毎日コムネット(8908)2027年5月期 第1四半期決算分析――秋の赤字は、古い計画のままと読みました

毎日コムネット(8908)2027年5月期 第1四半期決算分析――秋の赤字は、古い計画のままと読みました 日本株

大学生の部屋をまとめて借りて、学生に貸す会社

毎日コムネットは、大学生が住むマンションを扱う会社です。土地を持っている人に、学生向けの建物を建てる話を持ちかけます。完成したら、会社が建物ごと借り上げます。部屋を学生に貸すのも、入居者を探すのも、管理するのも会社です。地主は空室を気にせずに家賃を受け取れて、学生は大学の近くで部屋を見つけられます。

ほかに、大学の部活やサークルの合宿の手配と、就職活動をする学生と企業をつなぐ仕事もしています。太陽光発電も少し持っています。どの仕事も相手は学生で、入学と就職のある春に仕事が集まります。この季節の偏りが、今回の決算でいちばん大事なところになりました。

3か月で、上期の予想を超えていました

10月9日に出た、2027年5月期の第1四半期決算です。6月から8月までの3か月にあたります。

今回前年同期増減率
売上高51億9,100万円47億9,200万円+8.3%
営業利益3億1,600万円2億8,600万円+10.7%
経常利益2億9,900万円2億5,100万円+19.0%
純利益2億700万円1億7,500万円+18.0%

4つとも1割から2割ほど増えています。短信の表紙には、6月から11月までの半年分の予想も載っています。営業利益の予想は3億1,300万円です。最初の3か月の3億1,600万円で、半年分の予想をもう上回っています。

9月から11月は、利益がほぼゼロの置き方です

上期の予想から第1四半期の実績を引くと、残りの9月から11月の利益を会社がいくらと見込んでいるかが出ます。営業利益は、上期予想の3億1,300万円から、第1四半期の実績の3億1,600万円を引きます。答えは300万円の赤字です。純利益も同じように、上期予想の1億7,000万円から、実績の2億700万円を引きます。こちらは3,700万円の赤字になります。

前年と並べると、この数字がどれだけ小さいかが分かります。表紙には、上期の営業利益予想が前年より37.9%減と載っています。37.9%減は、前年の0.621倍ということです。そこで3億1,300万円を0.621で割り戻すと、前年の上期はおよそ5億400万円になります。前年の6月から8月は2億8,600万円でした。5億400万円からこれを引くと、前年の9月から11月はおよそ2億1,800万円の黒字だったことになります。

営業利益6〜8月9〜11月上期累計
前年 実績2億8,600万円約2億1,800万円約5億400万円
今年3億1,600万円(実績)△300万円3億1,300万円(会社予想)

約の付いた数字は、上期予想の増減率37.9%減から私が割り戻したものです。

売上も同じやり方で戻すと、前年の9月から11月はおよそ46億1,500万円でした。今年の同じ3か月は47億9,900万円の予想です。売上は少し多いのに、利益は2億円あまりからほぼゼロになります。……そんな秋があるとは思いにくい。

引っかかったのは、短信の5ページ目の一文です。会社は第1四半期の業績が「計画を大きく上回り推移」していると書き、そのうえで上期の予想は直さないとしています。上期の予想は7月10日に出したもので、6月から8月の計画を含んだまま残っています。

ここまでは短信に書いてあることです。3億1,300万円の中には、実績よりずっと小さかった6月から8月の計画が入っています。そこから実績を引くと、計画と実績を混ぜた引き算になり、秋の数字は実態より小さく出ます。300万円の赤字は、会社が秋に損を見込んだ数字ではなく、古い計画を動かしていないために出た数字だと私は読みました。

増えた利益は、学生の部屋の家賃から来ています

伸びの出どころは、事業別の表を前年と並べるとはっきりします。

前年同期今回増減率
不動産ソリューション事業の利益4億7,857万円5億1,200万円+7.0%
学生生活ソリューション事業の利益5,226万円6,587万円+26.0%
どちらにも配っていない全社の費用△2億4,472万円△2億6,118万円+6.7%
営業利益2億8,611万円3億1,670万円+10.7%

金額が大きいのは不動産のほうです。中でも、部屋を借り上げて学生に貸す部門の売上が39億509万円と、前年から1割近く増えました。事業別の表の注記によると、売上のうち37億2,126万円は「賃貸収入等」で、売上のおよそ7割を家賃が占めています。

