中山福(7442)2027年3月期 第1四半期決算分析――上期予想を据え置いたのが気になる

中山福(7442)2027年3月期 第1四半期決算分析――上期予想を据え置いたのが気になる 決算を読む

鍋とフライパンを、売り場まで届ける問屋

中山福は、台所と暮らしの道具を扱う問屋です。品物は、フライパン、包丁、鍋、保存容器、浴室の掃除用品、水筒やお弁当箱などです。メーカーから仕入れて、全国の売り場へ届けるところまでを受け持つ会社です。

グループの中には、プラスチックの収納ケースや園芸用品を作る会社や、インテリア用品を作る会社もあります。自社の通販サイトも持っています。ただ、売上の大半は問屋の仕事です。

うちの台所のフライパンも、どこかでこういう会社の倉庫を通ってきたはずです。買う人は、問屋の名前をまず知りません。私も、短信を開くまで意識したことがありませんでした。

この3か月は、売上も利益もはっきり伸びています

7月31日に出た、4月から6月までの第1四半期決算です。

今回前年同期増減率
売上高117億3,200万円102億9,300万円+14.0%
営業利益3億8,200万円1億2,700万円+200.3%
経常利益4億4,400万円2億600万円+115.2%
純利益2億7,700万円2億6,700万円+3.7%

営業利益は前年の3倍になりました。一方で、純利益はほとんど増えていません。理由は損益計算書にあります。前年の同じ時期には投資有価証券売却益が2億3,200万円あり、今年はそれがないからです。

伸びたのは水筒とお弁当箱と、掃除用品

短信の4ページ目に、商品の種類ごとの売上が載っています。8つの分類が、すべて前年を上回りました。

分類今回の売上前年同期比
調理用品34億2,500万円+5.5%
行楽・レジャー用品33億1,500万円+33.0%
サニタリー用品15億3,000万円+15.5%
収納用品・インテリア関連用品13億6,500万円+5.4%

いちばん伸びたのは行楽・レジャー用品で、3割以上増えています。中身はボトル・タンブラー、レジャー用品、ランチボックスだと会社は書いています。フライパンや鍋の調理用品と、ほぼ肩を並べる大きさになりました。

問屋の事業は、北海道から九州・沖縄までの5地域すべてで増収です。その中で、グループ内で品物を作る「家庭用品製造・販売事業」だけが、売上を1割以上、利益を6割減らしました。この事業の売上は、ほぼ全部がグループの内側向けです。問屋がよく売れた四半期に、自前の工場の側は振るわなかったことになります。

営業利益の増えた分の半分は、事業の外から来ています

事業ごとの利益を足した数字と、どの事業にも配らない調整額を並べると、こうなります。

前年同期今回
事業ごとの利益の合計5億2,252万円6億5,061万円
調整額△3億9,510万円△2億6,797万円

2行を足すと営業利益になります。前年と比べると、事業の合計も調整額も、どちらもおよそ1億2,700万〜1億2,800万円ずつ良くなっています。増えた分を、ちょうど半分ずつ分け合った形です。

調整額には、本社の費用と、グループ内の取引を消す分が入っています。後者は前年の△8,066万円から、今回は1,329万円の加算に変わりました。今期から本社費用の配り方を変えています。ただ、その影響は1,320万円で、調整額が良くなった分の大半はそれでは説明が付きません。なぜ変わったのかは、決算短信には書かれていません。

利益が出た3か月に、現金は16億円減りました

いつもなら、最後のほうでキャッシュ・フロー計算書を開きます。この短信には付いていません。最後のページに「作成しておりません」とあります。そこで、貸借対照表の3月末と6月末を並べました。

3月末6月末増減
現金及び預金54億1,150万円37億9,211万円△16億1,900万円
受取手形及び売掛金77億6,034万円71億5,460万円△6億500万円
電子記録債権17億7,015万円23億1,478万円+5億4,400万円
商品及び製品47億7,906万円58億1,105万円+10億3,100万円
原材料2億795万円3億6,170万円約+1億5,374万円
支払手形及び買掛金36億5,067万円36億3,411万円約△1,656万円

