東洋合成工業(4970)2027年3月期 第1四半期決算分析――5億円は前期からの後払いと読みました

東洋合成工業(4970)2027年3月期 第1四半期決算分析――5億円は前期からの後払いと読みました 決算を読む

半導体の回路は、光で描きます。丸い板に光に反応する液体を薄く塗ります。回路の形に光を当てると、当たった部分だけが性質を変え、あとの工程で線になります。この液体がフォトレジストで、東洋合成工業はその中に入る「光に反応する成分」を作っている会社です。先端の半導体ほど線が細く、それに見合う材料が要ります。

もう一つの柱が化成品です。半導体の工程で使う不純物の少ない溶剤、香水や洗剤に入る香りの元、それに港で液体を預かるタンクの貸し出しです。私は自動車部品の財務にいて化学は門外漢ですが、短信の読み方は変わりません。

この決算で何が起きたか

8月7日に出た第1四半期の決算です。

今回前年同期増減率
売上高120億8,600万円91億2,800万円+32.4%
営業利益19億3,200万円3億9,700万円+386.4%
経常利益18億8,600万円2億9,300万円+542.7%
純利益12億9,000万円2億100万円+540.2%

表紙には、前年の第1四半期の営業利益が7割減だったことも載っています。比べる相手が低い四半期だということは、先に書いておきます。

営業利益のうち5億1,100万円は、前期の増産が今になって出てきた分です

短信の4ページ目、会社の説明文の中に一文あります。「一過性の増益要因として、前期の増産により前期末在庫に含まれていた原価差額5億1,100万円が、当期の販売に伴って売上原価に反映されました」。ここで引っかかりました。

原価差額は、あらかじめ決めた原価と、実際にかかった原価の差です。前期に工場をたくさん動かして、一個あたりの原価が想定より下がった。その安く作った品物が3月末の在庫に残り、4月から6月に売れたので、売上原価が軽くなった。そういう筋だと私は受け取りました。

19億3,200万円から5億1,100万円を引きます。すると14億2,100万円です。それでも前年の3億9,700万円の3倍を超えています。一過性を除いても、増益そのものは本物です。

赤字だった感光性材料が、10億5,200万円の黒字に転じています

その中身を、7ページ目のセグメント情報で分けます。

今回前年同期
感光性材料 売上高73億8,200万円53億3,300万円
感光性材料 営業利益10億5,200万円△2億3,300万円
化成品 売上高47億400万円37億9,400万円
化成品 営業利益8億7,900万円6億3,000万円

感光性材料は損失から黒字へ転じ、化成品も増収増益です。片方だけの話ではありません。

ただし、先ほどの5億1,100万円がどちらのセグメントに入っているかは、短信にも補足説明資料にも書かれていません。説明文にある「第4感光材工場の増強設備」の話から、感光性材料のほうだと私は推測しています。もしそうなら、黒字10億5,200万円のうち半分は前期の分になります。

現金は動かず、在庫と買掛金が増えています

第1四半期なので、この短信にキャッシュ・フロー計算書はありません。代わりに貸借対照表の動きを並べます。

3月末6月末
現金及び預金36億8,300万円37億2,800万円
商品及び製品85億3,900万円91億7,600万円
原材料及び貯蔵品26億3,100万円33億8,100万円
支払手形及び買掛金60億1,700万円77億6,300万円
長期借入金174億2,300万円158億7,400万円

12億9,000万円の純利益が出た3か月で、現金は5,000万円しか増えていません。在庫が合わせて13億円ほど増え、買掛金は17億円ほど増えています。ここまでは貸借対照表の数字です。増えた在庫を、仕入先への支払いを後ろへ回すことで賄った四半期、と私は受け取りました。在庫の積み増し自体は、説明文に「原材料の複数購買や在庫確保等に努める」とあるので、会社側の意図です。

設備の動きも一つ。5ページ目に、固定資産の取得が12億7,000万円、減価償却が12億6,800万円とあります。大きな工場を建てる時期はいったん終わり、減った分だけ足している段階です。長期借入金が15億円ほど減ったのも、その表れだと考えています。

特別利益には、助成金収入2億5,200万円と圧縮未決算特別勘定戻入1億9,200万円があります。二つを足した額が、特別損失の固定資産圧縮損4億4,500万円と同じです。補助金でもらった分を固定資産の帳簿から差し引く手続きで、純利益への影響はありません。

会社はどう説明しているか

需要の説明は、生成AI向けのデータセンター投資で先端ロジックとメモリの需要が増えた、というものです。今期は5か年計画「Beyond500」の最終年度で、増やした設備を使い切る段階だと書いています。ここはそのまま受け取ります。

一方で、原燃料価格は依然として高い水準にあり、費用を押し上げていると自分で書いています。対策は「顧客との協議を通じて販売価格の見直しを順次進めております」です。「順次」がどこまで進んだのかは、短信には書かれていません。

補足説明資料には、短信に無い数字が2つあります。第2四半期に原燃料の値上がりによる在庫評価益4億円を見込んでいること。そして下期の営業利益を23億円に据え置いたことです。上期には一過性の要因が9億円あります。先ほどの5億1,100万円と、在庫評価益4億円です。それが下期には消え、原燃料の値上がりが損益に出て、人件費や修繕費も増えるからです。

中期計画の営業利益目標80億円に対して今期予想は58億円で、会社自身が「収益性改善は道半ば」と評価しています。

通期予想に対して、どこまで来ているか

売上高500億円、営業利益58億円へ、会社は5月の予想から引き上げました。

通期予想第1四半期進捗率残り9か月に必要な額残り9か月の前年比
売上高500億円120億8,600万円約24.2%約379億1,400万円約+15.5%
営業利益58億円19億3,200万円約33.3%約38億6,800万円約+18.2%
経常利益55億円18億8,600万円約34.3%約36億1,400万円約+9.5%
純利益38億円12億9,000万円約33.9%約25億1,000万円約+0.7%

約の付いた数字は、通期予想と第1四半期の数字から私が引き算と割り算をしたものです。

営業利益は3分の1まで来ています。ただ一過性の5億1,100万円を除くと14億2,100万円です。この額で見ると、58億円の4分の1を少し下回るあたりで、売上の進み方とほぼ同じ温度です。

残り9か月の純利益が前年とほぼ同じ額、という置き方も目に留まりました。売上は1割半増えるのに、利益は前年並みです。原燃料の影響と固定費の増加を、会社側はそれだけ重く見込んでいることになります。

私はどう読んだか

私は「増収は本物で、利益の勢いは半分ほど割り引いて受け取る」という見方をしています。理由は、5億1,100万円を除いた14億円でも両セグメントが増益で、感光性材料は損失から黒字に転じているからです。設備を増やして、それが埋まり始めた四半期に見えます。

ただ、上期の予想は35億円です。通期58億円から下期23億円を引いた額です。そのうち9億円が一過性です。下期は23億円と置かれています。……いや、上期の4分の1が前期の残りと在庫の評価益で、その先を会社が低く抑えている決算を、手放しでは受け取れない。心配性なので、下期の原燃料の影響がどれだけの額で出てくるかを、次の短信で確かめます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.toyogosei.co.jp/news/20260807_FY2025Q1financial_results.pdf

顧客との協議で進めているという販売価格の見直しが、この四半期の売上にどれだけ入っているかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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