建設技術研究所(9621)中間決算分析――業績の表より、海外セグメントの数字に引っかかりました

8月13日に中間決算を発表した建設技術研究所(9621)――1ページ目より、10ページ目の海外の数字に引っかかりました 決算を読む

はじめに

建設コンサルタントの会社です。ゼネコンのように橋や道路を作るのではなく、その手前にいます。川が氾濫しないように堤防をどう設計するか、老朽化した道路をどの順番で直すか。そういう計画や設計を、国や自治体から請け負って図面と報告書にする仕事です。河川と道路に強く、この分野では国内の上位にいます。子会社を通じてアジア・アフリカや英国でも同じ仕事をしています。

私たちが直接お金を払う相手ではありません。でも、大雨のたびにニュースになる「流域治水」の裏側で、こういう会社が設計をしています。発注者はほとんどが官公庁なので、国の公共事業予算がそのまま事業環境になる。そういう商売です。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高55,00350,794+8.3%
営業利益6,6175,976+10.7%
経常利益6,6966,034+11.0%
純利益4,4273,779+17.1%

(単位:百万円)

増収増益です。前年の中間期は営業利益が1割以上減っていたので、そこからの切り返しでもあります。1ページ目だけ見れば文句のない中間期です。

最初の表では分からなかったこと

伸びたのは海外でした

10ページ目のセグメント情報を見に行きます。海外建設コンサルティング事業のセグメント利益が、前年同期の41百万円から320百万円になっていました。前年はほぼ利益ゼロだった事業が、利益を出す側に回った。国内も6,299百万円と積み上がっていますが、営業利益の増え方の中身としては、海外の改善が効いています。

会社の説明文(4ページ目)には、JICA予算に下げ止まりの兆し、英国では遅れていた公共事業費の執行が進み始めた、とあります。海外の中身は円ベースでしか分からないので、為替がどれだけ効いたのかまでは読み取れませんでした。

受注は増えていません

4ページ目に、受注高61,053百万円、前年同期60,917百万円と印字されています。ほぼ横ばいです。売上が8.3%伸びているのに、受注は0.2%しか増えていない。……手持ちの仕事を消化して売上にした半年、とも読める。

すぐに困る話ではありません。ただ、売上の伸びと受注の伸びが逆を向いたまま続くと、いずれ売上の側が止まります。次の決算でここだけは見に行きます。

純利益の伸びには、特別損失の縮小が乗っています

純利益だけ+17.1%と、営業利益より伸びが大きい。7ページ目の損益計算書を見ると、特別損失が前年同期の581百万円から77百万円に減っていました。前年は社員寮の減損432百万円などが乗っていたのが、今年は61百万円で済んでいます。営業の実力が17%伸びたわけではありません。

余談ですが、この社員寮(さいたま市)は前年に「使用を見合わせることになった」として減損され、今年は「売却価格が確定した」として追加で減損されています。9ページ目の注記を並べて読むと、遊休資産が処分まで進んだ経過が分かります。貸借対照表の土地も減っていました。

現金がほぼ倍になっていますが、CF計算書はありません

5ページ目で、現金及び預金が15,988百万円から32,672百万円に増えています。半年で倍以上です。一方で、受取手形・完成業務未収入金及び契約資産が44,144百万円から31,393百万円へ大きく減っている。官公庁相手の商売は年度末に納品して春に回収する形になりやすいので、期末に積み上がった未収金が上期に現金へ変わった、という動きに見えます。

ただ、この中間短信にキャッシュ・フロー計算書は付いていません。回収でどれだけ、それ以外でどれだけ増えたのか、内訳は読み取れませんでした。ここは通期の短信で確かめます。

株主還元は先に発表済みでした

11ページ目の後発事象に、自己株式取得の決議があります。120万株・30億円が上限で、取得した株は消却する予定と書かれています。発行済株式の約4.4%です。配当も、1ページ目の注記にあるとおり、年75円から110円への引き上げが7月30日に発表済みです。予想配当性向は42.7%。今日の短信で初めて出た話ではありませんが、この決算の一部として読んでおくべき数字です。

会社はどう説明しているか

国内については、20兆円強を予算とする国土強靱化の5年計画が閣議決定され、公共事業関係費も前年を上回っている、防災・減災やインフラ老朽化対策が引き続き進むと想定される、と書いています。海外は先に書いたとおりです。

国内の説明は、そのまま受け取っていいと思います。発注者が国である以上、閣議決定された予算は事業環境そのものです。海外の英国のくだりには、会社自身が「首相交代及び中東情勢の影響により予断を許さない」と留保を付けています。会社が自分で付けた留保は、読者もそのまま持っておくべきです。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は2月の公表から変更なしです。

項目通期予想進捗率
売上高105,00052.4%
営業利益10,50063.0%
純利益7,00063.2%

(単位:百万円。進捗率は上の計算資料の数字です)

半年で利益の6割を超えています。目安の5割よりだいぶ先にいる。面白いのは、会社自身が4ページ目の説明文の中で「通期予想経常利益の63.8%」と自分の進捗率を書いていることです。書いたうえで、予想は変えていない。下期に利益が乗りにくい商売なのか、単に慎重なのか、初めて読む会社なので私には判別が付きません。残り6ヶ月の予想を私が引き算すると、売上はほぼ前年並みの置き方になっています。保守的に見える置き方ですが、受注が横ばいだったことを思うと、慎重さには理由があるのかもしれません。

私はどう読んだか

良い方に寄せて読んでいます。理由は、利益の改善が一時的な収入ではなく、赤字すれすれだった海外セグメントの立ち直りから来ているからです。特別損失の縮小で純利益がきれいに見えている分は割り引くとしても、営業段階で1割増えているのは本物です。

引っかかりは受注の横ばい、一点だけ残ります。国の予算が付いているのに受注が増えていないのはなぜか。単に大型案件の期ずれかもしれませんし、私の読みすぎかもしれません。次の短信で受注の行から見ます。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.ctie.co.jp/ir/financial/tanshin/uploads/2026/08/2026_12_2_4_tanshin.pdf

海外セグメントの利益改善のうち、為替によるものがどれだけかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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