はじめに
BRANUは、地域の中小の建設会社に向けたソフトを作っている会社です。工務店、設備工事、外構、内装といった、社員の多くない建設業者が相手です。そこでは、現場ごとの原価を社長の頭の中と紙の伝票で管理していることが少なくありません。
見積を出し、工事をして、請求書を書く。その一連の作業を一つの画面でこなせるようにしたのが、業務ツール「CAREECON Plus」です。
もう一つの柱が「CAREECON」というマッチングの場です。仕事を頼みたい施主、働き手を探す建設会社、資材を売りたい業者を、ホームページや求人の形でつなぎます。ツールは月ごとの利用料なので、契約が続く限り売上が積み上がるストック型の商売です。
昨年の冬に東証グロースに上場したばかりの会社です。決算を読むのは今回が初めてです。上場して最初の年に、通期の予想を引き上げてきました。
この決算で何が起きたか
9月11日に出た第3四半期決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 20億7,800万円 | 14億8,600万円 | +39.8% |
| 営業利益 | 3億800万円 | 1億9,200万円 | +60.0% |
| 経常利益 | 2億9,000万円 | 1億9,000万円 | +52.9% |
| 純利益 | 1億8,900万円 | 1億3,400万円 | +41.0% |
営業利益率は前年同期の13.0%から14.8%へ上がっています。同じ日に通期予想の上方修正も出ました。表だけ見れば、文句のつけようがありません。
経常利益の伸びを削っていたのは、上場のための費用でした
営業利益が6割増なのに、経常利益は5割増で止まっています。損益計算書の営業外費用の欄に、上場関連費用が1,775万円入っていました。前年同期にはありません。
上場は一度きりですから、この費用も一度きりです。ここを除けば、営業利益と経常利益はほぼ同じ速さで伸びていたことになります。
現金は増えましたが、稼いだ分ではありません
貸借対照表では、現金及び預金が7億8,617万円から13億3,423万円へ増えています。会社の説明文にあるとおり、増えた5億4,806万円は、上場で新株を発行した払込がほとんどです。資本金と資本剰余金が2億2,540万円ずつ増えているのが、その跡です。
第3四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成していない、と注記にあります。商売で現金がいくら入ったのかは、この短信からは分かりません。自己資本比率が34.0%から57.3%へ上がったのも、払込で分母と分子が膨らんだ結果です。長期借入金を3億7,597万円から3億1,598万円へ減らしているのは、地味ですが堅い動きだと受け取っています。
貸倒引当金が、倍以上に増えています
引っかかったのはここです。売掛金は1億9,861万円から2億7,046万円へ増えました。売上が4割伸びているので、この増え方は自然な範囲です。ところが貸倒引当金は673万円から1,447万円へ増えました。2倍以上です。
相手は中小の建設業者です。会社は、資材価格の変動や人手不足で、事業環境の変化への対応が求められていると書いています。払いが滞りそうな相手が増えたのか、引当の基準を保守的に変えたのかは、決算短信には書かれていません。金額は小さいのですが、方向は覚えておきます。
会社はどう説明しているか
4ページ目の説明文で、会社は伸びた理由を2つ挙げています。支店の規模を広げ、営業体制を強くしたことで新規顧客の獲得が進んだこと。そして既存顧客に対する「CAREECON Plus」のクロスセルとアップセルが好調だったことです。
この説明は、数字と合っています。販売費及び一般管理費は10億776万円から13億9,816万円へ、売上とほぼ同じ速さで増えました。営業の人と拠点を増やせば、費用は先に出ます。それでも利益率が上がったのは、既存客への追加販売が費用をあまり使わずに売上を伸ばしたからだと考えています。
注記の減価償却費は597万円から1,530万円へ増えました。有形固定資産も6,223万円から8,115万円へ増えています。どちらも支店を増やした跡でしょう。ここまでは短信の数字で説明が付く範囲です。
通期予想に対して、どこまで来ているか
上方修正後の通期予想と並べます。
| 通期予想 | 第3四半期まで | 進み具合 | 残り3か月に要る額 | 残りの前年同期比 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 29億5,500万円 | 20億7,800万円 | 約70.3% | 約8億7,700万円 | 約+37.8% |
| 営業利益 | 4億6,900万円 | 3億800万円 | 約65.7% | 約1億6,100万円 | 約+16.3% |
| 経常利益 | 4億5,200万円 | 2億9,000万円 | 約64.2% | 約1億6,200万円 | 約+16.9% |
| 純利益 | 2億9,200万円 | 1億8,900万円 | 約64.7% | 約1億300万円 | 約−4.0% |
約の付いた数字は、通期予想から第3四半期までの実績を私が引き、割って出したものです。
9か月が終わった時点の目安は4分の3ですが、利益はどれも3分の2に届いたところです。それでも上方修正なので、会社は残り3か月を控えめに置いたことになります。売上は4割近い伸びを見込む一方、純利益は前年の同じ3か月をわずかに下回る見込みです。……上方修正の日に、最後の四半期だけ減益の形か。
純利益だけ下がるのは、税金が関係しているかもしれません。法人税等は5,561万円から1億99万円へ、税引前利益の伸びよりずっと速く増えています。注記によれば、税金は通期の見積り実効税率で計算しているので、会社が見込む今年の税率は前年より高いようです。なぜ高いのかは、決算短信には書かれていません。
私はどう読んだか
残り3か月の数字は、控えめに出しただけなのか、第4四半期に費用を見込んでいるのか。この2つのどちらかだと思います。
私は後者だと考えています。理由は、支店の拡大と営業体制の強化を会社自身が伸びた理由に挙げていて、その費用は売上より先に出るからです。減価償却費が前年の2倍半ほどに増えているのは、その一部がもう出始めている証拠です。上場から1年目、次の期に備えた数字を置いたのだろうと受け取りました。上がるかは知りません。
ただ、貸倒引当金が倍になったことと、通期の税率が上がったことは、どちらも短信に理由がありません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに書いてあるのかもしれませんが、まだ読んでいません。心配性なので、頭の片隅に残しておきます。
出典:決算短信(会社発表)

上方修正のあとで、残り3か月の純利益が前年を下回る置き方になった理由は、短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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