TAKARA & COMPANY(7921)2027年5月期 第1四半期決算分析――増益の中身に納得

TAKARA & COMPANY(7921)2027年5月期 第1四半期決算分析――増益の中身に納得 決算を読む

上場企業の書類を、裏で作っている会社

上場企業が毎年出さなければならない書類を、作る側の会社です。有価証券報告書、株主総会の招集通知、株主に送る報告書などです。以前は刷る仕事が中心でしたが、いまはそうした書類を社内で作るためのシステムも売っています。決算の締めから株主総会までの、一年でいちばん忙しい時期に頼られます。

もう一つの柱は通訳と翻訳です。国際会議や企業の会議に通訳者を出し、文書を訳しています。

私の勤め先は上場していないので、この会社のお世話になったことはありません。ただ、いま赤ペンを入れている決算短信も、この会社の顧客が作っている種類の書類です。書類を作る会社の書類をめくる、少し妙な夜になりました。

売上は小さく、利益は大きく伸びた

9月29日に出た、2027年5月期の第1四半期決算です。対象は6月から8月の3か月です。

今回前年同期増減率
売上高95億1,200万円90億8,600万円+4.7%
営業利益21億2,500万円17億600万円+24.6%
経常利益22億1,900万円17億8,300万円+24.5%
純利益14億4,600万円11億9,300万円+21.1%

売上が増えて、売上原価が減っていた

損益計算書まで進みました。

前年同期今回
売上高90億8,602万円95億1,256万円
売上原価50億5,876万円49億5,188万円
売上総利益40億2,725万円45億6,068万円
販売費及び一般管理費23億2,119万円24億3,479万円
営業利益17億605万円21億2,588万円

出典:短信の損益計算書。千円単位の表を万円に直したため、上の表と末尾が少し違います。

引っかかったのは売上原価です。売上が増えたのに、原価は1億円ほど減っていました。……普通は、逆だ。

粗利は前年同期の40億2,725万円から、今回は45億6,068万円になりました。差し引きで約5億3,300万円の増加です。売上の増加は約4億2,600万円なので、粗利のほうが多く増えました。販管費も約1億1,400万円増えましたが、営業利益の伸びはほぼこの粗利から来ています。

伸びたのは、紙を刷らない仕事だった

何が原価を下げたのかは、セグメント情報に出ていました。

製品・事業前年同期今回増減率
金融商品取引法関連製品28億8,847万円35億1,096万円+21.6%
会社法関連製品18億9,604万円20億7,799万円+9.6%
IR関連製品15億8,245万円15億662万円−4.8%
その他製品5億701万円4億2,184万円−16.8%
通訳・翻訳事業22億1,203万円19億9,513万円−9.8%

出典:短信のセグメント情報(金額は億と万の単位に直しています)

いちばん伸びたのは、有価証券報告書まわりの製品です。短信の4ページ目は、その理由を2つ挙げています。書類作成システム「WizLabo」の導入顧客が増えたこと。決算・開示の実務を請け負う仕事と、コンプライアンス支援の売上が増えたことです。減ったのは、株主に送る事業報告書と、適時開示を紙で株主へ届けるサービスでした。

書類の事業は売上が6億4,300万円増え、セグメント利益は5億3,000万円増えました。増えた売上の8割強が、そのまま利益に残った計算です。5億3,000万円を6億4,300万円で割った、私の計算です。

ここまでは短信に書いてある数字です。紙に刷って届ける仕事から、システムと請け負いの仕事への入れ替わりが、原価の減少になって出ている、と私は読みました。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書が無かった

私はいつもキャッシュ・フロー計算書まで行きます。今回は短信の11ページ目に「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とありました。第1四半期に作らない会社は珍しくありません。代わりに、貸借対照表の動きを前期末と並べました。

科目前期末からの増減
現金及び預金+15億400万円
受取手形及び売掛金△22億8,200万円
仕掛品△4億6,400万円
買掛金△8億600万円
未払費用△12億6,900万円
剰余金の配当△7億7,400万円

出典:短信の財政状態の説明

配当を払い、未払いの費用も払ったうえで、現金は増えています。前期末の5月は、売上の多くなる第4四半期の終わりです。そこで立った代金が、この3か月で入ってきたと考えています。売上は立っているのに現金が入ってこない、という形ではありませんでした。

会社はどう説明しているか

書類の事業の説明は上で紹介したとおりで、私もそのまま受け取っています。

通訳・翻訳は、セグメント利益が半分になりました。短信の説明は、前年同期に多かった大型イベントが減ったこと、コロナ禍で増えた社内会議の通訳が減ったことの2つです。翻訳は案件の小型化を挙げています。

前者は前年の反動なので、いずれ比べる相手から消えます。後者は元に戻りにくい種類の減り方で、私はこちらを重く受け止めています。AI通訳は伸びていると書かれていますが、その金額は短信には載っていません。

短信の5ページ目には、売上の偏りの説明があります。書類の事業は顧客の決算期が3月に集中するため、第1四半期と第4四半期の売上が多くなります。6月から8月は一年の山です。この3か月の伸び方を、そのまま年間の勢いとして扱うのは早いと思います。

通期予想に対して、どこまで来ているか

表紙の通期予想は、7月8日に出したものから変わっていません。

通期予想第1四半期進み具合
売上高342億円95億1,200万円約27.8%
営業利益49億円21億2,500万円約43.4%
純利益35億円14億4,600万円約41.3%

約の付いた数字は、第1四半期を通期予想で割った私の計算です。

売上に季節の偏りがある会社なので、前年と並べます。表紙には通期の営業利益が前期比+10.9%と載っています。49億円を1.109で割ると、前期の営業利益はおよそ44億1,800万円です。前期の第1四半期の17億600万円は、その4割弱でした。

通期予想の49億円に対して、第1四半期で21億2,500万円まで来ています。残りの9か月に必要なのは、差し引きで27億7,500万円です。前期の同じ9か月は、通期のおよそ44億1,800万円から第1四半期の17億600万円を引いた残りです。これがおよそ27億1,200万円でした。残りが前年並みでも届く予想になっています。配当は年180円の予想で、前期の120円から増やす計画のままです。

私はどう読んだか

私は、この増益を季節の山ではなく、仕事の中身が入れ替わった結果だという見方をしています。理由は2つあります。売上より粗利のほうが多く増えたこと。伸びた製品と減った製品が、紙からシステムと請け負いへ、という同じ向きに並んでいることです。季節の山なら売上と原価が一緒に膨らむはずで、原価が減る説明にはなりません。

心配性なので、通訳・翻訳のほうは別に考えています。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

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純利益の通期予想が前期比+3.5%にとどまり、営業利益ほど伸ばさない予想になっている理由は、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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