ドラッグストアの会社です。薬と化粧品を軸に、洗剤やトイレットペーパーのような日用品を売る店で、最近は処方箋を持ち込める調剤の窓口を併設した店が増えています。
昨年の暮れにウエルシアホールディングスと経営統合しました。看板の違う二つのドラッグストアが、仕入れも、プライベートブランドも、コンピューターのシステムも、これから一つにしていく段階にあります。短信の説明文にも、まだ「組織融合を進める」「構築に取り組む」という言葉が並んでいます。
私もドラッグストアには週に一度は行きます。ただ、レジの向こう側でどれだけの現金が動き、どれだけが手元に残るのかは、店にいても分かりません。それを見に行くのが決算短信です。
売上は倍になり、純利益は2割増でした
2026年7月8日に出た第1四半期の短信です。3月から5月までの3か月分になります。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,368億8,600万円 | 2,725億3,000万円 | +133.7% |
| 営業利益 | 242億2,900万円 | 124億6,700万円 | +94.3% |
| 経常利益 | 243億9,000万円 | 130億5,900万円 | +86.8% |
| 純利益 | 134億7,700万円 | 111億1,200万円 | +21.3% |
売上が倍を超えたのは、統合の相手の売上が今回から丸ごと乗っているからです。倍になったこと自体は追いません。追うのは、営業利益がほぼ倍なのに純利益が2割しか増えていない、その間で何が起きたかです。
1株利益は45円66銭から29円75銭へ減っています。統合の相手の株主に株を渡して、期中平均の株数が2億4,336万株から4億5,307万株に増えたからです。なお、この短信は監査法人のレビューを受ける前のもので、レビュー後の版を7月14日に改めて出すと表紙にあります。
差の半分は前年の株の売却益、残りは税金でした
損益計算書は添付資料の6ページ目にあります。営業利益と純利益の差が開いた場所は二つでした。
一つは特別利益です。前年の第1四半期には投資有価証券の売却益が66億8,200万円ありました。今回は11億6,100万円で、差は55億円ほどです。この分は今回の商売の実力とは関係がありません。
それでも税引前の利益は3分の1ほど増えています。ここまでは順当でした。引っかかったのは、その次の行です。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 税引前四半期純利益 | 186億6,500万円 | 251億8,100万円 |
| 法人税等 | 67億900万円 | 110億8,800万円 |
| 税金の割合 | 約36% | 約44% |
約の付いた数字は、法人税等を税引前の利益で割った私の割り算です。
利益が3分の1増える間に、税金は6割以上増えています。理由は短信には書かれていません。
のれんの償却は、利益を減らしても税金を減らさない
なぜ税率が跳ねたか、私には一つ心当たりがあります。のれんです。
貸借対照表には、のれんが4,484億2,000万円残っています。統合の相手を買った値段のうち、相手の純資産を超えて払った分です。これを毎期少しずつ費用にしていくのが償却で、添付資料8ページ目の注記に、この3か月の償却額は61億7,300万円とあります。前年同期は7億500万円でした。
この償却は、損益計算書では営業利益を減らします。ただ、税金の計算では費用として引けない、と私は理解しています。ためしに、税引前の251億8,100万円に償却の61億7,300万円を足し戻して、税金の側から見た利益に近づけます。313億5,400万円になります。法人税等の110億8,800万円をこれで割ると、約35%です。前年の36%とほぼ並びます。
ここまでは損益計算書と注記の数字です。のれんの償却が利益を減らし、税金は減らさなかった、と私は読みました。
表紙の業績表では、EBITDAという列が営業利益より前に置いてあります。営業利益に減価償却費とのれん償却額を足したものだと注記にあります。この列を前に出したくなる事情も、のれんの償却にあるのだと受け取りました。
現金より買掛金のほうが大きく増えていました
第1四半期の連結キャッシュ・フロー計算書は作成していない、と注記にあります。省略できる決まりなので、それ自体は珍しくありません。私はいつもそこから読み始めるので、少し困りました。
代わりに貸借対照表を前期末と比べます。現金及び預金は3か月で284億8,400万円増えました。同じ期間に買掛金は508億5,600万円増えています。商品の増え方は77億5,300万円です。
……いや、3か月で500億円は大きい。
統合で二つの会社の支払い条件をそろえている途中なのかもしれません。短信は理由には触れていません。仕入れの代金をまだ払っていないぶん、現金が手元に残っている形です。買掛金はいずれ払うお金なので、この現金の増え方を、私は稼いだ現金とは数えていません。
取り組みは列挙されていますが、数字の説明は一文でした
添付資料の2ページ目に、会社自身の説明文があります。調剤の需要は伸び、食品を置く店が増えて市場は広がっている、という業界の話から始まります。統合については、商品部門の組織融合、新しいプライベートブランド「からだとくらしに、+1」、基幹システム統合に向けた組織整備、全国を6ブロックに分けた店舗開発、と取り組みが並びます。
店は3か月で36店を出し、47店を閉め、5,665店になりました。うち調剤を扱う店が3,324店です。不採算店の見直しを実施している、とあります。
そのうえで業績の数字は「これらの結果」の一文で締められています。統合の効果が利益にいくら乗ったのか、税金がなぜ増えたのかは、短信の説明文には出てきません。取り組みの一覧としては受け取れますが、数字の説明としては、私は受け取れませんでした。
通期予想は据え置きで、純利益は前期より減る置き方です
表紙に、2026年4月9日に出した予想から変更はない、とあります。
| 第1四半期実績 | 上期予想 | 通期予想 | 進み具合 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,368億8,600万円 | 1兆2,793億円 | 2兆5,550億円 | 約25% |
| 営業利益 | 242億2,900万円 | 526億円 | 994億円 | 約24% |
| 純利益 | 134億7,700万円 | 272億円 | 415億円 | 約32% |
進み具合は、第1四半期の実績を通期予想で割って出しました。
売上と営業利益は4分の1で、3か月分としては教科書どおりの位置にいます。純利益だけが3分の1近くまで来ています。それなのに通期は、売上を76.1%増やして、純利益は前期より2.7%減らす置き方のままです。
純利益の通期415億円から、上期272億円を引きます。9月から翌年2月までの6か月で、143億円です。3月から5月の3か月で134億7,700万円稼いだあとで、6か月をほぼ同じ額で見込んでいるわけです。営業利益のほうは、通期994億円から上期526億円を引きます。下期は468億円で、上期と大きくは違いません。減るのは営業利益より下の段です。
私はどう読んだか
下期は、営業利益より下の段に利益を削る材料がある、という見方をしています。それが特別損失なのか税金なのかは短信からは分かりません。そう読む理由は、この会社の利益がすでに損益計算書の下のほうで削られる形になっているからです。のれんの償却は税金を減らさず、店の閉鎖には引当金を積みます。第1四半期の税率44%は、その形の一端です。
予想が慎重なだけで、あとから上げてくる、という読み方もできます。私はそちらは取りません。心配性なので、下振れのほうを先に見ます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

下期6か月の純利益を第1四半期3か月と同じ水準に置いた理由は、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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