明豊エンタープライズ(8927)2026年7月期 通期決算分析――違約金収入は引いて読みました

明豊エンタープライズ(8927)2026年7月期 通期決算分析――違約金収入は引いて読みました 決算を読む

東京の23区内に、一棟丸ごとの賃貸マンションやアパートを建てて、投資家に売る会社です。買うのは、家賃収入を目的にする個人や、円安を追い風に日本の不動産を見に来ている海外の投資家です。土地を仕入れ、設計し、グループの建設会社が建て、売り、売ったあとの入居者募集や管理まで自分たちで受け持ちます。

私は自動車部品を作る会社にいますが、仕組みは似ています。材料を仕入れて、製品にして、出荷する。ただ、一つの製品が数億円で、建てている間はお金が入ってきません。だから仕入れの資金はほとんど借金で賄います。売れたら返して、また借りる。この会社の決算を読むときは、損益計算書と同じくらい、借入の動きを見ることになります。

この決算で何が起きたか

9月14日に出た2026年7月期の通期決算です。

今回前年同期増減率
売上高368億9,400万円297億9,600万円+23.8%
営業利益47億400万円33億7,300万円+39.5%
経常利益39億8,100万円26億8,300万円+48.4%
純利益27億4,500万円18億9,300万円+45.0%

配当も12円から15円に上がっています。1ページ目だけを見れば、文句の付けようのない決算です。ただ、営業利益の伸びより経常利益の伸びが大きいところで、私は手が止まりました。

売ったものが、土地から建物へ移った

まず営業段階の伸びは、中身が変わったことで説明が付きます。15ページと16ページのセグメントの表に、売上の内訳があります。

売上の内訳前年同期今回
主力ブランドの新築一棟180億8,200万円293億7,400万円
そのほか62億9,200万円12億900万円

出どころは短信15ページと16ページのセグメント情報です。主力ブランドの新築一棟が増え、そのほかが減りました。

4ページの会社の説明文を重ねると、そのほかの中身が分かります。前期は開発事業用地を14件引き渡していました。今期は2件です。つまり前期は、土地を仕入れて建てずに売った分が売上の2割ほどありました。今期はそれがほぼ消えて、自分で建てた建物の販売に入れ替わっています。建物の引渡しは31棟から39棟です。

売上総利益率も上がっています。

売上総利益率売上総利益売上高
前期56億9,700万円297億9,600万円約19.1%
今期74億7,800万円368億9,400万円約20.3%

出どころは短信9ページの損益計算書で、率は私の割り算です。会社が「当初予想を上回る高い利益率」と書いているのは、この入れ替わりの結果だと私は受け取りました。ここまでは、良い話です。

経常利益の伸びに、違約金収入2億5,442万円が入っている

引っかかったのは9ページ目の損益計算書、営業外収益の欄です。

営業外の主な項目前年同期今回
違約金収入249万円2億5,442万円
損害賠償収入無し1,645万円
支払利息5億5,493万円6億7,893万円
支払手数料2億1,122万円3億3,102万円

違約金収入が、249万円から2億5,442万円に跳ねています。13ページのキャッシュ・フロー計算書を見ると「違約金の受取額」として2億5,435万円が現金でも入っているので、帳簿上の話ではなく、実際に受け取ったお金です。誰から、何の契約の違約金なのかは、決算短信には書かれていません。

同じ損益計算書の下のほうには、特別損失に和解金7,398万円があります。こちらも中身の説明は短信にはありません。違約金を受け取り、和解金を払う。……いや、この2つが同じ話なのかどうかも分からない。

数字で確かめます。経常利益は39億8,100万円で、前期は26億8,300万円でした。引き算をすると、増加は12億9,800万円です。営業利益の増加は13億3,100万円ありましたから、営業外では差し引きで3,300万円ほど減っているはずです。

