アンドエスティHD(2685)2027年2月期 中間決算分析――値引きを抑えた半期と読みました

アンドエスティHD(2685)2027年2月期 中間決算分析――値引きを抑えた半期と読みました 決算を読む

はじめに

アンドエスティHDは、ショッピングセンターに入っているカジュアル衣料の店をまとめている会社です。「グローバルワーク」「ニコアンド」「ローリーズファーム」「スタディオクリップ」。週末に家族で出かけた先で、看板を見かけたことのある人は多いと思います。

中核の子会社アダストリアの上に持株会社を置く形へ、組み替えたばかりです。ほかにも、自社の通販サイト「and ST」に他社のブランドを出店させる事業、台湾・香港・中国大陸の店、外食のゼットンがあります。

服の商売は、天気と値引きで利益が大きく振れます。今回の決算は、その値引きの話でした。

売上はほぼ横ばいで、営業利益は3割増えました

9月30日に出た、2027年2月期の中間決算です。対象は3月から8月までの半年です。

今回前年同期増減率
売上高1,521億1,000万円1,493億4,500万円+1.9%
営業利益107億3,100万円79億7,300万円+34.6%
経常利益110億6,600万円77億9,000万円+42.0%
純利益59億5,100万円59億8,700万円−0.6%

売上はほとんど動いていないのに、利益の段ごとに増え方がばらばらです。

売上は増えたのに、売上原価は減っていました

短信の損益計算書(添付資料7ページ)で、最初に引っかかったのは売上原価です。

前年同期今回
売上原価669億7,200万円661億1,300万円
売上総利益823億7,200万円859億9,600万円
販管費743億9,900万円752億6,500万円

売上高は27億6,500万円増えたのに、売上原価は8億5,900万円減っています。売上総利益は36億2,400万円増え、販管費は8億6,600万円増えました。差し引くと27億5,800万円で、営業利益の増えた分とぴったり重なります。ここまでは損益計算書の数字です。

貸借対照表では、棚卸資産、つまり店と倉庫の在庫が、2月末の305億2,600万円から8月末には294億1,900万円へ減っています。売上を伸ばしながら在庫を減らせたのなら、売れ残りを安く手放す場面は少なかったはずです。抱えていた在庫がもともと軽かったから値引きを抑えられた、と私は読みました。

純利益を止めたのは、功労金より税金のほうでした

純利益が増えなかった理由の一つは、特別損失の「特別功労金」12億3,000万円です。誰に払ったものかは、短信には書かれていません。説明会資料では、退任した取締役2名への特別功労金で、第1四半期に計上した一度きりの費用だと説明されていました。

もう一つは税金です。税引前の利益は97億7,000万円で、前年は76億4,800万円でした。21億2,200万円の増加です。ところが法人税等の合計も、16億7,500万円から38億2,100万円へ増えています。増えた額は21億4,600万円です。増えた利益が、ほぼそのまま税金で消えた形です。

……功労金より、税金のほうが重い。

法人税等を税引前の利益で割ると、前年は2割強、今回は4割近くになります。これは私の割り算です。重くなった理由は、短信にも、読んだ範囲の説明会資料にも見当たりませんでした。功労金の一部が税務上の費用として認められなかった、という筋は思い浮かびますが、確かめる材料は持っていません。

営業キャッシュ・フローの目減りは、支払いの時期によるものでした

利益が増えたのに営業キャッシュ・フローが前年を下回ると、私はまず身構えます。理由は、2023年に、1ページ目は完璧なのに営業キャッシュ・フローがマイナスだった会社を見たことがあるからです。

前年同期今回
営業活動の小計128億2,400万円131億6,300万円
仕入債務の増減10億1,000万円△26億9,100万円
法人税等の支払額△26億9,700万円△44億7,200万円
営業活動によるキャッシュ・フロー100億1,900万円86億3,500万円
投資活動によるキャッシュ・フロー△88億8,900万円△55億9,600万円

