はじめに
シャッターとドアを作っている会社です。物流倉庫や工場の大きな搬入口を閉じる重いシャッター、商店が夜に下ろす軽いシャッター、ビルの鉄の扉や自動ドア。どれも建物の開いている部分を受け持つ設備で、国内ではこの分野の最大手です。
買うのは、建物を建てる建設会社や施主、古くなった設備を入れ替える倉庫や店舗の持ち主です。付けたあとの点検や修理も請け負っています。シャッターの開け閉めを離れた場所から見守る仕組みも、全国で売り始めました。米国と欧州にも工場と販売の拠点があり、売上は日本より海外のほうが大きい会社です。
9月17日の前の記事では、7月31日に出た第1四半期の決算を取り上げました。売上が横ばいなのに販管費が膨らんだ理由と、据え置かれた上期予想の根拠が分かりませんでした。7月からの3か月で何が戻るのかを確かめたい、と書いていました。今回はその答え合わせです。
この決算で何が起きたか
10月30日に出た中間決算です。売上は少し増え、利益は1割以上減りました。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,173億8,700万円 | 3,092億3,200万円 | +2.6% |
| 営業利益 | 293億3,200万円 | 336億9,500万円 | −12.9% |
| 経常利益 | 305億2,700万円 | 345億円 | −11.5% |
| 純利益 | 221億4,200万円 | 264億5,100万円 | −16.3% |
第1四半期の時点で4割あった営業利益の減り幅が、半年で見ると1割強まで縮んでいます。
7月から9月だけで見ると、北米の減り方が小さくなっていた
半年の数字から第1四半期の数字を引くと、7月から9月の3か月だけが出てきます。営業利益は、半年の293億3,200万円から第1四半期の58億7,800万円を引きます。残るのは234億5,400万円です。前年の同じ3か月も、前年の半年の336億9,500万円から前年第1四半期の99億2,400万円を引きます。こちらは237億7,100万円でした。差は3億円ほどです。
| 7〜9月の営業利益 | 今年 | 前年 |
|---|---|---|
| 日本 | 約136億4,000万円 | 約129億7,200万円 |
| 北米 | 約99億9,300万円 | 約104億4,200万円 |
| 欧州 | 約△1億9,200万円 | 約4億9,600万円 |
| 連結 | 約234億5,400万円 | 約237億7,100万円 |
約の付いた数字は、この短信の半年の数字から、前回読んだ第1四半期の数字を私が引いたものです。
北米は第1四半期に前年の6割弱まで落ちていました。それがこの3か月は、前年より4%ほど少ないところまで戻っています。日本は前年を上回ったままで、欧州だけが3か月で見ても赤字です。
ここは前回の私の見立てが外れたところです。4割減った直後の3か月で前年並みに戻すという会社の予想を、私は「強気だ」と書きました。上期予想は302億円で、実績は293億3,200万円でした。届かなかったのは差し引き8億6,800万円です。戻りの大半は実際に起きていて、疑い方は私のほうが行き過ぎでした。
粗利は戻ったのに、販管費の増え方は同じ
前回いちばん引っかかった販管費は、この3か月でどうなったか。同じ引き算で並べます。
| 7〜9月 | 今年 | 前年 | 差 |
|---|---|---|---|
| 売上総利益 | 約608億9,900万円 | 約578億2,600万円 | 約30億7,300万円 |
| 販管費 | 約374億4,500万円 | 約340億5,600万円 | 約33億8,900万円 |
粗利は前年より30億円あまり増えました。会社の説明にある日本と北米の売価転嫁が、ここに出ていると私は受け取りました。ところが販管費は、それを上回って増えています。第1四半期の増え幅は26億円台でしたから、縮むどころか大きくなりました。……販管費は、減益の主役のままだ。
半年で見ると、販管費は60億4,600万円増え、粗利は16億8,400万円増えました。販管費の増えた分から粗利の増えた分を引くと、営業利益の減り幅とほぼ同じ額になります。
中身の手がかりは少ないです。のれんの償却は6,400万円増えただけでした。欧州の売上は円では1割増えましたが、現地の通貨では減っています。円安で海外の費用も円に直すと膨らむはずですが、その分がいくらなのかは決算短信には書かれていません。
作りかけの在庫は、6月から増えていない
前回は、仕掛品が3か月で59億円増えたことにも引っかかりました。第1四半期はキャッシュ・フロー計算書が無く、確かめようがなかった部分です。
9月末の仕掛品は214億8,600万円で、6月末の215億8,800万円とほぼ同じでした。積み上がりは第1四半期で止まっています。半年分のキャッシュ・フロー計算書では、棚卸資産の増加で74億2,000万円の現金が出ていきました。
