ビジネス・ワンホールディングス(4827)2027年3月期 第1四半期決算分析――一過性と読みました

ビジネス・ワンホールディングス(4827)2027年3月期 第1四半期決算分析――一過性と読みました 決算を読む

福岡の会社です。中心にあるのは不動産の売買で、それも裁判所の競売で物件を仕入れて、手を入れて売る商売です。住宅ローンが払えなくなった家、相続で持て余された土地、そういうものが競売に出ます。

まわりに、マンション管理、賃貸、家具・家電のレンタル、建設、事業者向けの不動産担保貸付、それに給与計算などのパッケージソフトの販売が付いています。ひとつの物件のまわりで何度も稼ぐ作りです。

上場は福岡証券取引所です。8月12日に出た第1四半期の決算短信を、最後まで読みました。

この決算で何が起きたか

表紙の数字は、見出しだけなら派手です。

項目今回前年同期増減率
売上高45億700万円38億1,700万円+18.1%
営業利益8億2,900万円3億5,600万円+132.6%
経常利益7億5,500万円2億9,200万円+157.9%
純利益5億100万円2億400万円+145.0%

営業利益率は前年同期の9.3%から18.4%へ、ほぼ倍です。ここまでは1ページ目に書いてあります。ただ、この会社の1ページ目は、いつもの通り全部は言っていませんでした。

増えた売上のほとんどが、そのまま利益になっている

引っかかったのは、損益計算書の売上原価です。売上は前年同期から6億8,922万円増えています。それなのに売上原価は28億7,479万円から30億1,121万円へしか動いていません。増えたのは1億3,642万円です。差額の大半が粗利に落ちて、売上総利益は9億4,317万円から14億9,597万円へ膨らみました。

その正体は11ページのセグメント情報にあります。不動産事業の売上は21億1,435万円から27億8,294万円になりました。差し引きで6億6,859万円の増加です。会社全体の売上の増え方が6億8,922万円ですから、増えた分はほぼ全部この事業です。

セグメント利益は1億4,601万円から6億9,796万円になっています。増えた額は5億5,194万円です。私の引き算ですが、増えた売上の8割以上が、そのまま利益になった計算です。

4ページの説明文に、その理由が短く書いてあります。「大口の販売用不動産の売却があり」。一件です。ここまでが短信の数字と説明です。競売で安く仕入れて長く持っていた物件が、帳簿の値段よりずっと高く売れたのだろう、と私は読みました。

一件の売却が、ほかの事業の減益を覆っている

7つの事業を並べると、景色が変わります。

事業売上高前年同期比セグメント利益前年同期比
不動産27億8,294万円+31.6%6億9,796万円+378.0%
マンション管理5億8,306万円+3.7%2,808万円−11.1%
賃貸3億9,778万円+20.1%1億7,071万円+28.2%
家具・家電レンタル1億9,337万円+1.8%669万円−6.6%
ソフトウェア5,506万円+0.6%1,648万円−16.5%
ファイナンス1億3,344万円+31.2%5,906万円+10.9%
建設5億6,713万円+4.7%△4,806万円前年は△640万円

利益が伸びたのは不動産、賃貸、ファイナンスの3つです。残りの4つは減益か赤字です。建設について会社は「建築コストの高騰」と書いています。管理組合から大規模修繕を請ける商売ですから、材料と人件費が上がれば真っ先に効く場所です。

もう一つ、事業に振り分けられない持株会社の費用が重くなっています。12ページと14ページの注では、全社損益が前年の△3,689万円から△9,882万円になっています。……倍以上だ。何が増えたのかは決算短信には書かれておらず、経営指導料とグループ管理の費用、とだけあります。

在庫が減り、貸付が増えた貸借対照表

6ページの貸借対照表にも、この一件の跡が付いています。販売用不動産は79億1,526万円から73億974万円になりました。減った額は6億551万円です。売れた物件が出ていったぶんです。現金は1億8,198万円増えて46億7,575万円になりました。

営業貸付金は59億9,010万円から64億5,870万円になっています。こちらは4億6,860万円の増加です。不動産を担保にした事業者向けの貸付です。在庫を現金に替え、その現金を貸付に回した、と読める動きです。

借入は重いままです。短期借入金は142億8,678万円、長期借入金は79億4,417万円あります。自己資本比率は21.8%です。支払利息は前年同期の6,979万円から7,986万円へ増えました。金利が上がる局面で、不動産を在庫として抱え、貸付も伸ばす商売です。心配性なので、ここはずっと見ています。

キャッシュ・フロー計算書は、この短信にはありません。第1四半期では珍しくないので騒ぎません。ただ、売却で入った現金がいくらで、借入の返済にどれだけ回ったのかは、貸借対照表の差額から想像するしかありません。

会社はどう説明しているか

会社の説明は4ページと5ページにあります。不動産は、長期在庫の処分を続けて「低採算物件の圧縮及び在庫回転期間の短縮が進展」とあります。マンション管理は工事の原価上昇、家具・家電レンタルは年度末をまたぐ繁忙期の費用、ソフトウェアは人員の拡充。減益の理由は、それぞれ一行ずつ付いています。

そして業績予想については「概ね計画どおり推移しており」、修正は無し、です。

増えた利益の出どころを一件の売却だと自分で言い、その先の予想は上げていません。良い数字を大きく見せたい会社なら、ここで予想を上乗せします。していません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

営業利益は通期予想17億5,000万円の半分近くまで来ています。売上は4分の1と少しです。

表紙の第2四半期累計予想は、営業利益9億5,000万円です。第1四半期の実績を引くと、7月から9月の3か月は約1億2,100万円になります。前年の第1四半期が3億5,600万円でしたから、それより小さい数字を、会社は次の四半期に置いていることになります。

営業利益第1四半期7月から9月上期累計
今年 会社予想8億2,900万円約1億2,100万円9億5,000万円

約の付いた数字は、上期予想から第1四半期の実績を私が引いたものです。

通期で見ても同じです。残り9か月に必要な営業利益は9億2,100万円で、前年の同じ9か月より2割ほど少ない置き方です。会社自身が、この四半期の利益は続かないと予想で言っています。

私はどう読んだか

私はこの四半期を、一件の売却が作った一過性の数字だと考えています。理由は、増えた利益のほぼ全部が不動産事業の一件で説明できるからです。ほかの4つの事業は減益か赤字で、会社の予想もそれを前提に組まれています。

だからといって、悪い決算だとも思っていません。長く持っていた在庫を高く売り切ったのは、この商売では本業そのものです。ただ、次に同じ物件はありません。

気になるのは、利益ではなく費用のほうです。建設の赤字と、倍以上になった全社損益は、物件を売っても消えません。この2つが第2四半期にどうなっているかを、11月に確かめます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260812/140120260803507551.pdf

売れた「大口の販売用不動産」が何で、帳簿にいくらで載っていたのかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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