オークマ(6103)第1四半期決算分析――純利益253.7%増のうち、1,752百万円は株を売った利益だった

オークマ(6103)第1四半期決算分析――純利益253.7%増のうち、1,752百万円は株を売った利益だった 決算を読む

8月5日に出た、オークマの2027年3月期第1四半期決算です。

はじめに

オークマは工作機械の会社です。工作機械というのは、金属のかたまりを削って部品にする機械のことで、「機械を作るための機械」とよく言われます。自動車の部品も、航空機のエンジンも、半導体を作る装置も、どこかで必ず工作機械が削った部品でできています。

オークマの主力はマシニングセンタと呼ばれる機械で、工具を自動で交換しながら、ひとつの機械で穴あけも切削もこなします。買うのは部品メーカーの工場です。町工場から大手まで、金属を削って食べている会社が、何千万円という単位で設備投資として買う。だから工作機械の受注は、世の中の製造業がこれから物を作る気があるかどうかの先行指標として、昔から見られてきました。

その会社の第1四半期です。1ページ目の業績表は、見出しになるような数字が並んでいました。ただ、その数字の中身は、8ページ目まで読まないと分かりませんでした。

この決算で何が起きたか

まず業績表です。

項目今回前年同期増減率
売上高51,90344,646+16.3%
営業利益4,3991,599+175.1%
経常利益4,9302,152+129.0%
純利益4,9841,409+253.7%

(単位:百万円)

売上が2割近く増えて、利益はその何倍もの勢いで増えています。前年の第1四半期が減収減益だったので、そこからの戻りという面はありますが、それにしても営業利益が2.75倍です。あわせて会社は通期の業績予想と配当予想を上方修正しました。配当は年100円から120円の予想へ。

きれいな決算に見えます。ここから中身です。

純利益の伸びには、本業でない利益が乗っている

引っかかったのは、営業利益と純利益の増え方の差です。営業利益が175.1%増なのに、純利益は253.7%増。普通、下に行くほど税金で削られるので、こんなに開きません。

答えは損益計算書(短信の8ページ目)にありました。特別利益に、投資有価証券売却益1,752百万円が計上されています。前年同期はゼロだった行です。持っていた株を売った利益で、工作機械を売った利益ではありません。

純利益4,984百万円のうち1,752百万円ですから、税金の影響を無視して単純に見れば、3分の1ほどがこれです。253.7%増という見出しの数字は、この売却益込みの数字だということは、押さえておいたほうがいいと思います。

念のため書いておくと、売却益を除いても営業利益は2.75倍です。本業が悪いという話ではなく、見出しの数字が少し盛られて見える、という話です。

採算そのものが変わっている

売上総利益の段階を見ます。売上原価の伸びは、売上の伸びより小さい。結果、営業利益率は前年同期の3.6%から8.5%へ上がりました。売る量が増えただけでなく、1台あたりの採算が良くなっています。

会社は4ページ目で、部材コストの上昇や米国の追加関税による負担増に対して「販売価格への転嫁に努め」たと書いています。値上げが通った、ということです。工作機械のような高額な設備で値上げが通るのは、客が待ってでも欲しがっている証拠でもあります。

その証拠がもうひとつ、12ページ目にありました。受注です。

前年同期今回
受注高54,16675,263
受注残高105,972124,767

(単位:百万円)

受注高は前年同期から4割近く増えて、会社は「過去最高」と書いています。受注残も積み上がっている。これを受けて会社は、通期の受注予想を250,000百万円から276,000百万円へ引き上げました。今回の上方修正の根っこは、この受注です。

ただし、儲かっているのは日本と米州だけ

セグメント情報(11ページ目)を見ると、景色が一様ではありません。

セグメント売上(外部)利益
日本23,8882,754
米州18,0631,964
欧州7,745△172
アジア・パシフィック2,205△36

(単位:百万円)

欧州とアジア・パシフィックは赤字です。欧州は前年同期が29百万円の黒字だったので、赤字転落です。

ここで引っかかるのは、会社の説明文との温度差です。4ページ目で会社は、欧州について防衛強化の動きを背景に「需要は大きく増加しました」と書いています。実際、売上は増えている。それでも利益は赤字。需要が増えているのに赤字になった理由は、決算短信には書かれていません。……売れているのに儲からないのは、どこかにコストが乗っているはずなのだが。

アジア・パシフィックも売上が前年同期から減って赤字です。「濃淡はありますが、拡大基調」という説明文と、この数字の間には距離があります。

現金の動きは、今回は確かめられない

短信の11ページ目に「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とあります。第1四半期なので制度上は普通のことですが、私が普段いちばん見に行く書類が、今回は無いということです。

代わりに貸借対照表を見ると、棚卸資産が前期末から5,311百万円増えて87,420百万円になっています。受注残が積み上がっているのだから、作りかけの機械が増えるのは自然な流れとも読めます。売れない在庫なのか、これから売れる仕掛品なのかは、この短信からは判別できません。中間決算でキャッシュ・フロー計算書が出たときに確かめます。

もうひとつ。純資産は前期末から8,023百万円増えましたが、4ページ目の内訳を読むと、その他有価証券評価差額金の増加6,044百万円が大きい。持っている株の値上がりで膨らんだ部分で、稼いで厚くなった部分は見た目より小さいです。

会社はどう説明しているか

会社の説明を4〜5ページ目から拾うと、こうです。米国では航空、宇宙・衛星、防衛、データセンタ・エネルギー関連の需要が高水準で続き、その流れが日本にも広がっている。中堅・中小の事業者にも設備投資を再開する動きが見られる。この需要拡大は中長期的に続くと見込む。だから受注予想も業績予想も配当予想も上げる、と。

需要の説明としては、受注の数字が裏付けているので、私は概ねそのまま受け取っています。ただ、欧州とアジアの採算については説明文と実績の温度差があるので、そこだけ留保をつけて読みました。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目進捗率
売上高20.0%
営業利益16.9%
純利益24.9%

通期の4分の1が過ぎた時点の目安を25%とすると、純利益だけ目安どおりで、営業利益は届いていません。純利益の進捗が良く見えるのは、例の売却益1,752百万円のせいです。

営業利益の進捗16.9%は、低く見えます。ただこれは、修正後の高くなった予想26,000百万円に対する進捗です。会社は自分でハードルを上げたうえで、残り9ヶ月で営業利益を前年の同じ期間より5割以上増やす計画を置いています。受注残124,767百万円が、その根拠ということになります。

私はどう読んだか

私は前向きに寄せて読みました。理由は、受注です。業績予想の修正は会社の意思ですが、受注高75,263百万円と受注残124,767百万円は客の意思で、こちらのほうが重い。値上げが通っていることも含めて、本業の地力が上がった四半期だと読みました。

ただし、純利益253.7%増という数字は、そのままの顔では受け取っていません。3分の1ほどは株の売却益です。それから、儲けの源泉が日本と米州に集中していて、欧州とアジアは赤字だという偏りは、覚えておくつもりです。米国頼みの需要がもし崩れたら、という心配は残ります。読み違えかもしれませんが、私は上振れより先にそちらを見てしまう性分です。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260805/140120260805509265.pdf

欧州セグメントが売上を増やしながら赤字に転落した理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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