それでも営業キャッシュ・フローは296億3,400万円で、前年を上回りました。売掛金の回収が進んだことと、法人税の支払いが前年より17億円ほど少なかったことで、在庫の分を埋めています。利益は減っても、現金は前年以上に入っています。
利益予想を下げた日に、配当を上げた
通期予想は、5月に出したものから下げています。
| 通期予想 | 5月時点 | 10月30日 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 810億円 | 720億円 |
| 純利益 | 600億円 | 450億円 |
営業利益は1割ほど、純利益は4分の1下げました。一方で年間配当は146円から169円に上げています。うち14円は記念配当です。同じ日の取締役会で、100億円を上限とする自己株式の取得と、300万株の消却も決めました。
予想の1株利益216.81円に対して配当169円ですから、配当性向は8割近くになります。上期の営業キャッシュ・フローから投資の支出を引いた額のなかに、配当と自己株式の取得は収まっています。ただ投資の支出が小さく済んだのは、「その他」で53億2,500万円の入金があったためで、その中身は決算短信には書かれていません。
会社はどう説明しているか
外の環境として、米国の関税に加え、中東などの情勢を背景にしたエネルギーと材料の価格上昇を挙げています。第1四半期の説明には無かった項目です。地域ごとに見ると、日本は売価転嫁とメンテ・サービスが好調、北米は売価転嫁を進めたものの住宅市場が低迷、という説明です。欧州は低調な市況とコスト上昇、アジアは台湾が堅調で華東は構造改革中としています。
売上の側の説明は、そのまま受け取っています。数字の動きとも合っています。気になるのは前回と同じ点です。半年で60億円増えた販管費の理由に当たる文が、今回も短信には見当たりません。予想を下げた理由も、別の「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」に譲っていて、私はそちらを読んでいません。
注記には、連結から外れた会社として Overhead Door Inc. と Novoferm Siebau GmbH の名前があります。北米の売上は前年とほぼ同じ規模なので、事業を手放したわけではなさそうです。外れた理由は、短信の中からは分かりませんでした。
通期予想に対して、どこまで来ているか
| 項目 | 上期実績 | 通期予想 | 進捗率 | 下期に必要な額 | 下期の前年比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,173億8,700万円 | 6,770億円 | 46.9% | 約3,596億1,300万円 | +2.4% |
| 営業利益 | 293億3,200万円 | 720億円 | 40.7% | 約426億6,800万円 | −6.1% |
| 純利益 | 221億4,200万円 | 450億円 | 49.2% | 約228億5,800万円 | −31.4% |
進捗率と下期の数字は、通期予想から上期を引いて私が出したものです。
営業利益は折り返し地点で4割ほどですが、この会社は前年も下期のほうが稼いでいます。下期に必要な額は、前年の下期より6%少ないだけです。
引っかかったのは純利益のほうです。下期の営業利益は前年より6%減で見込んでいるのに、純利益は3割以上減る見込みです。営業利益より下のところで、下期にまとまった損失か税金の負担を見込んでいることになります。それが何かは、決算短信には書かれていません。
私はどう読んだか
前回は、減益の主役を販管費だと考えました。半年たったいまも、私は販管費が減益の主役だと考えています。理由は、7月から9月に粗利がはっきり戻ったのに、販管費がそれを上回る勢いで増え続けたからです。値段を通す力は戻っても、費用の増え方は止まっていません。
一方で、北米の戻りは前回の心配より大きく、そこは外しました。在庫も6月からは増えていません。
純利益の予想を大きく削りながら、配当と自己株式の取得は増やしました。稼いだ現金の範囲に収まっているのは確かです。ただ、下期に何を見込んでいるのかを知らないまま、還元の強さだけを受け取る気にはなれません。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

下期の純利益を営業利益よりも大きく減らす理由は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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