コーセル(6905)2027年5月期 第1四半期決算分析――第2四半期の予想が、腑に落ちない

コーセル(6905)2027年5月期 第1四半期決算分析――第2四半期の予想が、腑に落ちない 決算を読む

はじめに

コンセントから来る電気は、そのままでは機械の中の基板には流せません。電圧を下げ、交流を直流に変え、波を整えて、ようやく回路に入ります。その変換をする箱が、スイッチング電源です。コーセルは、この箱を標準品として揃えている会社です。

買うのは装置を作る側です。半導体製造装置、FA制御機器、検査装置。電源まで自前で設計すると開発が遅れるので、仕様に合うものを型番で選んで買います。標準品の品揃えが、そのまま商品力になる商売です。

この決算で何が起きたか

2026年9月18日に出た、2027年5月期の第1四半期決算です。期間は2026年5月21日から8月20日までの3か月です。

項目今回前年同期増減率
売上高78億1,400万円50億7,500万円+54.0%
営業利益5億4,500万円△3億8,900万円—
経常利益5億8,000万円△7,900万円—
純利益6億6,100万円△6,800万円—

前年同期は営業損失でした。売上が5割増えて、損失が利益に変わっています。

受注のほうが、売上より大きい

短信の5ページ目に、製品ごとの受注の表があります。この3か月の受注高は130億100万円で、前年同期の2.5倍を超えました。四半期の売上より6割以上多い金額です。

製品受注高受注残高
ユニット電源73億5,700万円81億7,200万円
オンボード電源32億4,500万円42億6,700万円
ノイズフィルタ7億4,700万円7億1,600万円
PRBX製品16億5,000万円47億4,100万円
合計130億100万円178億9,800万円

受注が売上を追い越す会社は、先の注文を抱えているか、作る側が追いついていないかのどちらかです。

受注残の4分の1強は、手を離れた子会社のぶん

受注残178億9,800万円のうち、47億4,100万円はPRBX製品です。5ページ目の注に、子会社のPowerbox International ABが開発・製造・販売する製品群だと書かれています。

その子会社の株式は、全部譲渡されました。譲渡が完了したのは2026年9月1日です。第2四半期から連結の範囲から外れる予定だと、12ページ目にあります。

ですから、この47億4,100万円は、これからのコーセルの売上にはなりません。引くと、残るのは131億5,700万円です。それでも小さい額ではありませんが、数える対象が変わります。

上期の予想から引くと、次の3か月は売上も営業利益も減る

表紙には上期の予想も載っています。ここから第1四半期の実績を引けば、8月21日から11月20日までの3か月に会社が見込んでいる数字が出ます。

第1四半期 実績8月21日〜11月20日上期累計 会社予想
売上高78億1,400万円約75億6,600万円153億8,000万円
営業利益5億4,500万円約4億2,500万円9億7,000万円
純利益6億6,100万円約7億6,900万円14億3,000万円

約の付いた数字は、上期の予想から第1四半期の実績を引いた私の引き算です。

売上の減りには、説明が付きます。第1四半期の売上のうち12億2,600万円がPRBX製品ですから、これを抜くと65億8,800万円。次の3か月の約75億6,600万円と並べれば、コーセル自身の製品は1割5分ほど増える見込みになります。

引っかかったのは営業利益です。5億4,500万円から約4億2,500万円へ下がります。減る額は1億2,000万円ほどです。

PRBX製品がどのセグメントに入るかは、決算短信には書かれていません。ただ、その売上12億2,600万円と、ヨーロッパ生産販売事業の外部売上15億1,500万円は近い水準です。そのヨーロッパ事業は、この3か月でセグメント損失2億700万円を出しました。前年同期の1億8,400万円より悪くなっています。

損の多くは譲渡した側にあった、と私は受け取りました。だとすると、損の出る事業が抜け、自社製品の売上が1割5分増え、それでも営業利益は減ることになります。足し算が合いません。……いや、どこかに増える費用があるはずだ。

純利益に、子会社を手放す処理の利益3億5,500万円が入っている

純利益6億6,100万円には、特別利益の関係会社整理益3億5,500万円が含まれています。9ページ目の損益計算書にあります。営業利益より純利益が大きい理由は、ここです。

貸借対照表の関係会社整理損失引当金は、前期末の34億4,400万円から29億9,700万円へ下がりました。減った額は4億4,700万円です。先に積んでおいた損の見込みが、処理の進みに合わせて戻ってきた形です。12ページ目には、第2四半期にも追加の整理益を計上する見込みと書かれています。

