サーバーワークスは、アマゾンが貸し出しているコンピューター、AWSを企業が使うときの窓口になる会社です。自前でサーバーを置いていた企業が、機械ごとアマゾンの側へ移る。その設計と作業をして、移ったあとは夜中も含めて見張りをする。そしてアマゾンへ払う毎月の利用料を、いったん立て替えて顧客にまとめて請求します。売上の大半は、この立て替え分です。
客になるのは、システム部門を抱えるふつうの企業です。子会社には、グーグルのクラウドを同じように扱うところもあります。
今回の短信は、1ページ目だけなら文句のない数字です。ただ、純利益の増え方だけが、ほかの利益と釣り合っていません。そこで引っかかりました。
この決算で何が起きたか
2026年7月15日に出た第1四半期、3月から5月までの3か月の決算です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 119億3,300万円 | 92億1,900万円 | +29.4% |
| 営業利益 | 3億9,800万円 | 1億9,900万円 | +99.6% |
| 経常利益 | 3億9,100万円 | 2億400万円 | +92.0% |
| 純利益 | 3億2,400万円 | 1億1,300万円 | +185.1% |
4つの行で伸び方が違います。それがこの短信の入り口です。
営業利益が倍になったのは、経費が売上ほど増えなかったからです
損益計算書では、売上総利益が9億2,508万円から12億2,006万円へ増えました。増加分は2億9,498万円です。販売費及び一般管理費は7億2,551万円から8億2,177万円です。増えたのは9,626万円です。粗利の増加から経費の増加を引いた残りが、そのまま営業利益の増加分1億9,871万円になります。売上が3割増える間に、経費は1割と少ししか増えていません。
粗利率も出しておきます。
| 売上総利益 | 売上高 | 粗利率 | |
|---|---|---|---|
| 前年同期 | 9億2,508万円 | 92億1,948万円 | 約10.0% |
| 今回 | 12億2,006万円 | 119億3,350万円 | 約10.2% |
売上総利益と売上高は損益計算書の数字で、粗利率は私が割った値です。5ページ目には「戦略的なディスカウント案件も増加」とありますが、粗利率は下がっていません。値引きの分を、どこかで埋めていることになります。
もう一つ、倍という数字の土台です。前年の第1四半期は、営業利益が前の年から55.0%減っていました。1億9,957万円を、減ったあとに残った割合の0.45で割ると、2年前の第1四半期は約4億4,300万円です。今回の3億9,829万円は倍に戻したのであって、2年前の水準にはまだ届いていません。
純利益が3倍近いのは、税金が減っているからです
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 税引前利益 | 2億206万円 | 3億8,927万円 |
| 法人税等 | 8,811万円 | 6,445万円 |
| 純利益 | 1億1,394万円 | 3億2,482万円 |
税引前の利益は1.9倍です。ところが法人税等は減っています。利益が倍になって、税金が減る。……いや、これは変だ。
税引前に対する法人税等の割合は、前年が約44%、今回が約17%です。上の表の法人税等を、税引前利益で割った値です。かりに今回も44%で計算すれば、法人税等は約1億7,100万円になります。純利益は約2億1,800万円で、増え方は倍に収まります。185.1%増のうち倍を超える部分は、税率の違いが作った数字です。
理由は9ページ目の注記にあります。四半期の税金は、通期の実効税率を見積もって税引前利益に掛ける、と書いてあります。つまり17%は見積もりの率で、実際に納めた税額から出た数字ではありません。ここまでは短信の数字と注記です。
見積もりなら、通期予想と並べたくなります。表紙の通期予想は、経常利益13億9,800万円に対して純利益9億400万円です。差は4億9,400万円あります。経常利益の35%ほどが、経常から純利益までの間で消える計算になっていて、第1四半期の17%とはだいぶ開きがあります。差の全部が税金とは限りませんが、同じ年の同じ会社の見積もりとして、私にはこの2つがつながりませんでした。
現金が8億円近く減り、前渡金が9億円近く増えています
| 科目 | 前期末 | 今回 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 66億5,549万円 | 58億6,322万円 |
