いのに、営業キャッシュ・フローは15億5,171万円から6億5,552万円へ、半分以下に減っています。

前年と並べると、減った原因は利益の側ではなく、支払いと入金の動きにあることが見えてきます。

営業キャッシュ・フローの中身前年同期今回
税金等調整前中間純利益5億5,648万円10億7,581万円
売上債権の増減+1億7,144万円△2億9,858万円
仕入債務の増減+2億8,996万円△4億9,885万円
その他の流動負債の増減+2億3,716万円△8,396万円
営業キャッシュ・フロー15億5,171万円6億5,552万円

※短信10ページ目から。△は現金が減る向きです。

いちばん大きいのは仕入債務です。前年の半年は、まだ払っていない代金が2億8,996万円積み上がり、現金を押し上げていました。今回は逆に4億9,885万円減っています。貸借対照表でも、電子記録債務が期首の7億1,149万円から2億8,457万円まで減りました。手形の代わりに使う、支払いの約束です。

……前の年の半年が、支払いを後ろに回したぶん良く見えていたのか。

入金待ちの売上債権も増えていますが、売上が2割伸びた半年なら珍しくありません。

足りない分は借入で埋めています。短期借入金は19億7,384万円から25億9,051万円へ増えました。長期借入金のほうは、17億921万円から14億9,175万円へ減っています。長い借入を返しながら、短い借入で回している形です。支払利息も4,377万円から5,990万円へ増えています。

それでも手元の現金は期首とほぼ同じ水準で、自己資本比率は45.7%から46.7%へ上がりました。財務が傷んだ半年ではありません。

会社の説明は、粗利と経費の数字と合っています

会社は短信4ページ目で、利益の伸びを2つの理由で説明しています。航空・宇宙で量が増えたことによる効率の良さと、環境・エネルギーで付加価値の高い品の売上が増えたことです。ガスタービン部品では、前年に増やした設備が段階的に動き始めたとも書いています。電力需要の増加はAIの普及が背景だ、という説明です。

経費がほとんど増えないまま粗利が伸びたことは、量が増えて効率が上がった、という説明とそのまま合います。ここは受け取ってよいと考えています。住宅向けや自動車向けは鈍いと、自分から書いている点も信用できます。

留保が付くのは現金の話です。仕入債務がなぜこれだけ減ったのかは、決算短信には書かれていません。

利益は通期予想の6割まで来ています

中間の実績通期予想進み具合残り6ヶ月に必要な額
売上高86億3,600万円170億6,700万円約50.6%約84億3,100万円
営業利益11億3,200万円18億3,200万円約61.8%約7億円
純利益7億3,200万円11億5,100万円約63.6%約4億1,900万円

※約の付いた数字は、表紙の通期予想から私が割り算・引き算したものです。

半年が終わって、売上はちょうど半分、利益は6割を超えています。残り6ヶ月の営業利益7億円は、前年の後半より4割近く多い見込みです。

純利益だけは違います。残り6ヶ月の4億1,900万円は、前年の後半より1割強少ない見込みです。前年の後半の数字は、前年の通期から中間を引いて私が出したものです。営業利益は伸ばすのに、純利益は減らす。前年の後半に一度きりの利益があったのかもしれません。予想の詳しい中身は同じ日の業績予想修正のお知らせに回されていて、私はそちらをまだ開いていません。

私はどう読んだか

営業キャッシュ・フローの落ち込みは、本業が現金を生まなくなったのではなく、支払いの時期の差だと考えています。理由は、前年の半年に仕入債務とその他の流動負債で膨らんでいた分が、今回は逆向きに戻った形になっているからです。粗利の伸びと受注の積み上がりは、どちらも本業の数字です。

心配性なので、短期借入で回す形が後半も続くかは確かめます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://data.swcms.net/file/hsk/dam/jcr:58369f43-9c43-4ffc-9d28-53ffe5d4d77d/140120261002545584.pdf

残り6ヶ月の純利益を前年の後半より少なく見込んだ理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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