スマレジは、店のレジをタブレットやスマートフォンで動かす仕組みを、月々の利用料で貸している会社です。使っているのは、小さな小売店や飲食店が中心です。昔のレジは一台買い切りで、売上を知るには店に行くしかありませんでした。それを店主が家からでも確かめられる形に変えたのが、この商売です。
レシートプリンタや現金の引き出しといった機器も売っています。カード決済、従業員のタイムカード、ネット通販の仕組みと、店に要るものを順に足していく方向へ進めています。会社側はそれを「お店のOS」と呼んでいます。
売上2割増で、営業利益は7割増えました
9月14日に出た第1四半期の決算短信です。対象は2026年5月から7月までの3か月です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 36億800万円 | 30億1,300万円 | +19.7% |
| 営業利益 | 10億2,700万円 | 5億9,200万円 | +73.3% |
| 経常利益 | 10億2,200万円 | 5億9,500万円 | +71.8% |
| 純利益 | 6億8,300万円 | 3億8,500万円 | +77.4% |
表紙だけなら文句のつけようがありません。引っかかったのは、そのあとのページでした。
増えた売上の8割以上が、粗利として残っています
損益計算書を上から順に並べます。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 30億1,399万円 | 36億815万円 |
| 売上原価 | 10億2,914万円 | 11億2,940万円 |
| 売上総利益 | 19億8,484万円 | 24億7,875万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 13億9,186万円 | 14億5,123万円 |
| 営業利益 | 5億9,297万円 | 10億2,751万円 |
売上の増加は5億9,416万円、売上総利益の増加は4億9,390万円です。増えた売上の8割以上が、粗利として手元に残ったことになります。
一方の販管費は5,936万円しか増えていません。粗利の増加から販管費の増加を引いた4億3,454万円が、営業利益の増えた分です。売上の中身は、添付資料の2ページ目に載っています。
| 販売内訳 | 前年同期 | 今回 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 月額利用料等 | 23億3,300万円 | 28億6,300万円 | +22.7% |
| 機器販売等 | 5億7,700万円 | 6億1,800万円 | +7.1% |
| その他 | 1億200万円 | 1億2,500万円 | +22.4% |
機器は売ったら終わりで、利用料は翌月も入ってきます。利益率の高いほうの比率が上がったわけです。会社が最重要指標と呼ぶARR(年間経常収益)は、4月末の110億5,500万円から7月末の115億8,900万円へ増えました。3か月で5億3,400万円の積み上がりです。
利益率の上がり幅の3分の2は、費用を増やさなかった分です
販管費がほぼ増えなかった理由を、会社は添付資料の2ページ目でこう説明しています。組織拡大で人件費は増えたが、テレビCM放映の最適化等により広告宣伝費が減った、と。人件費のほうは貸借対照表にも跡があり、賞与引当金が1,845万円から1億1,003万円へ増えています。
売上総利益率を割ってみると、前年同期の65.9%から今回は68.7%へ上がっています。3ポイント弱の改善です。営業利益率は19.7%から28.5%へ動いています。9ポイント近い上がり幅です。その差の6ポイントは、販管費が売上ほど増えなかったことで生まれています。率は私の割り算です。
広告宣伝費がいくら減ったのかは、短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに金額があるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。
現金が4億7,800万円減り、商品が3億2,500万円増えています
第1四半期はキャッシュ・フロー計算書を作っていないと注記にあるので、現金の動きは貸借対照表から追います。現金及び預金は4月末の81億3,821万円から7月末の76億6,015万円へ減っています。差し引きで4億7,800万円の減少です。