営業外費用のほうは、7億7,000万円から10億2,500万円へ増えています。増加分は2億5,500万円で、支払利息と支払手数料が増えた分です。この費用の増加を、違約金収入2億5,442万円がちょうど埋め戻しています。営業利益の伸びがそのまま経常利益の伸びになったのは、一度きりの収入のおかげです。

現金は増えた。ただし借りて増えた

もう一つ、キャッシュ・フロー計算書には、この会社の商売の形がそのまま出ています。期末の現金は96億2,900万円で、前の期末から48億4,000万円増えました。ただし営業活動で稼いだ現金は16億1,200万円で、前期の28億9,400万円から減っています。理由は、棚卸資産が14億2,100万円増えたからです。建てている途中の建物と、仕入れた土地です。

現金を増やしたのは財務活動です。長期の借入で132億9,200万円を借り、105億600万円を返しました。貸借対照表を見ると、返す期限の違いで動きが逆になっています。

長期借入金前期末今期末
1年以内に返す分64億1,400万円35億3,300万円
1年より先に返す分68億2,900万円124億9,600万円

出どころは短信の貸借対照表です。1年以内に返す分が減り、1年より先に返す分が増えました。返す期限が先へ延びた形です。

6ページには、会社自身が並べた指標の表があります。営業キャッシュ・フローで利払いを何回賄えるかを示すインタレスト・カバレッジ・レシオが5.3倍から2.4倍へ、有利子負債を営業キャッシュ・フローで割った年数が5.5年から12.0年へ動きました。

商売が在庫を積んで売る型である以上、借入が膨らむ年があるのは当たり前です。それでも、自分でこの2つの数字を印刷して出しているところに、私は目が行きました。

会社はどう説明しているか

6ページの今後の見通しでは、城南・城西地区を中心に年間44件前後の販売を計画する、とあります。今期の39棟からもう少し増やす計画です。一方で、事業環境の説明には「金利上昇局面への移行」に注意を要する、と会社側の言葉で入っています。会社もそこを心配していることは分かります。

違約金と和解金は、表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに書いてあるのかもしれません。私はまだ読んでいません。

来期の予想は、営業と経常で温度が違う

通期の決算なので、進み具合ではなく、会社が来期をどう置いたかを見ます。

2027年7月期 予想第2四半期累計通期通期の増減率
売上高157億円411億円+11.4%
営業利益18億円50億円+6.3%
経常利益13億円40億円+0.5%
純利益9億円28億円+2.0%

営業利益は6%伸びる予想なのに、経常利益はほぼ横ばいです。営業利益と経常利益の差を、今期と来期で並べます。

営業利益と経常利益の差営業利益経常利益
今期(実績)47億400万円39億8,100万円約7億2,300万円
来期(予想)50億円40億円約10億円

出どころは短信の業績予想の表と9ページの損益計算書で、差は私の引き算です。差が2億7,700万円広がります。

これは、違約金収入2億5,442万円が来期は無いと、会社が自分で見込んでいる数字だと私は考えています。つまり、今期の経常利益48%増は、会社自身も一度きりと見ているわけです。

私はどう読んだか

営業利益の伸びは本物だと考えています。理由は、土地を売る商売から建物を建てて売る商売へ中身が入れ替わり、売上総利益率が上がっているからです。

経常利益と純利益の伸び率は、そのままでは受け取りません。違約金収入の分を引くと、営業外費用の増加がそっくり残ります。心配性なので、頭に残るのは違約金より、6ページの表で利払いの余裕が半分以下になったほうです。金利が上がる局面で在庫を積む商売が、次に何を持ってくるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

【公式】明豊エンタープライズ | 投資用賃貸アパートMIJAS(ミハス)、採用情報、IR情報など
明豊エンタープライズの公式サイトです。投資用賃貸アパートMIJAS(ミハス)、不動産開発・再生事業、アドバイザリー事業、SHELLZE(シェルゼ)事業、採用情報、IR情報などについてご紹介いたします。

違約金収入2億5,442万円が何の契約のもので、特別損失の和解金7,398万円と関係があるのかどうかは、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました