日本食品化工(2892)2027年3月期 第1四半期決算分析――進捗の早さは、前年と同じ形と読みました

日本食品化工(2892)2027年3月期 第1四半期決算分析――進捗の早さは、前年と同じ形と読みました 決算を読む

はじめに

とうもろこしから澱粉を取り出している会社です。澱粉は、米菓の生地や外食の揚げ物の衣に使われます。加工食品のとろみ付けにも入っています。紙を作るときにも使うので、製紙会社も買い手です。

澱粉をさらに分解すると、甘い液体になります。これが糖化品で、清涼飲料の甘みなどに使われます。売上の6割あまりがこの糖化品です。暑い夏ほど飲料が売れるので、天気で数字が動きます。

とうもろこしのうち澱粉にならない部分も、捨てずに副産物として売っています。原料のとうもろこしは米国から輸入しています。そのため、米国の穀物の値段、為替、船の運賃の3つが、そのまま仕入れに響きます。

売上は少し、利益は3割増えた四半期

7月31日に出た第1四半期決算です。対象は4月から6月の3か月です。

今回前年同期増減率
売上高175億8,100万円171億9,400万円+2.3%
営業利益10億3,900万円7億8,100万円+33.0%
経常利益10億6,500万円8億9,400万円+19.2%
純利益7億2,900万円6億3,400万円+14.8%

売上の伸びは2%ほどです。それに対して、営業利益は3割増えています。まずこの差がどこから来たのかを探しました。

原料は高くなったと書いてあるのに、売上原価がほぼ動いていない

短信の4ページ目で、会社は原料の話をしています。シカゴのとうもろこしの値段は前年より低い水準でした。それでも、円安と海上運賃の上昇で輸入価格が高くなり、原料調達コストは増加した、という説明です。

そのうえで損益計算書を開くと、売上原価は141億4,300万円から141億6,300万円へ。増えたのは2,000万円だけです。売上高は3億8,700万円増えています。つまり、増えた売上のほとんどが、そのまま粗利に残ったことになります。

……原料が高くなったと書いた同じ短信で、原価がほとんど動いていない。ここで引っかかりました。

増えた売上の9割近くは、副産物でした

手がかりは、同じ4ページ目にある部門別の説明にありました。この会社は事業が1つなので、セグメント情報の表は省略されています。そのかわり、説明文の中に部門ごとの売上が書かれています。

部門売上高前年同期比
澱粉35億4千万円+2.1%
糖化品112億6千万円−0.3%
ファインケミカル6億3千万円+1.4%
副産物21億3千万円+19.1%

出どころ:短信4ページ目の説明文。金額は会社の書き方のままです。

副産物の前年の売上は、21億3千万円を1.191で割って、およそ17億9千万円です。1年で約3億4千万円増えたことになります。売上全体の増加は3億8,700万円でした。その9割近くを副産物が占めています。売上の中心である糖化品は、わずかに減っていました。

副産物が増えた理由も、短信に書いてあります。主製品の出荷が増えて発生量が増えたこと。それに、一部製品の販売価格が前年同期を上回ったことです。ここまでは短信の数字と説明です。

副産物は、澱粉を作れば必ず出てくるものです。副産物のために原料を買い足すわけではないので、値段が良くなったぶんの多くは粗利に残ります。原料が高くなったぶんを、副産物の値段の改善が埋めた、と私は読みました。

原価を抑えたものは、ほかにもあります。9ページ目の注記によると、減価償却費は7億4,800万円から6億9,100万円へ減っています。差は5,700万円です。

経常利益の伸びが鈍いのは、持分法の利益が減ったから

営業利益は3割増えましたが、経常利益の伸びは2割に届いていません。本業の外で、減ったものがあるということです。

持分法による投資利益が、1億1,900万円から2,600万円に減っていました。出資先の会社が出した利益のうち、持ち分に当たるぶんです。どの出資先で何があったのかは、決算短信には書かれていません。

キャッシュ・フロー計算書のかわりに、貸借対照表を追う

私はいつも、短信の後ろのほうにあるキャッシュ・フロー計算書まで行きます。今回その場所には、「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」という注記がありました。第1四半期に作らない会社は、いまは珍しくありません。

