NSユナイテッド海運(9110)2027年3月期 中間決算分析――現金の入りが増えない点が気になる

NSユナイテッド海運(9110)2027年3月期 中間決算分析――現金の入りが増えない点が気になる 日本株

鉄鉱石を、袋に詰めずに運ぶ船の会社

NSユナイテッド海運は、ばら積み船で稼ぐ海運会社です。ばら積み船は、鉄鉱石や石炭、穀物、ボーキサイトを箱にも袋にも詰めず、船倉にそのまま流し込んで運ぶ船です。荷主は製鉄所や電力会社、穀物を扱う会社です。南米やアフリカ、オーストラリアで積んだ原料を、アジアの港まで届けています。

ほかに、液化石油ガスを運ぶ大型のガス船も持っています。国内では、石灰石や鋼材、セメントを港から港へ運ぶ内航の船を動かしています。LNGで走る船に、海の上で燃料を渡す船もあります。売上の大半は外国航路です。

船の稼ぎは、日ごとの運賃で決まります。荷物が増えるか、同じ荷物がより遠くへ行くようになると、空いている船が減って運賃は高くなります。この会社の決算は、ほぼその話です。

半年で、営業利益がほぼ倍に

2026年10月30日に出た中間決算です。4月から9月までの半年を、前年同期と並べます。

今回前年同期増減率
売上高1,371億1,000万円1,115億2,900万円+22.9%
営業利益177億600万円92億4,000万円+91.6%
経常利益170億7,300万円84億8,300万円+101.3%
純利益144億6,700万円110億4,700万円+31.0%

営業利益はほぼ倍、経常利益は倍を超えました。純利益だけが3割増にとどまっています。

純利益の伸びが鈍いのは、前年に船を売っていたから

損益計算書(添付資料6ページ)を下までたどると、理由は特別利益の行にありました。前年の中間期には固定資産売却益が47億6,400万円あり、今回は3,300万円です。

前年の税金等調整前中間純利益は132億4,700万円でした。そこから47億6,400万円を引くと84億8,300万円で、前年の経常利益と同じ額になります。船を売った利益を除いて比べれば、今回は倍の伸びです。

利益は倍なのに、営業キャッシュ・フローは前年並み

キャッシュ・フロー計算書は添付資料8ページにあります。ここで引っかかりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の211億3,000万円に対して、今回は209億6,600万円です。利益がほぼ倍になった半年で、本業から入った現金はわずかに減っています。

営業キャッシュ・フローの主な行前年同期今回
税金等調整前中間純利益132億4,700万円171億600万円
減価償却費82億6,700万円79億6,600万円
固定資産売却損益△47億6,400万円△3,300万円
営業債権の増減40億2,400万円6億3,100万円
棚卸資産の増減16億6,700万円6億9,800万円
営業債務の増減3億6,600万円△39億8,000万円
営業活動によるキャッシュ・フロー211億3,000万円209億6,600万円

利益の差は、どこへ行った。

差は、運転資金の3行で埋まっていました。前年は売掛金の回収が40億2,400万円、在庫の減少が16億6,700万円ありました。足すと56億9,100万円が現金として戻っていたことになります。前年の中間期は売上が1割以上減った時期で、回収が先に進んでいます。

今回はその戻りが小さく、代わりに営業債務の減少で39億8,000万円が出ていきました。貸借対照表では、支払手形及び営業未払金が3月末の179億100万円から139億1,700万円へ減っています。

3月末に溜まった支払いを4月以降に済ませただけなら、珍しくはありません。ただ、燃料油の価格は前年同期の1トン526ドルから681ドルへ高くなっています。燃料に多く払っている時期なら、未払いはむしろ増えそうなものです。それが減っているのは、私には少し逆向きの動きに見えます。減った理由は、短信にも決算補足資料にも書かれていませんでした。

