薬の店で、いちばん売れているのは食品です
クリエイトSDホールディングスは、神奈川県を中心にドラッグストアを出している会社です。風邪薬、湿布、化粧品、洗剤、トイレットペーパー。そこまではどのドラッグストアも同じです。ただ、この会社で売上がいちばん大きい部門は食料品です。牛乳やパンや冷凍食品を、スーパーに寄らずに買い揃えたい人の店です。
多くの店には、処方箋を受け付ける調剤薬局が付いています。病院の帰りに薬を受け取り、ついでに夕飯の材料を買って帰る。そういう使われ方をする店です。最近は食品スーパーも買い足していて、規模は小さいものの、高齢者向けのデイサービスと有料老人ホームも運営しています。
私の実家がある静岡県にも店があります。地元に店がある会社の短信は、つい丁寧にめくってしまいます。
売上は伸びて、利益は減った3か月
10月5日に出た、2027年5月期の第1四半期決算です。対象は6月から8月までの3か月です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,295億4,000万円 | 1,215億8,600万円 | +6.5% |
| 営業利益 | 54億400万円 | 56億3,300万円 | △4.1% |
| 経常利益 | 56億3,000万円 | 59億800万円 | △4.7% |
| 純利益 | 37億8,800万円 | 39億9,600万円 | △5.2% |
売上は6%あまり伸び、利益はどの段階でも4〜5%減っています。1ページ目の表で分かるのはここまでです。
粗利の増えた額を、経費の増えた額が上回った
損益計算書まで進むと、減益の中身が見えてきます。
| 前年同期 | 今回 | 増えた額 | |
|---|---|---|---|
| 売上総利益(粗利) | 307億400万円 | 323億9,800万円 | 約16億9,400万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 250億7,000万円 | 269億9,300万円 | 約19億2,300万円 |
| うち給料及び手当 | 102億1,300万円 | 113億8,700万円 | 約11億7,400万円 |
約の付いた数字は、短信の2期の数字から私が引いたものです。
粗利は17億円近く増えています。経費はそれより多く増えていて、増えた額は19億2,300万円、粗利の増えた16億9,400万円を上回ります。その差は2億2,900万円です。営業利益は56億3,300万円から54億400万円へ減りました。減った額も2億2,900万円で、ぴったり同じです。
経費の増えた19億2,300万円のうち、11億7,400万円、6割ほどが給料及び手当です。地代家賃や減価償却費も増えていますが、増えた額は給料よりひと桁小さい。……給料だけで11億円か。
調剤と食料品で、仕入れが売上より速く伸びている
粗利そのものも、売上ほどは伸びていません。100円売ったときの原価は、前年同期で74円70銭ほどでした。今回は75円ほどへ上がっています。売上原価を売上高で割った、私の計算です。
短信の最後に、部門ごとの売上と仕入れの表が付いています。
| 部門 | 売上の前年同期比 | 仕入の前年同期比 |
|---|---|---|
| 調剤薬局 | 114.0% | 116.1% |
| 食料品 | 105.8% | 106.8% |
| 日用雑貨品 | 104.1% | 107.2% |
| OTC | 101.2% | 97.4% |
| 化粧品 | 101.7% | 98.8% |
引っかかったのは上の3行です。調剤、食料品、日用雑貨で、仕入れが売上より速く伸びています。食料品はこの会社の売上の4割強を占めるので、小さな差でも全体の粗利に響きます。
在庫が積み上がったわけでもありません。商品の残高は5月末から8月末にかけて、15億円あまり減っています。仕入れた分は売れています。それでも残る粗利が薄くなっている、ということです。
逆に、OTCの薬と化粧品は仕入れを前年より絞っています。天候不順で売れなかったと会社が書いている季節商材は、このあたりに入っているのかもしれません。
営業外費用に、前年は無かった商品廃棄損
経常利益の手前に、商品廃棄損が6,400万円出ています。前年同期の欄は空いています。金額は営業利益の1%あまりで、大きくはありません。ただ、どの商品をなぜ捨てたのかは、決算短信には書かれていません。
現金が減った3か月に、キャッシュ・フロー計算書はありません
現金及び預金は、5月末の370億9,900万円から8月末の322億7,300万円へ減りました。減った額は48億2,500万円です。この四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成していない、と短信の注記にあります。
貸借対照表には手がかりがあります。配当の支払いで31億円、未払法人税等は17億円あまり減りました。のれんと土地も増えていて、これはスーパーの買収の分でしょう。配当と納税と買収で、おおよそ説明が付く範囲だと受け取っています。自己資本比率は62.0%、借入金はわずかです。
会社の説明は売上の話で終わっている
会社は短信の中で、雨や台風で季節商材が売れなかったものの、毎日の低価格を続けて売上は堅調だったと書いています。既存店の売上も前年を上回り、調剤は処方箋の枚数も単価も堅調だったそうです。6月25日には、長野県上田市で食品スーパー4店を持つやおふくを子会社にしています。
売上の説明としては、部門の表と食い違いはありません。ただ、短信の経営成績の説明では、利益が減った理由に触れていません。天候で落ちるのはふつう売上のほうで、その売上は伸びています。
9月から11月に、1割強の上積みが要る
上期の営業利益予想116億円は、7月13日に出したまま変わっていません。
| 営業利益 | 6月〜8月 | 9月〜11月 | 上期累計 |
|---|---|---|---|
| 前年 | 56億3,300万円 | 約54億7,800万円 | 約111億1,100万円 |
| 今年 | 54億400万円 | 約61億9,600万円 | 116億円(会社予想) |
約の付いた数字は私の計算です。116億円を、表紙の増減率+4.4%、つまり1.044で割り戻して前年の上期を出しました。そこから各年の第1四半期を引いています。
前年に55億円ほどだった3か月で、今年は62億円ほどを稼ぐ前提の予想です。1割強の上積みになります。通期の営業利益253億円に対しては、まだ2割強しか来ていません。残り9か月で199億円近くを積む必要があり、前年の同じ期間より8%あまり多い額です。
私は、低価格と人件費が利益を削っていると考えています
天候による一時的なつまずきではなく、値段を抑えて売る作戦と賃金の上昇が、粗利の伸びを上回っている。私はそういう見方をしています。理由は、仕入れが売上より速く伸びているのが、調剤と食料品という季節に左右されにくい部門だからです。
店の力が落ちたとは思いません。売上は伸び、既存店も前年を超えています。ただ、売れた分が利益として残りにくくなっている。そこは3か月で戻る種類の話ではありません。心配性なので、9月から11月の上積みがどう出てくるかを待ちます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
給料及び手当の増加のうち、人が増えた分と1人あたりの賃金が上がった分の割合は読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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