商売の勢いを示す小計は、前年より増えていました。現金の入りを減らしたのは、法人税の支払いと、仕入先への支払いです。貸借対照表では、電子記録債務が86億9,000万円から56億2,300万円へ減っています。2月末にたまっていた支払いを、この半年で済ませた形です。

売掛金も17億3,100万円増えましたが、前年の同じ半年も増えていたので、この時期によくある動きです。

営業で得た86億3,500万円から、投資に使った55億9,600万円を引きます。手元に残ったのは約30億円です。前年は同じ引き算で約11億円でした。現金の面では、前年より余裕のある半年です。

飲食と米国の子会社は、小さいながら別の話です

短信のセグメント情報では、飲食事業は4,300万円の損失で、前年の1,300万円の利益から赤字に転じています。一方、説明会資料では、ゼットンの営業利益は2億1,900万円の黒字です。短信のセグメント利益は経常利益の段で測り、全社費用を配ったあとの数字なので、ものさしが違います。ただ、数字だけを並べると逆の話に見えます。

短信の注記にはもう一つ、米国の子会社ZETTON, INC.が2021年に受け取った820万米ドルの給付金について、米国中小企業庁の調査を受けているとあります。業績への影響は「見積もることは困難」とされています。

会社は「適時・適価・適量」で説明しています

短信の添付資料3ページで、会社は粗利率の改善を「適時・適価・適量」の商品提供による在庫コントロールと、値引き販売の抑制で説明しています。生産背景の見直しと、春夏物が正価でよく動いたことも挙げていました。

在庫の減り方も原価の減り方も、この説明と噛み合っているので、そのまま受け取りました。留保を付けたいのは「生産背景の見直し」で、どこで何を変えたのかは短信には書かれていません。

説明会資料では、社長が、下期の原価は円安と中東情勢で期初の想定より厳しくなると話しています。

残りの半年は、前年より4分の1ほど少ない営業利益で届く置き方です

会社は、4月6日に出した通期予想を変えていません。

通期予想上期実績進み具合残り6か月に要る額
売上高3,140億円1,521億1,000万円約48.4%約1,618億9,000万円
営業利益172億円107億3,100万円約62.4%約64億6,900万円
純利益105億円59億5,100万円約56.7%約45億4,900万円

約の付いた数字は、表紙の通期予想と上期の実績から私が出したものです。

営業利益は、すでに通期予想の半分を大きく超えました。表紙には通期予想の増減率として+4.1%が載っています。172億円が前期より4.1%多い数字だとして、前期に戻して計算します。前期の通期営業利益は、およそ165億円です。

そこから前年上期の79億7,300万円を引くと、前年の9月から2月は約85億円でした。今期は残り64億6,900万円で予想に届くので、前年より4分の1ほど少なくても足りる計算です。

ただし、この会社の上期は第1四半期に利益が偏っています。上期の107億3,100万円から、6月に出た第1四半期の78億7,500万円を引きます。残る6月から8月の3か月は、28億5,600万円でした。説明会資料によると、この3か月の売上は梅雨寒で前年をわずかに割っています。

値引きを抑えたことによる改善は、下期にも残るものだと考えています

上期の数字は、天気に恵まれた春の一時的な稼ぎなのか、在庫を軽く持つように商売の仕方が変わったのか、2つに受け取れます。

私は後者の見方をしています。理由は、改善が営業外や特別利益ではなく、在庫と売上原価が減ったところから出ているからです。在庫の持ち方は、3か月で元に戻るものではありません。会社が予想を動かさなかったのは、原価の上昇を見込んだ控えめな置き方だと考えています。

心配性なので、下期は原価のほうを先に見ます。円安がどれだけ仕入れ値に乗ってくるかは、次の決算を待つしかありません。この先どうなるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.andst-hd.co.jp/archives/001/202609/0b8752f197577e62c1cfaa3c0ea1a8f087e840378383c07c2ef9e93c31494dc6.pdf

税金の負担が前年の2割強から4割近くまで重くなった理由は、短信からも、読んだ範囲の説明会資料からも読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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