東京センチュリー(8439)2027年3月期 第1四半期決算分析――一度きりの利益が多いと読みました

東京センチュリー(8439)2027年3月期 第1四半期決算分析――一度きりの利益が多いと読みました 決算を読む

はじめに

リースの会社です。会社が使う機械や設備を、代わりに買って貸す商売です。貸すものは、職場のパソコンやコピー機のように小さなものから、航空機、船、オフィスビル、発電設備のように、一社では買いきれないものまであります。

航空会社は、飛行機を全部自分で買うわけではありません。リース会社が機体を買って貸します。この会社はその航空機リースを、海外の子会社を通じて大きな規模でやっています。今回の短信で私が引っかかったのは、そこです。増えた利益の中身と、その航空機の会社を半分手放すという話が、同じ短信の前と後ろに書かれていました。

この決算で何が起きたか

8月3日に出た第1四半期決算です。

項目今回前年同期増減率
売上高3,884億700万円3,475億8,600万円+11.7%
営業利益463億300万円353億1,200万円+31.1%
経常利益510億5,700万円372億8,200万円+36.9%
純利益351億2,900万円220億8,200万円+59.1%

1ページ目だけなら、文句のつけようのない表です。

増えた130億円の、87億円が一つの部門

純利益は前年同期から130億円増えました。その内訳を、セグメント利益の表で確かめます。

部門前年同期今回増減
国内ビジネス69億円81億円+12億円
海外ビジネス36億円50億円+14億円
社会インフラ24億円33億円+9億円
トランスポート35億円122億円+87億円
モビリティ65億円74億円+9億円
企業投資16億円14億円△2億円
その他・調整額△24億円△22億円+2億円
合計221億円351億円+130億円

6部門のうち5部門が増益です。ただ、増えた130億円のうち87億円は、トランスポート部門ひとつから出ています。会社の説明は「機体売却益の増加」と「売船による収益の増加」です。

売った機体は、来期には手元にありません。貸し賃も入りません。毎四半期87億円ずつ積み上がる種類の利益ではない、と私は受け取りました。

受取和解金と、倍になった持分法の利益

損益計算書の営業外と特別のところにも、一度きりの色があります。特別利益に受取和解金12億8,400万円が載っています。前年同期にはありません。会社は「訴訟和解金等の計上」と一行だけ書いていて、何の訴訟かは決算短信には書かれていません。

営業外では、持分法による投資利益が38億9,200万円から80億4,300万円へ、ほぼ倍になっています。こちらは一度きりとは限りません。会社は、通信会社との共同事業会社からの取込利益が増えた、と説明しています。持分法は、自分で連結しない会社の利益を、持分の分だけ取り込む勘定です。この勘定が、あとの話につながります。

借入が2,284億円増え、支払利息は3割増

貸借対照表では、有利子負債が前期末から2,284億円増えて5兆3,709億円になりました。自己資本比率は15.6%です。借入が大きいこと自体は、この商売では普通です。

気になったのは利息のほうです。支払利息が27億1,700万円から35億8,600万円へ、3割増えています。借入のほうは、増えた2,284億円を増える前の残高で割ると4.4%ですから、残高より利息のほうが速く増えていることになります。ここまでは短信の数字です。借り換えのたびに金利が上がっている段階かもしれない、と私は考えています。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書は無い

いつもの場所へ行ったら、注記に「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とありました。第1四半期はこれで済む決まりなので、会社の落ち度ではありません。代わりに減価償却費だけが書いてあります。719億1,200万円、売上原価の4分の1近くです。現金の出入りは、中間決算まで待ちます。

航空機の会社を、半分手放す

最後の「重要な後発事象」に、今回いちばん大きい話がありました。8月3日の取締役会で、航空機リースの子会社の株式50%を、大株主の伊藤忠商事へ譲渡することを決めています。譲渡価額は19億4,600万米ドル、時期は2026年11月の予定です。利益影響は「約300億円(見込)」とあります。

譲渡が実行されると、この子会社は連結から外れて、持分法の会社になります。トランスポート部門の資産は2兆3,487億円です。その大半が貸借対照表から消え、持分法の利益だけが入る形になります。……87億円の増益を生んだ部門を、その同じ短信で半分手放すと言っている。これは変だ、とまず思いました。

理由は会社自身が書いています。航空機リースは合従連衡が進み、勝ち残るには規模が要る。しかしひとりで資産を増やすには、資本効率の面で限界がある。だから財務基盤の強い相手と組む、という説明です。自己資本比率15.6%の会社が、これ以上ひとりで機体を買い増せない、と言っているのだと受け取りました。

同じ日に、伊藤忠商事と農林中央金庫へ社債型種類株式を120億円発行することも決めています。使い道は系統用蓄電池の投資です。売る事業と、これから買う設備が、同じページに並んでいます。

会社はどう説明しているか

4ページ目の説明は、増収増益の主因を海外ビジネス部門とトランスポート部門と書いています。海外は北米の子会社で大型のIT機器処分案件を受注したこと、トランスポートは前に書いた機体と船の売却です。為替は1ドル156円96銭で、前年の152円56銭より円安です。海外の利益は円に直すと膨らみます。

通期予想に対して、どこまで来ているか

会社は純利益の通期予想だけを出しています。1,230億円、前期比+10.5%で、5月11日の発表から変えていません。第1四半期の351億2,900万円は、通期の3割近くまで来ています。これは私の割り算です。

前年と並べると、予想の組み立てがはっきりします。

純利益第1四半期残り9か月通期
前年 実績220億8,200万円約892億円約1,113億円
今年 会社予想351億2,900万円約879億円1,230億円

約の付いた数字は、通期予想1,230億円を増減率+10.5%で割り戻し、第1四半期の実績を引いたものです。残り9か月は、前年の約892億円に対して、今年を約879億円と置いています。第1四半期の6割増は、残りには持ち込まない前提です。

ここに300億円の話が重なります。11月の譲渡で利益影響約300億円と書きながら、予想は5月のままです。5月の時点で織り込んでいたのか、8月に決めた話がまだ入っていないのかは、決算短信には書かれていません。表紙に補足説明資料「有」とあるので、そちらにあるのかもしれません。私はまだ読んでいません。

私はどう読んだか

見方は2つあります。5部門が増益で本業が広く伸びた、というのが一つ。もう一つは、増えた分の大半が売却益と和解金で、地力の増え方はもっと穏やかだ、というものです。

私は後者の見方をしています。理由は、130億円のうち87億円が機体と船の売却で、会社が残り9か月を前年並みに置いているからです。それを悪い決算だとは思っていません。売る事業を決め、相手を決め、価格も出している短信は、迷いのある短信ではありません。

心配性なので、頭に残っているのは支払利息の増え方です。航空機の会社を半分手放せば借入も減るはずですが、それは11月より先の話です。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260803/140120260731505912.pdf

11月の譲渡で見込む約300億円が、通期予想の1,230億円に入っているのかどうかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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