電車と、駅のまわりの暮らしの会社
阪急と阪神、関西の2つの私鉄を抱えるグループです。大阪の梅田を起点に、朝晩の通勤や通学で毎日乗る人がいちばん身近なお客さんです。
稼ぎ方は電車だけではありません。駅の周りにビルや商業施設、マンションを建てて貸したり売ったりします。ホテルも営み、旅行の申し込みを受け、海外へ荷物を運ぶ事業まで持っています。梅田の再開発にも力を入れています。電車に乗らない人も、どこかの入口からこのグループにお金を払っていることになります。ビルに入る会社、家を買う家族、旅に出る人がそうです。
売上は増え、利益は少しずつ減った半年
10月30日に出た、2027年3月期の中間決算です。4月から9月までの半年を、前年同期と比べます。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 営業収益(売上高) | 6,414億5,400万円 | 5,988億3,300万円 | +7.1% |
| 営業利益 | 816億7,600万円 | 840億7,500万円 | -2.9% |
| 経常利益 | 809億7,100万円 | 851億3,500万円 | -4.9% |
| 純利益 | 525億6,200万円 | 538億7,500万円 | -2.4% |
売上が7%伸びた半年に、利益は4行そろって減りました。減り幅は大きくありません。ただ、売上が伸びて利益が減るのは、どこかが削れているときの形です。
旅行の利益が、前年の3割に届かなかった
どこが削れたのかは、短信の最後にある事業ごとの表で分かります。セグメント利益を前年同期と並べました。
| 事業 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 都市交通 | 223億8,800万円 | 192億9,800万円 |
| 不動産 | 373億5,700万円 | 420億1,500万円 |
| エンタテインメント | 162億8,700万円 | 174億9,100万円 |
| 情報・通信 | 19億3,900万円 | 14億7,300万円 |
| 旅行 | 67億6,700万円 | 18億9,500万円 |
| 国際輸送 | 6億7,700万円 | 17億9,300万円 |
引っかかったのは旅行です。営業収益は1,517億9,600万円から1,511億8,400万円で、ほぼ横ばいです。売上は守れているのに、利益は前年の3割にも届かない水準まで縮みました。
67億6,700万円から18億9,500万円を引きます。旅行は48億7,200万円の減益です。不動産は420億1,500万円から373億5,700万円を引きます。こちらは46億5,800万円の増益でした。……ほとんど同じ額だ。
不動産の増益が、旅行の減益でほぼ打ち消された形です。そこに都市交通の30億9,000万円の減益が重なり、全体の営業利益は前年同期を下回りました。旅行の利益がなぜここまで縮んだのかは、決算短信には書かれていません。
販売用の土地と建物が600億円増え、借入金も増えた
不動産の伸びは、貸借対照表の側にも跡を残しています。3月末と9月末を並べます。
| 科目 | 3月末 | 9月末 |
|---|---|---|
| 販売土地及び建物 | 4,714億200万円 | 5,321億1,700万円 |
| 短期借入金 | 2,273億1,700万円 | 2,527億6,400万円 |
| コマーシャル・ペーパー | なし | 350億円 |
| 長期借入金 | 8,797億4,700万円 | 9,214億7,300万円 |
| 自己株式 | △534億6,000万円 | △832億7,300万円 |
売るために持っている土地と建物が、半年で607億1,500万円増えました。不動産の売上が伸びた半年に、売った以上に積み増しています。短期借入金、コマーシャル・ペーパー、長期借入金の3つで、半年に増えた分を足すと約1,021億円です。これは私の足し算です。
支払利息は73億6,600万円から99億6,400万円へ増えました。増えた額は26億円近くになります。営業利益より経常利益の減り方が大きい主な理由は、この利息の増加です。
逆に、純利益の減り方は小さく済んでいます。理由は、前年同期に固定資産撤去損失引当金繰入額として62億6,500万円の特別損失を計上していて、今回はそれがほぼ無いからです。自己資本比率は期首と同じ31.2%で、借り方が急に荒くなったとまでは言えません。
この短信には、キャッシュ・フロー計算書が無い
私はいつも、添付資料の後ろのほうにあるキャッシュ・フロー計算書まで行きます。今回の目次は、貸借対照表、損益計算書、包括利益計算書、注記で終わっていました。
積み増した土地と建物、増えた借入金が現金をどう動かしたのかは、この短信では確かめられません。表紙には半期報告書の提出予定日が11月12日とあるので、そちらを待ちます。
会社の説明は、別の資料に回されている
短信の4ページ目、会社が経営成績を自分の言葉で書く場所には、一文しかありません。同じ日に出した決算補足説明資料を見てください、という案内です。
通期予想も同じです。表紙には直近の予想からの修正が「有」とあり、中身は補足説明資料を参照するよう書かれています。修正が上向きか下向きかも、旅行の減益の理由も、そちらで説明しているのかもしれません。私はその資料にまだ目を通していません。言えるのは、決算短信には理由が書かれていない、というところまでです。
利益は3分の2近くまで来たが、それは去年からの形
| 項目 | 通期予想 | 中間実績 | 進捗率 | 残り半年に必要な額 | 前年の下期との比較 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益(売上高) | 1兆2,600億円 | 6,414億5,400万円 | 50.9% | 6,185億4,600万円 | +2.3% |
| 営業利益 | 1,277億円 | 816億7,600万円 | 64.0% | 460億2,400万円 | +6.8% |
| 経常利益 | 1,210億円 | 809億7,100万円 | 66.9% | 400億2,900万円 | +1.7% |
| 純利益 | 900億円 | 525億6,200万円 | 58.4% | 374億3,800万円 | +51.7% |
進捗率から右の3列は、表紙の通期予想と中間の実績から私が引き算・割り算した数字です。
営業利益は半年で、通期予想の3分の2近くまで来ています。ただ、残り半年に必要な額は前年の下期より7%ほど多い水準です。前年も上期に稼ぎが偏っていたので、この進み方を余裕とは受け取れません。
もう一つ引っかかったのは純利益です。経常利益は前年の下期とほぼ同じ水準を見込んでいるのに、純利益は5割増しを見込んでいます。前年の下期に、経常利益から純利益までの間で大きく削られた何かがあったと考えるのが自然です。ただ、前年の短信を私はまだ開いていません。
稼ぐ場所が、不動産に寄った半年
稼ぐ力が落ちた決算なのか、稼ぐ場所が入れ替わった決算なのか。私は後者の見方をしています。理由は、減益のほとんどが旅行と都市交通の2つで説明でき、不動産、エンタテインメント、国際輸送はそろって利益を増やしているからです。
ただ、心配性なので、入れ替わった先のほうが気になります。伸びた不動産は、借りたお金で土地と建物を積み増しながら伸びています。この半年に増えた26億円の利息は、その最初の分かもしれません。
上がるかは知りません。旅行の落ち込みが一時的なものなのか、費用の中身が変わったのか。そこが分かるまで、この減益を軽くは扱えません。
出典:決算短信(会社発表)
旅行の利益がなぜ前年の3割を切るまで縮んだのかと、通期予想を前の予想からどちらへ直したのかは、この短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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