アール・エス・シー(4664)決算分析――営業利益4百万円の中身を、セグメントの表まで読みに行った

8月13日に決算を発表したアール・エス・シー(4664)――営業利益4百万円の中身を、12ページ目まで読みに行った 決算を読む

はじめに

アール・エス・シーは、ビルの中の仕事をまとめて請け負う会社です。警備員が立ち、清掃が入り、設備を点検し、受付に人を置く。オフィスビルや商業施設のオーナーからすると、この4つを別々の会社に頼むのは面倒なので、一括で任せられる相手には価値があります。短信にはサンシャインシティや豊洲の大型ビルの名前が出てきます。池袋のあのビルで働いたり買い物をしたりした人は、この会社のサービスの中を歩いたことがある、ということです。

人手で成り立つ商売なので、悩みも人です。警備も清掃も人が集まらない。集まらないのに賃金は上がる。上がった分を客先の料金に転嫁できるか。この業界の決算は、だいたいこの綱引きの話になります。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高1,7331,821-4.9%
営業利益454-91.8%
経常利益560-91.3%
純利益240-94.2%

(単位:百万円)

売上は5%弱の減少で済んでいるのに、利益は9割消えました。この落差がこの決算の入口です。売上の問題ではなく、どこかで利益だけが削られている。

最初の表では分からなかったこと

減ったのは「臨時」の仕事だった

12ページ目のセグメント表に、売上を年間契約と臨時契約に分けた行があります。ここに引っかかりました。

契約の種類今回前年同期
年間契約1,266,7201,164,925
臨時契約465,923656,348

(単位:千円)

年間契約、つまり毎月決まって入ってくるほうの売上は、むしろ増えています。減ったのは臨時契約です。中身は主に工事で、工事事業の売上は前年同期から3割以上減り、セグメント損失353万円と赤字に落ちました。会社の説明では、サンシャインシティの原状回復工事などの計画が第2四半期以降へシフトしたため、とあります。

一方で警備は増収増益、建物管理も減収ながら増益、と本業側は崩れていません。土台の話と、期ズレの話が混ざった減益です。

全社費用が、セグメント利益をほぼ食い潰している

同じ表の下に、もうひとつ気になる行があります。4つの事業のセグメント利益を合計すると1億3,623万円。そこから引かれる全社費用(どの事業にも割り振らない管理部門の費用)が1億3,175万円。差し引きで営業利益4百万円です。

前年同期の全社費用は1億1,726万円でした。事業の稼ぎが細ったところに、本社側の費用が増えた。工事の期ズレは戻ってくるかもしれませんが、こちらは期ズレでは説明がつきません。増えた理由は短信に書かれていません。

純利益228万円は、税金の調整に支えられている

9ページ目の損益計算書です。税引前の利益は516万円。これに対して法人税、住民税及び事業税は1,043万円と、税引前利益より大きい。普通ならここで赤字です。法人税等調整額が△755万円入ったことで、税金の合計が288万円に収まり、純利益228万円が残りました。……この四半期、税金の調整が無ければ最終赤字だった。

前年同期には営業外収益に保険返戻金466万円がありましたが、今回はありません。細かい話ですが、利益がこの水準まで薄くなると、こういう一時的な項目の有無が効いてきます。

キャッシュ・フロー計算書は、無かった

私はいつもキャッシュ・フロー計算書まで読みに行くのですが、この短信には「当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とありました。第1四半期では作らない会社は珍しくないので、これ自体は責める話ではありません。現金及び預金は18億2,417万円と前期末から微増、売掛金の回収が進んだ、と貸借対照表からは読めます。ただし現金がどう稼がれたのかは、この短信からは判定できません。無いものは無い、と書いておきます。

会社はどう説明しているか

会社の説明は一貫して「期ズレ」です。工事事業では大型案件の完工時期が第2四半期以降へ変更された。設備管理でも昇降機の部品交換や防水工事の実施時期が顧客都合で後ろへ動いた。一方、警備と建物管理では契約料金の改定と人員配置の適正化で収益性を上げた、と。

前半の期ズレは、セグメントの数字と整合しています。工事だけが大きく減っていて、他は保っている。ここは受け取ってよいと思います。ただ、全社費用の増加については説明がなく、期ズレの物語の外側にあります。ここには留保をつけます。

通期予想に対して、どこまで来ているか

会社は通期予想を据え置きました。進み具合はこうです。

項目通期予想進捗率目安
売上高8,39220.7%25%
営業利益1173.4%25%
純利益682.9%25%

(単位:百万円)

売上はやや遅れている程度ですが、営業利益は4分の1のところをまだ数十分の1しか来ていません。渡された計算では、残り9ヶ月で営業利益113百万円、これは前年の同じ9ヶ月より3割以上少ない水準です。ズレた工事が戻り、9月中旬からアジア競技大会の警備が乗る、という会社の絵が全部当たれば届く数字かもしれません。

もうひとつ。配当は年24円で据え置きですが、予想1株利益は23.24円です。予想どおりに着地しても、利益より配当のほうが大きい計算になります。

私はどう読んだか

私は、通期の利益はきついほうに寄せて読んでいます。理由は2つで、期ズレで説明できるのは工事の減収までで、全社費用が1,400万円あまり増えたことには会社の説明が無いこと。そして純利益228万円という数字自体が、税金の調整に支えられた薄いものだったことです。年間契約の積み上がりは本物に見えるので、事業が壊れているとは読んでいません。壊れていないことと、通期予想に届くことは、別の話です。読み違いかもしれません。第2四半期に、ズレた工事が本当に戻ってくるかで答えが出ます。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.trsc.co.jp/pdfs/ir/financialaccounts/fa_pdf/20260813RSC.pdf

自己株式が期中に46,000株増えていますが、その取得の経緯と目的は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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