大成建設(1801)2027年3月期 第1四半期決算分析――建築の好採算、通期には無いと読みました

大成建設(1801)2027年3月期 第1四半期決算分析――建築の好採算、通期には無いと読みました 決算を読む

大成建設は、建物と土木の構造物を造る会社です。都心の再開発で建つ高層ビル、工場、病院、それからトンネルやダム、橋、地下鉄。発注するのは不動産会社や事業会社、それに国や自治体です。土木や海洋工事を手がける子会社を傘下に持ち、買収で会社を増やしてもいます。

建設業の決算は、ものを売る会社とは時間の流れ方が違います。受注してから完成まで何年もかかるので、今期の売上は、何年か前に取った仕事の進み具合で決まります。逆に今期取った仕事は、これから何年かの売上になる。だから私は業績の表と同じくらい、受注高と、まだ手を付けていない工事の残高を見ます。

もう一つ、この業界の癖があります。工事の採算は、完成に近づくまで本当のところが分かりません。資材や人件費が上がれば、途中で見積りが変わります。利益率が動いた四半期は、その理由まで読まないと、次の四半期の見当が付きません。今回はまさに、利益率が大きく動いた決算でした。

この決算で何が起きたか

8月6日に出た第1四半期です。売上が2割近く増え、利益も4段とも増えました。

今回前年同期増減率
売上高5,212億1,500万円4,403億3,900万円+18.4%
営業利益453億1,700万円392億8,700万円+15.3%
経常利益458億6,300万円411億4,500万円+11.5%
純利益309億900万円295億100万円+4.8%

ただ、下へ行くほど伸びが縮んでいます。売上は2割増えたのに、純利益は5%弱。この段差の理由は、表の下の階に降りないと分かりませんでした。

建築が3倍稼いで、土木が4割落とした

添付資料9ページ目のセグメント表を見ると、増益の中身が一つの事業に偏っています。

営業利益今回前年同期増減率
土木153億3,500万円247億1,000万円△37.9%
建築250億2,300万円83億6,600万円+199.1%
開発93億3,600万円63億8,700万円+46.2%

建築の利益が3倍になっています。短信3ページ目の表では、建築の売上総利益率が前年同期の9.8%から14.4%へ上がっています。売った量が増えただけでなく、一つ一つの工事の採算が変わりました。

引っかかったのは、土木のほうです。連結の土木売上は2割伸びていますが、会社はその理由を「連結子会社の増加により」と書いています。4ページ目の本体だけの表を開くと、土木の売上は894億円から888億円へ、ほぼ横ばいです。それでいて利益率は26.4%から18.8%へ落ちています。本体の土木は、量が増えないまま採算だけ落ちたことになります。

貸借対照表にも、土木と関係がありそうな動きがあります。工事損失引当金が、3月末の764億円から688億2,400万円へ減っています。減り幅は75億円ほどです。これは私の引き算です。引当金が減るのは、見込んでいた損失が実際に出て取り崩したか、見積りそのものが縮んだかのどちらかです。どちらなのか、土木の採算とつながっているのかは、決算短信には書かれていません。

会社は、建築の採算を通期に持ち越していない

3ページ目の表には、事業ごとの売上総利益率が、第1四半期と通期予想で並んでいます。ここが今回いちばん考えさせられた場所です。

売上総利益率第1四半期通期予想前期実績
建築14.4%12.2%12.3%
土木17.1%18.2%20.8%
全体16.4%14.8%15.8%

建築は第1四半期の14.4%に対して、通期は12.2%。前期とほぼ同じ水準です。つまり残り9ヶ月の建築は、第1四半期より低い採算で見込まれています。土木は逆で、第1四半期の17.1%から通期18.2%へ、残りで持ち直す置き方です。どちらの事業も、残り9ヶ月の見込みが第1四半期の動きと逆を向いています。

この通期予想は5月14日に出したもので、変更はありません。第1四半期の実績が出たあとも、会社側は建築の好採算を通期予想に上乗せしていないわけです。なぜそう置いたのかは、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに理由があるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。

