はじめに
ハニーズは、女性向けの普段着を売っている会社です。郊外のショッピングセンターの中に店を構えていることが多い。食料品の買い物のついでに寄って、仕事や休日に着るブラウスやTシャツを手ごろな値段で買う。そういう使われ方をする店です。客層は学生から母親の世代まで広くとっています。
本社は福島にあります。服の多くは東南アジアで作っていて、ミャンマーには自社の縫製工場があります。作るところから売るところまで自分で握っている婦人服の専門店です。
夏物がいちばん動く季節の決算なので、売り場の空気がそのまま数字に出ます。
夏の3か月で、営業利益が半分になりました
2026年9月29日に出た、第1四半期の決算短信です。対象は6月から8月です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 129億6,800万円 | 138億9,900万円 | △6.7% |
| 営業利益 | 5億9,000万円 | 12億500万円 | △51.1% |
| 経常利益 | 6億9,300万円 | 12億7,200万円 | △45.5% |
| 純利益 | 3億7,500万円 | 7億9,200万円 | △52.6% |
売上の減り方は1割に届きません。それなのに、利益はどの段も半分前後まで減っています。この差がどこから来たのかを、短信の後ろのほうで探しました。
値付けよりも、売上の足りなさが利益を削っています
短信の4ページ目で、会社は売上総利益率を58.9%、前年から0.7ポイントの低下と書いています。一方で販管費は70億4,900万円で、前年とほぼ同じです。会社自身が「概ね計画どおり」と書き、販管費率が上がったのは「売上高が計画を下振れたこと」によると説明しています。
営業利益の減少は6億1,500万円ほどで、その大半は粗利の減少です。では、粗利の減少のうち、率の低下と売上の減少のどちらが大きいのか。これを分けてみました。
今回の売上高は129億6,800万円です。これに前年の粗利率59.6%をかけると、粗利は約77億2,900万円になります。実際の粗利は76億3,900万円なので、率の低下で失ったのは約9,000万円です。前年の粗利は82億8,300万円でした。そこから約77億2,900万円を引くと約5億5,400万円で、これが売上が減ったことで失った分です。これは私の引き算です。
店の家賃も人件費も、売上が減ったからといってすぐには下がりません。粗利が5億円あまり減り、販管費がそのまま残った。半減の中身はそれでほぼ説明が付きます。
ミャンマーの赤字は、連結の利益を削っていません
今回から、ミャンマーの工場が独立したセグメントとして出てきました。1ページ目には載っていない数字です。短信の10ページ目と11ページ目の表を並べます。
| 営業利益 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 日本 | 12億56万円 | 5億7,417万円 |
| ミャンマー | 5,293万円 | △1億9,873万円 |
| セグメント間取引の消去 | △4,787万円 | 2億1,461万円 |
| 連結 | 12億563万円 | 5億9,005万円 |
表の金額は、短信の千円単位の数字を万円に直したものです。
ミャンマーは2億円近い赤字に転じています。ただ、同じ表の「消去」の行が、前年のマイナスから今回は2億円あまりのプラスに変わっています。連結の営業利益5億9,005万円は、日本だけの5億7,417万円より大きい。……赤字の工場を足したのに、合計は日本単体を上回っている。
ミャンマーの工場はグループの外に服を売っていません。売上は全部、日本向けの社内取引です。その取引の値段や在庫の動きで出た損益が、連結では消えている、と私は受け取りました。会社は短信の5ページ目で、ミャンマーは「計画比では増収増益」と書いています。なぜこの消去の額になったのかは、短信には書かれていません。いずれにせよ、利益を減らした本体は日本の店のほうです。
経常利益には、為替差益が乗っています
経常利益が営業利益より1億円ほど多いのは、営業外収益の内訳を見ると分かります。今回は為替差益が1億1,721万円入りました。前年は203万円の為替差損でした。
一方で、デリバティブ評価損が5,739万円出ています。為替の予約を持っている会社なので、差益と評価損は同じ円相場の動きの表と裏だと思います。差し引きでも6,000万円ほど経常利益を押し上げた格好です。前年に3,499万円あった金銭の信託運用益は、今回は166万円に減っています。
経常段階の減益率が営業段階より小さく見えるのは、この為替の分だと考えています。本業の減り方を見るなら、営業利益のほうです。
会社はどう説明しているか
減収の理由として、会社は3つを挙げています。前年より気温の低い日が多く、台風や大雨があったこと。節約志向が強く、客数が伸びなかったこと。そしてECです。自社サイトへのアクセスは増えたものの、天候不順などで購入に至る割合が下がったと書いています。
利益については、季節商品の店頭価格を据え置いたことと、円安で仕入原価が上がったことを理由にしています。
天候の話は、そのまま受け取っています。夏物の出来は空模様で決まる部分が大きいからです。ただ、節約志向は天気と違って、秋になれば消えるものではありません。サイトに人は来たが買わなかった、という一文も同じ方向を指しています。この2つは、天候の話と同じようには受け取れません。
通期予想に対して、どこまで来ているか
表紙の業績予想は、7月7日に出したものから変わっていません。通期の営業利益の予想は40億円です。第1四半期の5億9,000万円は、その15%ほどです。4分の1を目安とすれば、だいぶ手前にいます。
気になったのは、上期予想の置き方です。表紙には、上期の営業利益22億円、前年同期比△19.5%と載っています。△19.5%は、前年の0.805倍ということです。22億円を0.805で割り戻すと、前年の上期は約27億3,300万円でした。そこから前年の第1四半期12億500万円を引くと、前年の9月から11月は約15億2,800万円稼いだことになります。
| 営業利益 | 6〜8月 | 9〜11月 | 上期累計 |
|---|---|---|---|
| 前年 実績 | 12億500万円 | 約15億2,800万円 | 約27億3,300万円 |
| 今年 | 5億9,000万円(実績) | 16億1,000万円(予想の残り) | 22億円(予想) |
約の付いた数字は、表紙の増減率△19.5%から私が割り戻したものです。今年の9月から11月は、上期予想22億円から実績5億9,000万円を引いた残りです。その額は16億1,000万円になります。
夏に前年の半分しか稼げなかった会社が、秋の3か月には前年を上回る利益を見込んでいます。売上でも同じ計算をすると、上期予想287億円から今回の実績を引いて、9月から11月は157億3,200万円です。前年の同じ3か月は約150億円だったので、5%ほど多く売る計算になります。
私はどう読んだか
この減益は、値付けの失敗よりも、売上が足りなかったことで起きたものだと考えています。理由は、粗利率の低下が0.7ポイントにとどまり、販管費は計画どおりに収まっていたからです。売上さえ戻れば利益も戻る形は、まだ崩れていません。
ただ、会社はその「戻る」を、9月からの3か月に前年以上の水準で置きました。夏に客数が伸びなかった理由の半分は節約志向で、これは季節で変わりません。心配性なので、私はこの秋の予想は高く置きすぎだと考えています。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
投資その他の資産が3か月で8億1,500万円増えた中身は、短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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