約の付いた増減は、3月末と6月末の差を私が引いたものです。ほかは短信の説明文にある数字です。

減った現金の一部は、株主に向けたお金です。自己株式の取得に2億2,200万円、配当に2億3,600万円を使っています。この2つを足すと4億5,800万円です。16億1,900万円からそれを引くと、残りは11億6,100万円です。

売掛金と電子記録債権は、合わせるとほとんど動いていません。売った代金は、いつもどおり回収できています。

代わりに動いたのが在庫です。商品及び製品が10億3,100万円、原材料が1億5,000万円あまり増えました。足すと、さっきの残りの額にほぼ重なります。買掛金は横ばいなので、仕入れた分は手元の現金で払ったことになります。

……よく売れた3か月に、売った以上に仕入れている。

会社は「前倒し需要」と書いています

会社の説明は2つです。取引先への営業がうまくいって取引が広がったこと。そして、中東情勢で石油由来の商品の供給が不安になり、それを見越した前倒しの注文が出たことです。前の年度に引き続き、とも書いています。

取引の広がりは、そのまま受け取ります。理由は、8つの分類と5つの地域がそろって増えているからです。一品目だけが跳ねた増収ではありません。

前倒しのほうには留保を付けます。前倒しは、先の売上を今に持ってきたものです。売上のうちどれだけがそれに当たるのか、在庫がなぜ10億円増えたのかは、どちらも決算短信には書かれていません。

上期予想のままだと、7月から9月は赤字になります

表紙の予想は、5月8日に出したまま変わっていません。

第1四半期通期予想進み具合
売上高117億3,200万円420億円27.9%
営業利益3億8,200万円6億円63.7%
経常利益4億4,400万円9億2,000万円48.3%
純利益2億7,700万円6億円46.2%

進み具合は、第1四半期の実績を通期予想で割った私の計算です。

3か月で、通期の営業利益の6割以上が済んでいます。この時期なら4分の1ほどが普通です。

引っかかったのは、通期ではなく上期の予想です。上期累計の営業利益予想は1億9,000万円です。そこから第1四半期の3億8,200万円を引きます。すると、7月から9月は1億9,200万円の赤字という見込みになります。

前年と並べると、この予想の厳しさがはっきりします。表紙には上期予想の増減率が△1.6%と載っています。前年より1.6%少ないという意味です。そこで1億9,000万円を0.984で割り戻すと、前年の上期累計はおよそ1億9,300万円です。前年の第1四半期1億2,700万円を引くと、前年の7月から9月はおよそ6,600万円の黒字だったことになります。

売上も上期予想から第1四半期を引くと、今年の7月から9月はおよそ80億6,800万円です。前年の同じ3か月を同じ割り戻しで出して比べると、2割ほど少ない前提になっています。

5月8日は、第1四半期の3か月のうち、まだ1か月あまりしか過ぎていない時点です。会社はその時点で上期予想を出し、3か月の結果がそろったあとも変えませんでした。短信にあるのは「変更はありません」の一文だけです。

この3か月を、一年の歩幅とは考えていません

予想が5月のまま古いだけなのか。前倒しの反動を本気で見込んでいるのか。このどちらかだと思います。

私は後者に近い見方をしています。理由は、会社自身が「前倒し需要」という言葉を選び、そのうえで在庫を10億円積んでいるからです。注文を先に受け、品物も先に抱えました。7月から9月に注文が細れば、在庫だけが残ります。

赤字の幅まで文字どおりに受け取るつもりはありません。それでも、第1四半期の3か月を一年の歩幅とは考えていません。

財務の土台は厚く、自己資本比率は72.2%あります。借入を増やさずに10億円分の在庫を積めるだけの現金があった、ということでもあります。上がるかは知りません。上期の決算が出たら、在庫がどこまで減ったかを確かめます。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260731/140120260730502759.pdf

在庫が10億円増えた理由と、上期の予想を据え置いた理由は、この短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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