日清製粉グループ本社(2002)2027年3月期 中間決算分析――上方修正は値段の分だけと読みました

日清製粉グループ本社(2002)2027年3月期 中間決算分析――上方修正は値段の分だけと読みました 日本株

毎日のパンと麺の、ひとつ手前にいる会社

日清製粉グループ本社は、小麦を挽いて粉にする会社のグループです。家庭用の小麦粉やパスタも出していますが、商売の中心は業務用です。パン屋や製麺所、菓子の工場が仕入れる粉をつくっています。

グループの中には、コンビニやスーパーに並ぶ弁当と総菜をつくる会社があります。パンを膨らませるイーストの会社もあり、北米でも粉を挽いています。国内の粉は、政府が売り渡す輸入小麦の値段が改定されると、それを受けて卸値を見直す商売です。原料の値段と為替が、そのまま原価に入ってきます。

2026年10月28日に出た中間決算を、最後のページまでめくりました。

営業利益は前年並みで、純利益だけが大きく伸びた

表紙の業績表はこうです。

今回前年同期増減率
売上高4,417億5,600万円4,313億1,000万円+2.4%
営業利益228億2,300万円226億3,300万円+0.8%
経常利益240億3,600万円247億8,800万円△3.0%
純利益181億5,400万円103億2,500万円+75.8%

売上と営業利益は前年とほぼ同じ場所にあり、経常利益は少し減っています。純利益だけが7割以上増えました。この差がどこから来たのかを追いました。

純利益の伸びは、前年の損失が消えた分

最初に疑ったのは、株の売却益でした。今期は政策保有株式を売り、投資有価証券売却益を43億2,500万円計上しています。説明文にも「政策保有株式を予定通り縮減した」とあります。

ところが損益計算書を前年と並べると、前年の中間期にも同じ売却益が47億4,800万円ありました。売却益は今年だけの上乗せではありません。動いたのは特別損失の側です。

特別損失前年中間期今回
減損損失87億2,100万円―
工場閉鎖損失16億1,100万円3億6,300万円
特別損失合計110億9,600万円9億900万円

前年の減損は、インドのイースト事業の設備です。原材料と燃料の値段が高止まりし、値上げが追いつかずに収益性が落ちた、と注記にあります。工場閉鎖損失は岡山と坂出の工場を閉めた分で、今期の3億6,300万円は坂出の解体撤去費用です。

前年に一度に出た損失が、今期は出ていません。純利益の伸びの大半は、それで説明が付きます。

粗利が増えた分を、販管費がほぼ使い切った

営業利益が前年並みだったのは、何も起きなかったからではありません。損益計算書の上のほうで引っかかりました。

前年中間期今回
売上総利益952億300万円1,007億6,500万円
販売費及び一般管理費725億7,000万円779億4,100万円
営業利益226億3,300万円228億2,300万円

粗利は、今回の1,007億6,500万円から前年の952億300万円を引いて求めます。増えた額は55億6,200万円です。販管費も同じように、779億4,100万円から725億7,000万円を引きます。こちらは53億7,100万円の増加です。粗利で稼いだ分のほとんどを販管費が使い、営業利益に残ったのは1億9,000万円でした。……ずいぶんきれいに打ち消し合っている。

販管費の内訳は、決算短信には書かれていません。説明文には、有名な野球選手を起用した販売促進の話や、輸送費と人件費の上昇が出てきます。それがこの53億円のうちいくらなのかは、短信からは分かりません。

惣菜が天候で崩れ、製粉とイーストが埋めた

事業ごとに分けると、伸びた所と崩れた所がはっきり分かれます。

営業利益前年中間期今回前年同期比
製粉131億3,800万円139億7,000万円106.3%
食品36億8,600万円45億200万円122.1%
中食・惣菜34億1,600万円23億6,200万円69.1%
その他25億9,800万円23億1,300万円89.0%

製粉は、米国の生産体制を強めて出荷が増えたことと、為替の換算で伸びています。食品は、イーストの出荷増と値上げで2割余り増えました。中食・惣菜は天候不順で売れ行きが鈍り、コストも増えて、前年の7割ほどに落ちています。全体が前年並みだったのは、この増減が相殺した結果です。

利益と現金の入り方は、ずれていない

キャッシュ・フロー計算書も確かめました。営業キャッシュ・フローは325億6,000万円の収入で、設備などの取得に使った249億5,600万円を上回っています。

前年の344億5,400万円よりは減っています。理由は、仕入債務の減少で46億8,000万円、法人税等の支払で104億1,500万円が出ていったからです。2023年に私が見た、利益は出ているのに現金が入ってこない形ではありませんでした。

会社の説明は、数字と食い違っていない

会社は営業利益について、中東情勢によるコスト上昇と、天候不順による中食・惣菜の販売減を挙げています。それを海外製粉の出荷増と為替換算、イーストの出荷増で埋めた、と書いています。経常利益の減少は持分法による投資利益の減少が理由だ、という説明です。

損益計算書では、持分法による投資利益が13億7,000万円から9億2,000万円へ減っていました。説明は数字と合っているので、そのまま受け取ります。

ただ、支払利息も18億3,500万円から22億3,700万円へ増えています。短期借入金は返済で減っているのに、利息は増えました。その理由は決算短信には書かれていません。表紙には決算補足説明資料があるとありますが、私はまだそちらを開いていません。

売上を300億円引き上げ、利益は据え置いた

会社は通期の売上予想を、8,700億円から9,000億円へ引き上げました。理由は、為替が当初の想定より円安であることと、小麦の値段が高い水準にあることです。利益の予想は、5月に出したものから動かしていません。

通期予想中間期実績進捗率下期に必要な額
売上高9,000億円4,417億5,600万円約49.1%約4,582億4,400万円
営業利益460億円228億2,300万円約49.6%約231億7,700万円
経常利益490億円240億3,600万円約49.1%約249億6,400万円
純利益410億円181億5,400万円約44.3%約228億4,600万円

約の付いた数字は、通期予想と中間期実績から私が引き算・割り算したものです。

折り返し地点で、利益はほぼ予定どおりに来ています。引っかかったのは下期の中身です。前期の通期営業利益466億8,500万円から、前年中間期の226億3,300万円を引きます。残る前年の下期は240億5,200万円でした。今期の下期に必要なのは231億7,700万円です。売上は前年の下期より5%余り多く見込みながら、営業利益は前年の下期より小さい額を見込んでいることになります。

配当は年65円の予定で、上限200億円の自己株式の取得も決めました。配当性向の見込みは43.9%ですが、一時的な損益を除くと53.6%になる、と会社は書いています。除いたほうが高くなるのは、純利益410億円の中に一時的な利益が含まれているからです。

私はどう読んだか

売上の上方修正を、利益の見通しが明るくなった話と受け取るか。値段が膨らんだだけの話と受け取るか。この2つのどちらかだと思います。

私は後者の見方をしています。理由は、会社が挙げた修正の理由が円安と小麦の値段の2つだけで、どちらも数量の話ではないからです。上期に粗利の増加を販管費がほぼ使い切ったことも、この見方と合っています。

この先どうなるかは分かりません。中食・惣菜が天候で崩れた分を下期に取り戻せるのかも、短信からは見通せません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信 | IR資料室 | 日清製粉グループ

販管費が53億円増えた内訳と、支払利息が増えた理由は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました