SRAホールディングス(3817)決算分析――13%の減収と、無かったキャッシュ・フロー計算書

SRAホールディングス(3817)決算分析――13%の減収と、10ページ目に無かったもの 決算を読む

はじめに

SRAホールディングスは、独立系のシステム開発会社です。銀行や証券、製造業といったお客さんから注文を受けて、業務システムを設計し、作り、納めたあとの運用まで面倒を見ます。特定のメーカーの系列に属していないので、オープンソースの技術を組み合わせて作るのが得意です。

短信を読むと、事業は3つに分かれています。システムを作る「開発事業」、作ったものを動かし続ける「運用・構築事業」、そして機器やソフトを仕入れて売る「販売事業」。作る・回す・売る、の3本柱です。傘下にAITという販売の子会社を持っていて、今回の決算はこの子会社の話が主役の一つになります。

売上が2桁減った四半期です。ただ、1ページ目の表だけ見て「悪い決算」と受け取ると、たぶん読み違えます。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高12,45514,308-13.0%
営業利益1,7251,848-6.7%
経常利益2,0161,717+17.4%
純利益1,2211,135+7.6%

(単位:百万円)

売上は1割強の減収、営業利益も減っているのに、経常から下は増益。この形は、途中で何かが挟まっています。

最初の表では分からなかったこと

減収の正体は、前年の大型案件

4ページ目に理由がそのまま書いてあります。販売事業で、前年の同じ時期に27億円超の大型販売案件があり、その反動で今回の販売事業は3分の1以上減る形になった、と。一方で主力の開発事業は1割強伸びています。

事業今回の売上前年同期比
開発事業6,331+11.2%
運用・構築事業1,625+2.4%
販売事業4,498-36.0%

(単位:百万円)

減ったのは仕入れて売る事業で、伸びたのは自分で作る事業です。売上総利益率は22.5%から25.1%へ、営業利益率も12.9%から13.9%へ上がっています。売る量が減って、中身が濃くなった。減収の見た目より、ずっとまともな四半期です。

経常が2割近く増えた理由は、為替

ここが今回いちばん引っかかったところです。経常利益は前年同期比298百万円の増加ですが、7ページ目の損益計算書を見ると、当期に為替差益174百万円が営業外収益に入っていて、前年同期には逆に為替差損250百万円が営業外費用に立っていました。損が消えて益に変わった。この振れだけで、経常の増益はほぼ説明がついてしまいます。会社自身も4ページ目でそう書いています。

つまり、営業利益が減って経常が増えたのは、本業が後半で盛り返したからではありません。円の側の話です。純利益の増益も、この延長にあります。

補足情報の受注が、下を向いている

利益率の話だけで閉じられないのが、補足情報の受注状況です。

事業受注高の前年同期比受注残高の前年同期比
開発事業-2.0%-1.4%
運用・構築事業+2.1%-4.8%
販売事業-0.8%-8.3%

全社の受注残高は14,554百万円で、前年同期から5%ほど減っています。今回1割強伸びた開発事業も、新しく取ってきた注文は前年を下回っている。売った分だけ、先の在庫が薄くなっている形です。……この表、1ページ目からは想像がつかない。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書が無かった

私はいつも添付資料のキャッシュ・フロー計算書まで読みに行くのですが、この会社の10ページ目には「当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とあります。第1四半期では作らない会社は珍しくないので、これ自体は責めるところではありません。

代わりに貸借対照表を見ると、4ページ目に会社の説明があります。売上債権の回収が進んで受取手形・売掛金等が1,944百万円減り、現金及び預金は629百万円増えて21,566百万円。前受金も799百万円増えています。売った分の現金は入ってきているようです。計算書が無いなりに、悪い形には見えませんでした。

後発事象に、自己株式の取得

同じ10ページ目に、7月17日の取締役会で自己株式取得を決めたとあります。上限960,000株・総額43億円、期間は来年3月まで。うち7月21日に300,000株を13.56億円で取得済みです。発行済株式が15,240,000株の会社ですから、上限まで行けば軽くない規模です。

会社はどう説明しているか

会社の説明は一貫していて、「販売事業の反動減で売上は落ちたが、利益率の高い開発事業と運用・構築事業を伸ばし、採算を重視した結果、利益率は改善した」というものです。

利益率の改善は、セグメント利益の数字でも裏が取れるので、そのまま受け取ります。一方で、経常の増益については会社自身が為替の話として書いているので、「増益」の字面だけを持ち帰らないほうがいい。そこは会社も隠していません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目通期予想進捗率
売上高55,50022.4%
営業利益8,60020.1%
経常利益9,00022.4%
純利益5,50022.2%

(単位:百万円。予想は期初のまま修正なし)

3ヶ月分の目安である4分の1に、どの段も少し届いていません。残り9ヶ月で見ると、営業利益は前年の同じ期間より7.5%多く稼ぐ必要があります(これは渡された計算をそのまま使っています)。届かない距離ではありませんが、受注残が減っている中でこの上積みを取りに行く、という順番になります。配当は年220円の予想で、配当性向は半分ほど。

私はどう読んだか

読み方は2つあると思います。反動減を除けば本業は伸びていて利益率も上がった、という読み方と、経常増益は為替で、先行きを示す受注残は減っている、という読み方。

私は後者に寄せて読んでいます。理由は、今回の増益の段が全部、為替という自分で制御できないものの上に載っているからです。営業利益は減っていて、進捗も目安に届いていない。利益率の改善は本物だと思いますが、それが受注の細りを埋め切れるかは、この短信だけでは判断がつきませんでした。読み違いかもしれません。次の四半期の受注の行を見れば分かることです。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260812/140120260812518207.pdf

貸借対照表の長期貸付金7,826百万円に対して貸倒引当金が5,600百万円積まれている経緯は、この短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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