そこで、貸借対照表で3月末から6月末への動きを追いました。

科目3月末6月末
売掛金130億4,200万円151億8,600万円
電子記録債権14億9,000万円20億3,600万円
買掛金22億200万円12億7,800万円
賞与引当金12億3,500万円3億700万円
短期借入金80億円110億円
現金及び預金3億3,800万円2億6,100万円

出どころ:短信の四半期連結貸借対照表。

売った代金のうち、まだ受け取っていないぶんが膨らんでいます。その一方で、仕入先への支払いと賞与の支払いは済ませています。足りない分は、短期借入金を30億円増やして埋めた形です。同じ3か月の間に、自己株式も3億7,900万円から6億3,400万円に増えていました。

これが毎年の6月末の姿なのかどうかは、分かりません。短信の貸借対照表は3月末と比べているだけで、前年の6月末の残高は載っていないからです。4月から6月は、大型連休があり、夏に向けて出荷が増える時期です。売掛金が膨らむのは、売上の季節の形だと私は考えています。

会社の説明は、売上までは丁寧です

会社の説明は、販売の話が中心です。大型連休と外食の回復で、食品用の澱粉と糖化品は概ね堅調でした。製紙会社向けは、新聞や雑誌のデジタル化で数量が減っています。糖化品では、気温が例年より低めだったことと節約志向が重なり、飲料向けが伸び悩みました。

この販売の話は部門別の数字と合っているので、そのまま受け取ります。

一方で、営業利益が3割増えた理由は、短信の説明文には直接書かれていません。表紙には「決算補足説明資料作成の有無:無」とあります。表紙を見るかぎり、この決算について会社が用意した資料は、短信だけです。利益の理由は、損益計算書から組み立てることになります。

半分を超えた進み具合は、前年より遅いくらいでした

第1四半期通期予想進み具合残り9か月に要る額
売上高175億8,100万円655億円約26.8%約479億1,900万円
営業利益10億3,900万円19億円約54.7%約8億6,100万円
経常利益10億6,500万円20億円約53.2%約9億3,500万円
純利益7億2,900万円15億円約48.6%約7億7,100万円

約の付いた数字は、表紙の通期予想と第1四半期の実績から、私が割り算・引き算で出したものです。

営業利益は、3か月で通期予想の半分を超えました。この時期の目安は4分の1なので、ずいぶん先を走っているように見えます。それでも会社は、4月30日に出した予想を変えていません。

ところが前年と並べると、この進み具合は早すぎる数字ではありません。表紙の通期予想19億円には、前期比+51.8%と書いてあります。19億円を1.518で割り戻すと、前期の営業利益はおよそ12億5,200万円です。前年の第1四半期は7億8,100万円でした。前年は12億5,200万円の6割あまりを、最初の3か月で稼いでいたことになります。

営業利益4月〜6月7月〜翌3月通期
前期 実績7億8,100万円約4億7,100万円約12億5,200万円
今期(4〜6月は実績、ほかは会社予想)10億3,900万円約8億6,100万円19億円

約の付いた数字は、表紙の増減率+51.8%から割り戻して引いたものです。

前年に4億7,100万円だった9か月で、今年は8億6,100万円を稼ぐ計画です。前年の1.8倍にあたります。

据え置きは自然なことだと考えています

私は、予想を動かさなかったのは自然なことだという見方をしています。理由は、この会社の利益はもともと年の初めに偏っていて、今年の進み具合は前年より遅いくらいだからです。控えめな予想を出しておいて、あとで引き上げる形にはなっていません。

心配性なので、下振れのほうを先に考えます。残りの9か月で前年の1.8倍が要り、その支えのひとつは副産物の値段です。糖化品の飲料向けが本番を迎えるのは7月から9月ですが、4月から6月の時点で、すでに気温に足を引かれていました。

この先どうなるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260731/140120260728500472.pdf

原料が高くなったのに粗利が増えた理由のうち、副産物の値段で埋まったぶんとそれ以外のぶんの内訳は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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