資金繰りの話ではありません。現金及び現金同等物は、期首の656億2,500万円から736億200万円へ増えています。

稼いだ半年に、配当はゼロ

前期の配当は年310円でした。今期は中間0円で、期末の予想も0円です。短信には、7月31日の「2027年3月期の配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」のとおり無配を予定している、とだけあります。決算補足資料も同じお知らせを指しているだけで、無配の理由はこの2つの資料には書かれていません。お知らせ本体を、私はまだ開いていません。

この半年のキャッシュ・フロー計算書にも、配当金の支払額が48億2,500万円あります。額から見て、前期の期末配当の分です。無配が現金の動きに表れるのは、下期からになります。

会社の説明は「荷物が遠くへ行った」

短信の添付資料2ページで、会社は外航の好調を、荷物の量より運ぶ距離で説明しています。大型船では、ブラジルの鉄鉱石と西アフリカのボーキサイトに加え、ギニアのシマンドゥ鉱山の鉄鉱石の出荷が増えました。航海が長くなって船が足りなくなった、という説明です。

中型以下の船では、中東情勢で燃料の供給が細った地域が石炭火力に頼り、一般炭の荷動きが増えたそうです。ガス船は、ホルムズ海峡の通航制約で中東の積み荷が減った一方、ほかの産地から遠くへ運ぶ分が増えた、としています。円安も利益を押し上げた、と書いています。

セグメント利益前年同期今回
外航海運事業72億1,700万円158億6,600万円
内航海運事業20億9,200万円18億3,200万円

セグメントの数字は、この説明と合っています。外航が倍以上になり、内航は燃料費の増加とセメント・電力関連の荷物の減少で減益です。説明はそのまま受け取ります。ただ、海峡の通航制約は、会社の力でどうにかなるものではありません。決算補足資料でも、ガス船の運賃が下期に落ち着く可能性を予想に織り込んだ、と会社自身が述べています。

通期予想に対して、半分を少し超えたところ

会社はこの決算に合わせて通期予想を引き上げ、営業利益を7月の265億円から322億円にしました。

通期予想中間期まで残り6か月進捗率
売上高2,630億円1,371億1,000万円約1,258億9,000万円約52.1%
営業利益322億円177億600万円約144億9,400万円約55.0%
経常利益307億円170億7,300万円約136億2,700万円約55.6%
純利益264億円144億6,700万円約119億3,300万円約54.8%

残り6か月は通期予想から中間期までの実績を引いた数字、進捗率は中間期までの実績を通期予想で割った数字で、どちらも私の計算です。

下期の前提は、上期より厳しめです。

前提上期の実績第3・4四半期の前提
燃料油価格(全油種平均、1トン)681ドル800ドル
為替(1ドル)160.00円155.00円

決算補足資料には、1円の円安で下期の経常利益が約3億円増える、とあります。大型船の下期の運賃前提は1日3万1,500ドルで、10月20日時点の先物指標から出した3万1,400ドルと並べてあります。どちらも補足資料の数字です。

残り6か月の純利益は、前年の下期より1割近く少ない見込みです。これは私の引き算です。営業利益では前年の下期を3割近く上回るのに、純利益では届きません。前年の下期にも特別な利益があったのかもしれませんが、この短信からは確かめられませんでした。

私はどう読んだか

上期の利益は、運賃と円安という本業の側から生まれています。営業外や特別利益で作った数字ではありません。ここまでは損益計算書とセグメントの数字です。

私は、この通期予想を無理のない前提で組んだ数字だと考えています。理由は、燃料を上期より高く、為替を上期より円高に見込み、大型船の運賃も先物指標とほぼ同じにしているからです。

心配性なので、引っかかりは2つ残ります。営業未払金の40億円近い減少が次の決算でも続くのか。そして、これだけ稼いだ年に配当をやめる理由です。この先どうなるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://data.swcms.net/file/nsuship/dam/jcr:3379c7b6-ac2c-44c7-b352-3c98882edfaf/140120261030560859.pdf

営業未払金が40億円近く減った理由と、無配に切り替えた理由は、短信と決算補足資料からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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