合宿と就職の事業は伸び率こそ大きいものの、利益の額は6,587万円で、全体を動かすほどではありません。増益のほとんどは家賃の積み上がりです。家賃は、3か月で消える種類の収入ではありません。前年を下回ったのは太陽光の部門だけで、売上は9,000万円と2割近く減っています。

経常利益の伸びの差は、利息の出入りです

経常利益は営業利益より大きく伸びました。差を生んだのは営業外の項目です。

前年同期今回
受取利息803万円1,473万円
支払利息4,141万円3,925万円
資金調達費用1,172万円710万円
営業外の損益の合計△3,463万円△1,730万円

受け取る利息はほぼ倍に増え、払う利息と借入の手数料は減りました。営業外の赤字が半分になったぶん、経常利益が本業より大きく伸びています。これは事業の勢いとは分けて考えておきます。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書は付いていません

いつものように現金の流れを確かめに行くと、注記に、四半期のキャッシュ・フロー計算書は「作成しておりません」とありました。私がいちばん見たい表がこの短信には無いので、貸借対照表の差から追うしかありません。

現金及び預金は、5月末から8月末までに9億7,205万円減りました。同じ3か月に、出ていくお金が重なっています。

この3か月に減ったもの金額
前期分の配当金4億7,943万円
未払法人税等4億6,615万円
賞与引当金2億4,284万円
長期借入金(1年以内に返す分を含む)1億8,903万円

どれも、5月決算の会社が6月から8月に払う種類のお金です。足すと現金の減りより大きくなります。その差を何が埋めたのかは、キャッシュ・フロー計算書が無いので突き合わせられません。

借入金の中身も入れ替わっています。1年以内に返す分が12億5,600万円減り、その先に返す分が10億6,697万円増えました。返済の期限を先へ延ばした形です。自己資本比率は49.7%から50.4%に上がり、半分を保っています。

会社の説明は、天候と、春に集まる売上です

会社が自分で書いている説明は2つです。1つは、太陽光の部門が前年を下回ったのは天候不順で発電量が減ったためで、ほかの部門は順調だった、というもの。もう1つは予想を直さない理由で、部屋の部門は3月から4月、就職の部門は2月から3月に売上が集まるので、いまは直さない、としています。建物の売却は下期に予定していて、時期と金額で数字が大きく振れる、とも断っています。

天候の説明はそのまま受け取ります。減った額は小さく、全体の話は変わりません。季節の説明も筋が通っています。新しい学生が部屋を決めるのは春で、夏の数字から春は分かりません。

留保をつけるのは、上期を直さない理由のほうです。季節の話は通期の説明として書かれていて、上期については「今後の進捗状況により」とあるだけです。秋に何を見込んでいるのかは、決算短信には書かれていません。表紙には、決算補足説明資料の作成も、説明会の開催も「無」とあります。

通期予想まで、残りは春にかかっています

6〜8月の実績通期予想進み具合残り9か月に要る額前年の同じ9か月と比べて
売上高51億9,100万円259億6,000万円20.0%207億6,900万円6.6%減
営業利益3億1,600万円29億5,000万円10.7%26億3,400万円0.7%減
経常利益2億9,900万円28億円10.7%25億100万円0.3%減
純利益2億700万円19億円10.9%16億9,300万円1.4%減

進み具合と残りの額は、通期予想と第1四半期の実績から私が出したものです。

利益の進み具合は1割ほどで、4分の1には届いていません。それでも遅れとは受け取っていません。理由は、売上が春に集まると会社自身が書いているからです。残り9か月に要る営業利益は、前年の同じ9か月とほぼ同じ額です。去年と同じ春が来れば届く、という予想になっています。

私はどう読んだか

秋の300万円の赤字は、悪い秋の予告ではなく、7月に出した計画をそのまま残した結果だという見方をしています。理由は、会社が6月から8月を「計画を大きく上回り」と書いていて、その上回った分が、季節で消えにくい家賃から来ているからです。

春の結果を見る前に数字を動かしたくない、という会社側の判断も分かります。ただ、私は心配性なので、下期の建物の売却がどう転ぶかは頭に置いておきます。上がるかは知りません。

出典

出典:決算短信(会社発表)

毎日コムネット | IR情報

前年の9月から11月に稼いだ2億円あまりが、建物の売却によるものだったのか、家賃によるものだったのかは、この短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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