年間の配当予想は60円です。予想1株利益63.21円で割ると、9割5分近くが配当に回る計算になります。そしてその予想純利益26億円にも、第2四半期に見込む追加の整理益が入っています。

キャッシュ・フロー計算書が、この短信には無い

12ページ目に、第1四半期の連結キャッシュ・フロー計算書は作成していないと書かれています。注記は減価償却費3億1,200万円だけです。現金の動きは、貸借対照表の差で追うしかありません。

現金及び預金は17億6,100万円減りました。配当に11億5,100万円を払っています。そのほかに、売掛金と電子記録債権が9億6,600万円増えました。棚卸資産の増加も5億3,000万円あります。売上が5割増える四半期ですから、ここが膨らむのは順番どおりです。

もう一つ、支払いが先送りになっている箇所があります。未払金が3億9,800万円から18億2,900万円へ動きました。増えた額は14億円あまりです。同じ期間に建設仮勘定が11億2,500万円から5,800万円へ落ちました。建物及び構築物の純額は34億1,600万円から58億円へ増えています。建てていた設備が完成して、代金の支払いだけが残っている形です。

会社はどう説明しているか

4ページ目で会社は、AIを使った社会のデジタル化、データセンター向けの設備投資、半導体製造装置関連の需要増を挙げています。日本生産販売事業の外部売上は48億600万円で8割増、セグメント利益は5億3,500万円。前年同期は2億9,100万円のセグメント損失でした。

同じページに、心配も書かれています。急速な需要拡大でメモリやプリント基板の供給に懸念があり、今後の市場動向には不透明感も出ている、と。注文は強いのに、作るための部材が足りなくなるかもしれません。

利益のほうは、材料価格の上昇と、人件費・経費の増加があったと書かれています。ただ、次の3か月の営業利益を前の3か月より低く見込んだ理由は、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらにあるのかもしれませんが、私は読んでいません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は2026年6月に出したものを見直した数字で、修正の中身は別の発表にあると6ページ目に書かれています。

項目通期予想第1四半期進み具合残り9か月に必要な額
売上高318億円78億1,400万円ほぼ4分の1約239億8,600万円
営業利益23億円5億4,500万円4分の1に少し届かない約17億5,500万円
経常利益24億円5億8,000万円ほぼ4分の1約18億2,000万円
純利益26億円6億6,100万円4分の1を少し超える約19億3,900万円

進み具合と残りの必要額は、通期予想から第1四半期の実績を引いたり割ったりした私の計算です。

4項目とも4分の1のあたりで、3か月ぶんの目安に乗っています。見直した直後の予想ですから、乗っていなければそのほうが変です。

残り9か月の売上239億8,600万円は、1四半期あたり80億円ほど。第1四半期とほぼ同じ水準です。ただし、ここからPRBX製品の12億2,600万円が抜けます。抜けた分を自社製品で埋めて、なお少し増やす見込みになります。

私はどう読んだか

受注と売上は、素直に受け取りました。理由は、増えた利益の出どころが営業外ではなく本業だからです。営業外収益は前年同期の3億1,200万円から7,000万円へ減りました。1億9,800万円の為替差益が消えて、今年は3,400万円の為替差損です。それでも経常利益は損失から5億8,000万円の利益へ変わりました。為替の助けを失ってこうなったのなら、売った数と値段で稼いだということになります。

腑に落ちないのは、次の3か月の見込みです。損の出る事業が抜け、自社製品の売上を1割5分増やす予想を立てながら、営業利益は1億2,000万円ほど低く置いています。

心配性なので、会社が重い費用を見込んでいるほうを先に考えます。部材の供給懸念か、完成した設備の償却か、人件費か。どれなのかは短信からは選べませんが、増える費用を織り込んだうえでの予想だと私は考えています。

純利益の見え方には、ひとこと付けておきます。この四半期の3億5,500万円も、第2四半期に見込む分も、子会社を手放す処理から出てくるお金です。来年の同じ時期には無いものです。年間60円の配当予想がそこに乗っているぶん、翌期の配当をどう置くのかが気になります。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信|IR資料室|株主・投資家情報|コーセル株式会社
決算短信を掲載しています。コーセルは電源とノイズフィルタの専業メーカーです。製品情報のほか、技術情報、販売店情報、お問い合わせ先などを掲載しています。

PRBX製品がどのセグメントに入っているのかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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