はじめに
ジャパニアスは、ITの技術者を自社で雇い、よその会社へ送り出している会社です。送り先は、システム開発を請け負う会社や、製造業の開発の現場です。自前で技術者をそろえきれないところは、足りない人手をここから借ります。そしてシステムの組み立てや保守を進めます。
儲けの仕組みは単純です。技術者を採って育て、客先で働いてもらい、その分の料金を受け取ります。売っているのは品物ではなく人の手なので、損益計算書の売上原価は、ほとんどが技術者にかかる費用だと私は考えています。
この会社が強みとして挙げているのは、技術者を絶えず採り続けていることと、クラウドを扱える人を自社で育てていることです。今回の決算は、その人の費用のところで引っかかりました。
増収で、営業利益は2割減
2026年10月5日に出た、2026年11月期の第3四半期決算です。2025年12月から2026年8月までの9か月分で、非連結、事業は一つだけです。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 99億7,700万円 | 88億9,400万円 | +12.2% |
| 営業利益 | 5億1,100万円 | 6億3,300万円 | △19.4% |
| 経常利益 | 6億100万円 | 7億1,500万円 | △15.9% |
| 純利益 | 3億9,500万円 | 4億6,900万円 | △15.9% |
売上は1割あまり増え、利益は4行とも2割近く減りました。通期の予想は据え置かれています。
売上の伸びより、原価の伸びのほうが大きい
最初の表で分かるのは、増収減益というところまでです。損益計算書まで進むと、利益がどこで消えたのかが分かります。
| 前年同期 | 今回 | 増えた額 | |
|---|---|---|---|
| 売上原価 | 66億5,671万円 | 78億4,606万円 | 約11億8,900万円 |
| 売上総利益 | 22億3,771万円 | 21億3,175万円 | 約△1億600万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 16億381万円 | 16億2,064万円 | 約1,700万円 |
約の付いた数字は、損益計算書の前年と今回を私が引いたものです。
売上は、前年同期の88億9,400万円から、今回は99億7,700万円になりました。差し引きで、10億8,300万円ほど増えています。ところが売上原価は、それより大きい約11億8,900万円増えています。売上を10億円積んで、原価がそれ以上についてきた。……粗利が減るわけだ。
販売費及び一般管理費は、1,700万円ほどしか増えていません。本社の費用はほぼ横ばいです。営業利益が1億2,200万円減った分は、粗利の減り方でほとんど説明が付きます。粗利の減った約1億600万円に、販管費の増えた約1,700万円を足すと、ほぼこの額になるからです。ここまでは損益計算書の数字です。
人を増やしても、増えた人の稼ぎが、かかる費用に追いついていない、と私は読みました。採ったばかりでまだ客先に出ていない人や、外から借りた技術者の分が、原価を重くしているのかもしれません。
賞与引当金が4億1,548万円増えた
貸借対照表にも、原価の重さとつながりそうな科目が一つありました。
賞与引当金は、前の期末の2億1,561万円から、6億3,109万円になりました。増えた額は4億1,548万円です。払う予定のボーナスを、月々費用に積んでおく科目です。技術者の分なら、原価に入ります。
ただ、もともと季節で増減する科目です。払った直後は小さく、次に払う前に向けて膨らみます。比べたいのは前年の8月末の残高ですが、短信の貸借対照表は前の期末と並べてあるだけです。今年の積み方が去年より重いのかは、ここでは判断できません。
同じ表で、受注損失引当金の2,140万円がゼロになっています。赤字を見込んでいた案件は、片が付いたようです。
現金が9億円減った行き先は、配当と新しい資産
第3四半期は、キャッシュ・フロー計算書を作っていません。短信5ページ目の注記にそう書いてあり、この時期には珍しくないことです。代わりに、会社が説明文と注記に書いた増減で、お金の行き先を追いました。
| 動いたもの | 金額 |
|---|---|
| 現金及び預金 | △9億1,807万円 |
| 無形固定資産 | +3億9,163万円 |
| 投資その他の資産 | +3億1,772万円 |
| 短期借入金 | △1億5,000万円 |
| 剰余金の配当(支払い) | 3億9,642万円 |
| 自己株式の取得 | 5,491万円 |
配当で出ていった3億9,642万円は、この9か月の純利益3億9,500万円とほぼ同じ額です。稼いだ分を、そのまま株主に返したことになります。
無形固定資産は、前の期末には1,102万円しかありませんでした。それが4億265万円まで増えています。前年同期には無かったのれん償却額1,317万円も、今回の注記に出てきました。説明文にM&Aの一言があるので、どこかの事業を買い、その代金の一部がのれんとして載ったと受け取りました。何をいくらで買ったのかは、決算短信には書かれていません。
借入金を返し、配当を払い、事業を買って、なお現金は27億7,362万円あります。自己資本比率も57.8%で、前の期末とほとんど変わりません。お金の面で慌てる決算ではないと考えています。
会社が書いているのは、売上の側の理由
会社の説明文は、IT投資の話から始まります。DXやクラウド、生成AIへの投資で需要は堅調、官公庁のデジタル化も続いている、という書き方です。そのうえで、採用と外部の人手による技術者数の拡大、単価の改善、M&Aに取り組んだと並べています。
売上が1割増えた理由としては、筋が通っています。同じ文章には、人材不足に伴う人件費の伸びに「引き続き注視が必要」ともあります。人の費用を経営側も気にしていることは、ここから分かります。
それでも、減益の理由そのものは決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。売上の側はそのまま受け取り、利益の側は留保しておきます。
残り3か月で、9か月分より多い営業利益が要る
通期予想は1月13日に出したもので、今回も変えていません。
| 通期予想 | 9か月の実績 | 残り3か月に要る額 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 131億5,000万円 | 99億7,700万円 | 31億7,300万円 |
| 営業利益 | 10億3,500万円 | 5億1,100万円 | 5億2,400万円 |
売上は予想の4分の3を少し超えたところで、9か月が過ぎた時期として順調です。残り3か月に要る売上は、前年の同じ3か月とほぼ同じで、無理のない予想です。
営業利益は、まだ半分に届いていません。残り3か月の5億2,400万円は、この9か月で稼いだ5億1,100万円を上回ります。前年の同じ3か月より5割多い額、というのが私の引き算です。売上は前年並みのまま、利益だけ5割増やす予想になっています。
私はどう読んだか
見方は2つあります。採用と事業の買収で費用が先に出ていて、最後の3か月で取り戻す、という見方。もう一つは、人の費用の伸びが速く、単価がまだ追いついていない、という見方です。
私は後者だと考えています。理由は、販管費がほぼ横ばいのまま、売上原価だけが売上より大きく増えているからです。採用の費用なら、本社側の費用にも出てきそうなものです。原価の側だけが重くなっているのは、客先で働く一人あたりの稼ぎと費用の差が縮んでいるからだと受け取りました。単価の改善を「継続的」と書いているのも、まだ途中だという意味に取っています。
心配性なので、最後の3か月で利益を5割増やす予想には、まだ乗れていません。次の決算で、粗利が前年の水準に戻っているかを確かめます。
出典:決算短信(会社発表)

M&Aで何をいくらで買い、それが原価をどれだけ動かしたのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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