ビルの骨組みを作る、電炉の会社
大和工業は、鉄スクラップを電気の炉で溶かして鋼材を作る会社です。主力はH形鋼です。断面がHの字の形をした長い鋼材で、ビルや工場、倉庫の柱と梁になります。買うのは建設会社や、鉄骨を組み立てる加工業者です。
工場は日本のほか、タイとインドネシアの子会社にもあります。米国、ベトナム、韓国には出資先の製鉄会社があり、こちらは持分法で取り込んでいます。持分法では、出資の割合に応じて相手の利益を自社の利益に加えます。売上高には入りません。
この会社の決算は、自前の工場の稼ぎと、出資先の稼ぎの二層でできています。今回は、その二層の差がかなり大きく開きました。
営業利益2億円、経常利益460億円
11月2日に出た中間決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 840億4,600万円 | 761億8,000万円 | +10.3% |
| 営業利益 | 2億2,400万円 | 19億9,400万円 | △88.7% |
| 経常利益 | 460億7,100万円 | 279億2,800万円 | +65.0% |
| 純利益 | 275億5,600万円 | 191億3,300万円 | +44.0% |
売上高は1割増えましたが、営業利益は9割近く減りました。それでも経常利益は6割以上増えています。営業利益と経常利益のあいだに、450億円を超える開きがあります。
差の大半は、米国の出資先の持分
損益計算書の営業外収益を開くと、開きの中身はすぐに分かります。
| 営業外収益 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 受取利息 | 44億8,800万円 | 33億4,100万円 |
| 持分法による投資利益 | 210億9,300万円 | 417億4,500万円 |
| 営業外収益合計 | 267億4,000万円 | 461億600万円 |
持分法による投資利益は417億4,500万円で、前年同期のほぼ倍です。経常利益の9割にあたります。
短信の説明文によれば、柱は米国の出資先です。データセンターを中心に大型建築向けの形鋼需要が続き、販売価格の上昇で鋼材の利ざやが広がった、と書いています。もう一つは為替です。海外各社は1月から6月の業績を取り込んでおり、その期間の平均為替レートは、前年同期の1ドル147.48円から158.61円へ円安になっています。
その利益は、配当として現金で届いていた
持分法の利益は、帳簿の上だけの数字になりやすいものです。出資先が稼いでも、配当を出さなければ現金は入ってきません。だから添付資料10ページのキャッシュ・フロー計算書まで行きました。
| 営業CFの中身 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 小計 | 101億4,100万円 | 56億6,000万円 |
| 利息及び配当金の受取額 | 373億8,600万円 | 490億4,600万円 |
| 法人税等の支払額 | △98億9,300万円 | △97億100万円 |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 375億6,900万円 | 449億8,300万円 |
利息及び配当金の受取額は490億4,600万円です。持分法の利益417億4,500万円を上回っています。会社も説明文で、営業CFの増加は米国の持分法適用関連会社からの現金分配によると書いています。……帳簿の上の利益だと思って開いたら、ちゃんと届いていた。
一方で、小計は前年同期の半分ほどに減っています。棚卸資産が51億円あまり増えたためです。自前の工場の商売は、現金の面でも弱い半年でした。
日本の赤字には、2か月の操業停止が入っている
事業ごとの表を並べると、弱いのは日本だけだと分かります。
| セグメント利益 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 鉄鋼事業(日本) | 14億3,800万円 | △30億1,800万円 |
| 鉄鋼事業(タイ) | 15億4,800万円 | 40億8,800万円 |
| 鉄鋼事業(インドネシア) | △3,100万円 | 7億2,900万円 |
| 軌道用品事業 | 8億4,400万円 | 6億8,900万円 |
日本の子会社は、圧延設備を更新する前の工事で、5月と6月の2か月間操業を止めました。エネルギーなどのコスト上昇を、販売価格に転嫁しきれていないとも書いています。タイは、中国製H形鋼への反ダンピング関税が昨年11月に発効し、国内での販売数量が増えました。
7月31日に出た第1四半期は、営業損益が4億4,600万円の赤字でした。中間の営業利益は2億2,400万円です。ここから第1四半期の△4億4,600万円を引くと、7月から9月の3か月は6億7,000万円の黒字になります。操業停止の2か月を抜けた四半期で、営業損益は黒字に戻っています。
特別損失の31億円は、早く回収するための値引き
私が一番引っかかったのは、特別損失の長期未収債権割引料引当金繰入額31億4,600万円です。1ページ目の表には出てきません。
注記によると、中東事業の株式を2025年6月に売却し、代金1億4,000万ドルは長期の分割払いでした。2026年2月に3,000万ドルを受け取り、5月に買い手から期限前に払いたいという申し出がありました。契約上、早く払うと2,000万ドル減額されるため、その分を損失として計上しています。
1億4,000万ドルから、受け取り済みの3,000万ドルと減額分の2,000万ドルを引いた残りの9,000万ドルは、10月5日に全額受け取ったと書いてあります。損失は一度きりのもので、現金は中間期末のあとに入っています。下期のキャッシュ・フローには、この入金が加わることになります。
会社の説明は、米国は強気、日本は弱気
通期予想は修正されました。円安が続いていることと、米国の出資先が想定をさらに上回っていることから、経常利益を85億円、純利益を45億円引き上げています。逆に日本の収益改善に想定以上の時間がかかるとして、営業利益は10億円引き下げました。
米国の部分は、そのまま受け取ります。理由は、利益が配当の形で現金になって届いているからです。日本の部分には留保を付けます。会社自身が、鉄スクラップ価格の高止まりとエネルギーコストの上昇が続き、価格転嫁にはさらに時間がかかると書いているからです。
経常利益は半分、営業利益は1割
| 通期予想 | 中間の実績 | 進捗率 | 下期に必要な額 | 下期の前年比 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,800億円 | 840億4,600万円 | 46.7% | 959億5,400万円 | +13.9% |
| 営業利益 | 22億円 | 2億2,400万円 | 10.2% | 19億7,600万円 | △21.5% |
| 経常利益 | 955億円 | 460億7,100万円 | 48.2% | 494億2,900万円 | +32.5% |
| 純利益 | 620億円 | 275億5,600万円 | 44.4% | 344億4,400万円 | △20.3% |
進捗率と下期の数字は、通期予想から中間の実績を引いて私が出したものです。
経常利益は半分近くまで来ています。営業利益は1割にとどまり、下期に19億7,600万円が要ります。2で割ると1四半期あたり10億円弱で、7月から9月の6億7,000万円より一段上の水準です。
気になるのは純利益です。下期の経常利益は前年より3割増える見込みなのに、純利益は2割減る見込みになっています。……ここは揃っていない。その理由は決算短信には書かれていません。表紙に決算補足説明資料ありと出ているので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。
私はどう読んだか
私は、この会社の利益の中心は米国の出資先にあり、それが配当として現金で届いている、と読んでいます。理由は、受け取った利息と配当が持分法の利益を上回り、営業CFが前年を超えているからです。日本の赤字は操業停止の2か月を含み、7月から9月には連結の営業損益が黒字に戻っています。
ただ、会社自身が日本の回復は遅れると書いています。米国についても、中間選挙のあとの政策には不透明感が残ると断っています。心配性なので、自前の工場が稼げない状態が長引くほうを先に考えています。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

下期の純利益が、経常利益とは逆に前年より減る見込みになっている理由は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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