はじめに
あみやき亭は、東海地方を地盤に焼肉店を広げてきた会社です。看板の店では国産の牛肉を、テーブルの網で焼いて食べます。週末に家族で行く店、仕事帰りに数人で寄る店です。和牛を一頭まるごと仕入れて部位ごとに使い分ける「一頭買い」は、短信の説明文にも出てきます。
焼肉のほかにも、いくつかの業態を持っています。ステーキとご飯を出す「感動の肉と米」というレストラン、焼鳥の居酒屋、ラーメン店、寿司店などです。焼肉チェーンというより、肉を中心にした外食企業と呼んだほうが実態に近いと思います。
売上は1割増え、純利益は3割減りました
10月5日に出た、2027年3月期の中間決算です。4月から9月までの半年分にあたります。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 199億6,000万円 | 181億3,600万円 | +10.1% |
| 営業利益 | 8億4,700万円 | 9億8,600万円 | △14.0% |
| 経常利益 | 9億100万円 | 10億3,500万円 | △12.9% |
| 純利益 | 3億6,200万円 | 5億4,000万円 | △33.0% |
増収減益です。表の上では、お客さんが来ているのに利益が残らなかった半年に見えます。
増えた売上の大半は、焼肉の外から来ています
増収の中身を、事業ごとに分けてみます。短信の4〜5ページ目に、事業ごとの売上と前年比が文章で載っています。
| 事業 | 今回の売上 | 前年比 | 前年から増えた額 |
|---|---|---|---|
| 焼肉 | 110億9,400万円 | +2.7% | 約2億9,200万円 |
| 焼鳥 | 21億2,200万円 | +8.4% | 約1億6,400万円 |
| レストラン | 54億1,200万円 | +16.8% | 約7億7,800万円 |
| その他 | 13億3,100万円 | +78.7% | 約5億8,600万円 |
約の付いた数字は私の計算です。今回の売上を前年比で割り戻して前年の売上を出し、今回の売上との差を取りました。
全体の増収は18億2,400万円です。売上の半分以上を占める焼肉事業は、そのうち1割半ほどしか担っていません。増収分のおよそ4割はレストラン事業、3割はその他の事業から来ています。
引っかかったのは、その他の事業です。この半年で新しく出した店は1つで、閉めた店は4つでした。……店を減らして、売上が8割近く増えている。
前年の途中に店がまとまって加わったのなら説明は付きます。貸借対照表には24億3,100万円ののれんが残っていて、過去に会社を買っていることは分かります。ただ、どの店がいつ加わったのかは、この短信からは追えません。
粗利の増えた分を、販管費の増えた分が上回りました
損益計算書を前年と並べると、減益の形がはっきりします。
売上は18億2,400万円増えました。売上原価が9億9,300万円増えたので、粗利の増加は8億3,100万円です。一方で販売費及び一般管理費は9億6,900万円増えています。8億3,100万円から9億6,900万円を引きます。1億3,800万円の不足で、営業利益の減り幅とほぼ同じになります。
つまり減益の理由は、売上が足りなかったことではありません。店を回す費用が、粗利より速く増えたことです。販管費のうち人件費や家賃がいくらだったのかは、この短信には載っていません。
純利益の減り方が大きいのは、特別損失のためです。
| 特別損失 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 減損損失 | 7,900万円 | 1億8,100万円 |
| 固定資産除却損 | 1,800万円 | 4,400万円 |
| 特別損失合計 | 1億円 | 2億3,000万円 |
半年で6店をリニューアルしているので、除却損が増えるのは自然です。減損は、店の稼ぎが帳簿の価値に届かなくなったときに計上します。短信には、この半年で増えた理由も、どの店かも書かれていません。
半年の利益は、ほとんどが配当に回っています
貸借対照表の利益剰余金は、3月末が176億1,200万円、9月末が176億2,500万円でした。半年で1,300万円しか増えていません。半年で3億6,200万円の純利益を出していますから、差は3億4,900万円です。
この差は、6月に払った前期末の配当とほぼ同じ額です。1株17円をおよそ2,054万株に払うと、約3億4,900万円になります。上期の利益は、ほぼそのまま株主へ戻ったことになります。
慌てる話ではありません。自己資本比率は77.1%あり、借入金は合わせて10億円にも届きません。会社は年34円の配当を据え置く予定で、予想利益の3分の2近くを配当に充てる計画です。
現金及び預金は、88億3,100万円から84億4,500万円へ減りました。同じ半年で、原材料及び貯蔵品は7億2,600万円から8億9,400万円へ増えました。買掛金は16億6,400万円から13億9,900万円へ減っています。中間決算のこの短信には、キャッシュ・フロー計算書が載っていません。そのため現金の減り方を項目ごとには追えません。
一頭買いを強めれば、手元に置く肉は増えます。原材料の増加はその表れかもしれません。ただ、3月末と9月末では季節が違うので、ここは決めずにおきます。
会社は、原材料と人件費と減損を挙げています
短信の4ページ目で、会社は減益の理由を「原材料価格や人件費等の上昇や店舗運営コストの増加等」と書いています。加えて減損損失1億8,100万円を挙げています。損益計算書の動きとは食い違っていないので、ここはそのまま受け取ります。
気になったのは、値上げの話が出てこない点です。同じ説明文の前半で、会社は客の「価格に対する選別姿勢は継続」していると書いています。客が値段を厳しく見ているから、費用の増えた分をそのまま価格に乗せられない。そう読める書き方です。客数と客単価のどちらで売上が伸びたのかは、この短信には書かれていません。
下期は、上期より緩い減り方を置いています
通期予想は、この決算と同じ日に修正されています。詳しくは別のお知らせに回されていて、私はそちらを読んでいません。修正前がいくらで、上と下のどちらへ直したのかは分かりません。
| 通期予想 | 上期実績 | 進み具合 | 下期に必要な額 | 下期の前年比 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 410億6,000万円 | 199億6,000万円 | 約48.6% | 約211億円 | 約+7.8% |
| 営業利益 | 20億円 | 8億4,700万円 | 約42.4% | 約11億5,300万円 | 約△5.9% |
| 純利益 | 10億7,000万円 | 3億6,200万円 | 約33.8% | 約7億800万円 | 約△3.1% |
約の付いた数字は、修正後の通期予想から上期実績を引いて、私が出したものです。
営業利益は上期に14%減りましたが、下期は6%ほどの減りで収まる見込みです。純利益は、下期だけならほぼ前年並みに戻ります。上期のような減損は下期には出ない、という前提なのかもしれません。
私はどう読んだか
この半年の重さには、2つの受け取り方があります。出店とリニューアルが重なった一時的な重さなのか。それとも、費用の上がり方に値段が追いつかない状態が続いているのか。
私は後者の見方をしています。理由は、会社自身が下期も営業利益を前年より低く置いているからです。出店の重さだけなら、下期には前年を超える予想を出してもいいはずです。客が値段を選んでいると会社が書いていることも、同じ方向を指しています。
レストラン事業の伸びは本物だと思います。それでも焼肉の伸びが小さいままでは、全体の粗利率を押し上げるところまでは行きません。心配性なので、下期は販管費の増え方から先に確かめます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

その他の事業が店を減らしながら売上を8割近く伸ばした理由は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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