受注は4割減、手持ちの工事は増えている

受注高は連結で6,305億円から4,759億円へ減りました。減り幅は1,545億円ですが、建築だけで2,295億円減っています。全体の減り幅より大きいので、建築以外は合わせて増えた計算です。本体の建築で見ると、国内民間の受注が3,914億6,400万円から1,649億2,600万円へ、6割近い減り方です。

……いや、これは前年が大きすぎただけだ。18ページ目の受注表で、前年同期の本体の建築受注は4,366億円。前期1年分が1兆3,188億円ですから、1年の3分の1が最初の3か月に入っていた計算になります。今年の本体の建築受注1,789億円は、大型案件が去年の同じ時期に固まっていた反動と受け取りました。

裏付けは、まだ手を付けていない工事の残高です。19ページ目の繰越高は3兆2,923億8,900万円で、前年同期より2.8%増えています。土木は8.3%増、建築は横ばいです。受注の数字が減っても、これから売上になる仕事は減っていません。

利益が下へ行くほど縮んだ理由

営業利益から下の段差は、二つの費用で説明が付きます。

一つめは販売費及び一般管理費です。285億2,600万円から402億7,300万円へ、4割増えました。14ページ目の注記を見ると、のれんの償却額が1億3,200万円から29億8,000万円へ増えています。それに加えて、顧客関連無形資産の償却7億9,500万円が新しく乗っています。二つ合わせて36億円ほどの増加で、これは私の足し算です。残りは、増えた子会社の販管費がそのまま乗った分だと考えています。

二つめは営業外です。支払利息が6億5,800万円から14億6,900万円へ増えました。資金調達費用も4,100万円から9億3,300万円へ増えています。有利子負債は3月末から164億円減っているのに、利息は倍以上です。会社は通期の金融収支を46億円の赤字と置いていて、前期は29億円の黒字でした。借入の中身が変わったのか、金利が変わったのか、短信からは読み取れませんでした。

純利益が5%弱しか伸びなかったのは、この二つが効いたうえで、法人税等も増えているからです。純利益に含まれる投資有価証券売却益43億9,100万円は、前年同期の42億2,700万円とほぼ同じで、今回の増減には効いていません。

会社はどう説明しているか

会社は6ページ目で、売上総利益の増加を「増収に加え、建築事業及び開発事業の利益率好転により」と書いています。土木については「当社及び連結子会社の利益率低下により完成工事総利益が減少」とだけあります。経常利益の伸びが鈍った理由は「資金調達費用の増加等に伴う営業外損益の悪化」です。

建築が良くなった理由、土木が悪くなった理由、そのどちらも一段深い説明は決算短信にはありません。利益率が動いたことは事実として受け取ります。動いた理由については、留保を付けています。

通期予想に対して、どこまで来ているか

営業利益の進み方は4分の1に届いていて、3か月分の目安どおりです。

通期予想第1四半期進捗率残り9ヶ月に必要な額残りの前年比
売上高2兆4,200億円5,212億1,500万円21.5%1兆8,987億8,500万円+15.1%
営業利益1,880億円453億1,700万円24.1%1,426億8,300万円△4.0%
経常利益1,870億円458億6,300万円24.5%1,411億3,700万円△8.8%
純利益1,510億円309億900万円20.5%1,200億9,100万円△14.6%

進捗率と残りの額は、表紙の通期予想から私が引き算したものです。営業利益の通期予想は前期比で0.0%、つまり増えない置き方です。第1四半期が15%増えたので、残り9ヶ月は前年より4%少ない利益で足りることになります。純利益の残りは15%近く少なくて済む計算です。

私はどう読んだか

建築の採算改善が続くのか、それとも第1四半期だけのものか。私は後者、つまり会社の予想に近い見方をしています。理由は、会社自身が建築の通期利益率を前期並みに戻していて、それを第1四半期の実績が出たあとも動かしていないからです。何か採算を押し下げる材料を見込んでいるはずです。

もう一つ、本体の土木が量を増やさないまま利益率を落としていることが、頭から離れません。引当金が減った理由と合わせて、次の四半期で確かめたい点です。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260806/140120260731505707.pdf

現金預金が3月末の2,783億3,600万円から2,073億2,500万円へ減った中身は、この短信に四半期のキャッシュ・フロー計算書が無いので読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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