| 前渡金 | 28億3,630万円 | 36億9,597万円 |
| 有価証券 | 無し | 6億3,820万円 |
| 契約負債 | 20億8,783万円 | 27億7,194万円 |
利益が出た3か月で、現金は7億9,226万円減りました。6ページ目の説明では、前渡金と有価証券と売掛金が増えたことが主な理由です。前渡金が何への前払いかは、短信には書かれていません。この商売の形からすると、アマゾンへ先に払った利用料だろうと私は考えました。
反対側の負債では、契約負債が6億8,410万円増えています。客から先に受け取った分です。先に払い、先に受け取る。両方が同時に膨らむのは、大口の年間契約が増えたときの形です。5ページ目にある「大口顧客のAWS利用料の増加」と向きは合っています。
ただし、この短信にはキャッシュ・フロー計算書がありません。11ページ目に「作成しておりません」とあります。第1四半期では珍しくない扱いですが、営業で稼いだ現金がいくらだったのかは、中間決算まで待つことになります。
会社はどう説明しているか
4ページ目で、会社側は「アンソロピック・ショック」という言葉を自分から使っています。生成AIの進歩が大量の計算機を必要とし、その置き場としてクラウドの重要性が増す、という筋です。AI関連の引き合いが急増していると書き、Anthropic社との販売代理契約と、AWSのAI分野の認定を挙げています。
売上の9割を占めるリセールについては、既存客の利用料が増え、口座数も増えたという説明です。同時に、案件が大きくなるほど値引きも増えるが、いまは口座を取ることを優先する、と自分から書いています。利益率が薄い理由を隠していない点は、評価しています。自分でいちばん利益率が高いとしているMSPは17.2%増で、3つの区分の中では伸びがもっとも遅くもあります。
ただ、AIの話は市場全体の説明であって、この3か月の売上の3割増のうちAI案件がいくらなのかは、短信では分けられていません。説明の長さに比べて、数字の裏付けは短いと感じました。ここは説明会の資料を待ちます。
通期予想に対して、どこまで来ているか
| 項目 | 今回 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 119億3,300万円 | 471億8,400万円 | 25.3% |
| 営業利益 | 3億9,800万円 | 13億1,000万円 | 30.4% |
| 経常利益 | 3億9,100万円 | 13億9,800万円 | 28.0% |
| 純利益 | 3億2,400万円 | 9億400万円 | 35.8% |
売上は4分の1ちょうど、純利益は3分の1を超えています。予想は4月14日の公表から動いていません。
残りの9か月で必要な営業利益は、13億1,000万円から今回の3億9,800万円を引いた残りです。9億1,200万円になります。前の期の通期営業利益は、表紙にある前期比109.5%増から割り戻せます。13億1,000万円÷2.095で約6億2,500万円です。今回の3か月だけで、その6割を稼いだことになります。前の期の通期から第1四半期の分を引いた残り9か月と比べると、9億1,200万円はその2.1倍にあたります。第1四半期が倍でしたから、向きは同じです。
純利益だけは、通期予想の増減率が表紙で空欄です。前の期と比べられない理由は、短信には書かれていません。
私はどう読んだか
営業利益が倍になった中身は、売上原価と販管費の動きで説明がつきます。ここは疑っていません。私は、営業利益の倍増は本物だと考えています。純利益の伸びは、半分に割り引いて読んでいます。理由は、法人税等が見積もりで動く数字で、第2四半期で見積もりが変われば純利益だけが動くからです。心配性なので、通期予想の35%のほうが正しかった場合を先に考えます。
現金の減り方は契約負債の増え方と対になっているので、いまのところ心配はしていません。上がるかは知りません。ただ、口座を取るために値引きをしている商売の利益率が次の四半期でどう動くかは、見ておきます。
出典:決算短信(会社発表)
https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260715/140120260714593060.pdf
第1四半期の税率の見積もりと、通期予想の経常利益から純利益までの差が、なぜ2倍ほど違うのかは、短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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