YE DIGITAL(2354)2027年2月期 中間決算分析――据え置いた通期予想が気になる

YE DIGITAL(2354)2027年2月期 中間決算分析――据え置いた通期予想が気になる 決算を読む

はじめに

YE DIGITALは、企業の業務システムを組み立てる仕事と、機械の中で動くソフトを作る仕事を柱にしている会社です。業務システムとは、販売・会計・生産の管理を一つにつないで回す仕組みです。毎日それを触るのは、企業の管理部門や現場の担当者です。

もう一つの柱はIoTの事業です。倉庫で荷物の出し入れを自動で回す仕組み、街の設備をネットにつないで見守る仕組み、家畜を育てる現場の管理などがあります。どれも、人手の足りない場所に機械とデータを入れる仕事です。

私の勤め先も、会計の仕組みを入れ替えたときに半年ほど振り回されました。作る側にとっても、案件の大きさと時期の読みが売上をそのまま左右する商売なのだと思います。

売上は前年並み、利益は1割ほど減った半年

9月30日に出た、2027年2月期の中間決算です。3月から8月までの半年分です。

今回前年同期増減率
売上高95億2,700万円96億6,500万円△1.4%
営業利益5億6,800万円6億4,300万円△11.7%
経常利益6億1,500万円7億700万円△13.0%
純利益3億6,100万円4億4,100万円△18.2%

表紙だけを見れば、静かな減益です。ただ、ここから先の数字は表紙とは違う動き方をしていました。

減益の中身は、粗利ではなく販管費

損益計算書を並べると、売上から原価を引いた粗利はほとんど減っていません。

前年同期今回
売上総利益26億8,326万円26億6,016万円
販売費及び一般管理費20億3,961万円20億9,185万円

粗利の減少は2,310万円です。販管費は5,224万円増えました。営業利益が減った理由の大半は、売上の落ち込みより、かかる費用が増えたほうにあります。

キャッシュ・フロー計算書を見ると、減価償却費が前年の1億2,696万円から1億8,341万円へ増えています。貸借対照表でも無形固定資産が1億3,900万円増えました。新しいサービスの開発に使ったお金が、費用として出始めた段階だと私は受け取りました。

現金が4倍近く入ってきたのは、年度末の売掛金が戻ったから

短信の10ページ目で引っかかりました。営業キャッシュ・フローが、前年の4億9,200万円から18億9,400万円へ増えています。利益が減った半年に、です。

内訳を見ると理由ははっきりしています。売上債権の回収による16億5,400万円です。2月末に61億円あった売掛金などが、8月末には44億円台まで減りました。前年の同じ半年は、逆に2億6,200万円増えていました。

……入ってきた現金の大半は、去年の仕事の代金だ。この半年の稼ぎが強かったわけではありません。

もう一つ、仕入れのほうにも動きがあります。買掛金が5億5,100万円増えました。商品及び製品も、1億2,139万円から2億5,953万円へ倍になっています。品物を仕入れたものの、まだ売上になっていない状態です。契約が下期にずれた案件の分を先に抱えている、と私は読みました。

現金同等物は8億7,000万円減っていますが、定期預金へ22億2,000万円を移したのが理由です。定期預金は現金同等物に数えないため、こうなります。現金及び預金そのものは13億4,900万円増えています。自己資本比率も54.6%あり、お金の面で心配する材料は短信には見当たりません。

減った場所と、増えた場所が違う

事業別の売上を前年と並べると、会社の説明とは別の姿が出てきます。

事業今回の売上前年同期比増減額
ビジネスソリューション73億200万円△6.8%約△5億3,300万円
IoTソリューション22億2,500万円+21.5%約+3億9,400万円

約の付いた数字は、売上と前年同期比から私が割り戻したものです。

短信4ページ目によれば、主力の業務システムのほうは、これまで牽引してきた大規模案件が一巡して減りました。通信会社向けと自動車メーカー向けは増えています。

IoTのほうは2割増えました。街づくり向けが大きく伸び、セキュリティ製品と畜産の事業も増えています。物流の事業は前年並みで、一部の売上が下期にずれたと書かれています。

契約の後ろ倒し、という会社の説明

会社は全体の減益の理由として、物流の事業で好採算案件の契約締結が当初想定より後ろ倒しになったこと「等」を挙げています。9月18日には中間期の予想を下方修正し、通期予想は据え置きました。配当予想も年30円のまま変えていません。

物流の案件がずれたこと自体は、そのまま受け取ります。採算の良い案件なので、売上より利益に効く、という点も筋が通っています。

そのまま受け取れないのは、売上の減り方です。減った額が大きいのは主力の業務システムのほうで、理由は大規模案件の一巡です。ずれた契約は下期に戻ってくるかもしれませんが、終わった案件は待っていても戻りません。

下期に必要な営業利益は16億3,200万円

通期予想上期実績進み具合下期に必要な額下期の前年比
売上高220億円95億2,700万円43.3%124億7,300万円+17.7%
営業利益22億円5億6,800万円25.8%16億3,200万円+65.7%
純利益16億円3億6,100万円22.6%12億3,900万円+47.4%

進み具合から右の3列は、通期予想から上期実績を引いて私が出した数字です。

期間は半分過ぎて、営業利益は4分の1ほどです。この会社はもともと下期に稼ぐ形ですが、今年の下期は前年の下期より6割以上多い営業利益が要ります。売上も2割近く上乗せが必要です。

私はどう読んだか

読み方は2つあります。ずれた物流の契約が下期にまとまって入り、予想に届くという見方。もう一つは、主力の減った分まで下期で埋める前提になっていて、予想が重いという見方です。

私は後者の見方をしています。理由は、売上が減った主な原因が「遅れ」ではなく「一巡」だからです。IoTの伸びは本物ですが、上期でいえば主力の約5億3,300万円の減少に対して、IoTの増加は約3億9,400万円です。まだ埋めきる大きさには届いていません。

お金の面は落ち着いていて、ここを疑う理由はありません。心配しているのは予想の立て方だけです。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

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後ろ倒しになった契約の金額と、締結を見込む時期は、決算短信からは読み取れませんでした。9月18日の修正のお知らせと決算補足説明資料は、まだ開いていません。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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