減った先は、おおむね3つで説明が付きます。配当の支払いが4億6,200万円、未払法人税等の減少が2億7,600万円です。それに商品の増加3億2,500万円を加えます。足すと10億6,300万円になり、純利益6億8,300万円を上回ります。稼いだ分より出ていった分のほうが多かった、ということです。配当と税金の支払いが重なる第1四半期なら、珍しい動きではありません。
引っかかったのは商品のほうです。8億4,489万円から11億7,055万円へ、3割以上増えました。売る側の機器販売等は1割弱しか伸びていません。……売れる速さより、仕込む速さのほうが上だ。
なぜ増やしたのかは、短信に書かれていません。添付資料の2ページ目に食料品の消費税率見直しの話があり、税率変更に対応できるクラウドPOSの認知拡大に努めるとあります。対応できないレジは入れ替えになるので、それに備えた仕込みかもしれません。
繰延税金負債が2億1,700万円、損益を通らずに消えています
もう一つ、貸借対照表で引っかかった箇所があります。固定負債の「その他」が2億2,183万円から380万円へ、ほぼ消えています。添付資料の4ページ目の説明では、ここに含まれる繰延税金負債が2億1,700万円減ったとあります。
……いや、これは変だ。繰延税金負債が減れば、ふつうは損益計算書の法人税等調整額に出ます。ところが今回の法人税等調整額は1,425万円の戻しで、桁が合いません。ここまでは短信の数字です。
同じ期に、投資その他の資産も1億4,700万円減っています。5月1日にネットショップ支援室を吸収合併しています。その際に、片方が持っていた繰延税金資産と、もう片方の繰延税金負債が相殺されて両側から消えた、と私は読みました。利益にも現金にも関係のない動きです。ただ理由そのものは短信になく、「等によるもの」で終わっています。
「利益率の高い月額利用料への構成比のシフト」と会社は説明しています
会社側が添付資料の2ページ目で挙げている理由は2つです。1つは、有料店舗の増加とキャッシュレス決済のクロスセルで月額利用料等が伸び、売上に占める比率が上がったこと。もう1つは、キャッシュレス決済事業の内製化などで原価を下げたこと。これで売上総利益率が上がった、とあります。損益計算書の数字と合っているので、ここはそのまま受け取ります。
留保を付けるのは広告宣伝費です。「最適化」という言葉は、やめたとも、時期をずらしただけとも取れます。
残り9か月を3で割ると、第1四半期より少なくなります
| 第1四半期 | 残り9か月 | 通期予想 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 36億800万円 | 約117億7,900万円 | 153億8,700万円 |
| 営業利益 | 10億2,700万円 | 約29億7,700万円 | 40億400万円 |
| 純利益 | 6億8,300万円 | 約20億9,800万円 | 27億8,100万円 |
約の付いた数字は、通期予想から第1四半期の実績を私が引いたものです。
営業利益は通期予想の4分の1ほどまで来ています。売上はそれよりわずかに手前です。
残り9か月の営業利益29億7,700万円を3で割ると、1四半期あたり9億9,200万円です。第1四半期の10億2,700万円を下回ります。月額利用料の土台は増えるのに、四半期の利益は下がる置き方です。会社は6月12日に出した予想を変えていません。理由は短信の中にありません。
広告を戻すつもりでいる、と私は受け取りました
読み方は2つあります。予想が控えめなだけで、放っておいても上回るのか。それとも、第1四半期の費用の水準が続かないことを、会社自身が分かっているのか。
私は後者の見方をしています。理由は、広告宣伝費を「減らした」ではなく「最適化」と書き、人件費のほうは組織拡大に伴う増加と、はっきり書いているからです。テレビCMをまた流し、人を増やせば、販管費が売上より遅く増える今回の形は続きません。粗利率の改善3ポイント弱は残るはずですが、営業利益率の残り6ポイントは費用次第です。
心配性なので、下振れから先に見ます。上がるかは知りません。会社が最重要指標と呼ぶARRが3か月で5億円強積み上がったのは短信の数字で、そこは動きません。
出典:決算短信(会社発表)

商品を3億2,500万円増やした理由と、広告宣伝費がいくら減ったのかは、短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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