Joshinは、関西に店の多い家電量販店です。テレビや冷蔵庫、エアコンといった家電を、店頭とインターネットの両方で、家庭向けに売っています。売って終わりではなく、エアコンの取り付けや修理の工事もこの会社の仕事で、それが売上の一部になっています。ゲームやプラモデル、楽器の売り場を持っているのも、この会社らしいところです。
買うのは、ふつうの家庭です。冷蔵庫が壊れた、夏の前にエアコンを替えたい、子どもに玩具を買ってやりたい。そういう場面で使われる店です。私は埼玉に住んでいるので日常の店ではありませんが、決算短信は、どこの店でも同じ様式で出てきます。
この記事で書きたいのは、営業利益の伸び率そのものより、その伸びを会社がどう受け止めているか、のほうです。1ページ目の表と、予想の欄を並べると、そこに会社の考えが出ています。
この決算で何が起きたか
8月4日に出た第1四半期の短信です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,127億400万円 | 997億3,800万円 | +13.0% |
| 営業利益 | 31億6,400万円 | 5億6,400万円 | +460.1% |
| 経常利益 | 30億8,900万円 | 4億8,100万円 | +541.8% |
| 純利益 | 23億5,600万円 | 5億300万円 | +367.5% |
営業利益率は前年の0.6%から2.8%へ上がりました。
増えた売上のほぼ半分が、エアコンでした
短信の12ページ目に品種別の売上があります。売上の増えた分は129億6,600万円で、そのうちエアコンだけで59億8,500万円です。修理・工事収入は、エアコンの取り付けが増えれば一緒に増える科目です。
| 品種 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| エアコン | 212億1,200万円 | 152億2,600万円 | +39.3% |
| 修理・工事収入 | 73億6,100万円 | 61億4,800万円 | +19.7% |
| ゲーム・模型・玩具・楽器 | 161億400万円 | 135億6,500万円 | +18.7% |
| 携帯電話 | 129億3,800万円 | 114億8,700万円 | +12.6% |
| パソコン | 40億7,800万円 | 47億1,900万円 | △13.6% |
引っかかったのは、金額より言葉のほうです。短信の4ページ目で、会社は「2027年問題である環境基準の厳格化に伴うエアコンの前倒し需要」と書いています。来年以降に買われるはずだったエアコンが、この4月から6月に買われた、と自分で言っているわけです。
パソコンのほうは「買い替え需要が一巡した」と同じ段落にあります。山が過ぎた品種と、山を前倒しで取りに行った品種が、同じ表に並んでいます。
粗利が増えた分を、経費が食わなかった
損益計算書の数字を並べます。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減額 |
|---|---|---|---|
| 売上総利益 | 291億5,400万円 | 255億7,500万円 | +35億7,900万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 259億9,000万円 | 250億1,000万円 | +9億8,000万円 |
売上総利益は35億7,900万円増えています。販売費及び一般管理費の増加は9億8,000万円で止まりました。前者から後者を引くと約26億円です。営業利益の増えた分とほぼ同じです。
売上が1割増えたのに、経費は4%しか増えていません。店の人件費や家賃は、売上が増えても同じ速さでは増えません。エアコンのように単価の高い品物が一気に売れると、粗利の増分がそのまま営業利益に落ちます。
純利益の側も見ておきます。特別利益に投資有価証券売却益3億5,800万円がありますが、前年の同じ時期にも固定資産の売却益などで4億4,400万円の特別利益がありました。今年のほうが小さいくらいです。純利益の伸びは、営業利益の伸びで説明が付きます。
現金は3倍になりましたが、多くは支払いを待ってもらった分です
キャッシュ・フロー計算書です。営業活動によるキャッシュ・フローは158億4,400万円の収入で、前年の5倍近くあります。税引前の利益と比べても、5倍近い現金が入ったことになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 税金等調整前四半期純利益 | 32億9,600万円 |
| 仕入債務の増加 | 67億7,000万円 |
| 売上債権の減少 | 53億5,100万円 |
| 前受金の増加 | 17億4,800万円 |
| 棚卸資産の増加 | △33億4,200万円 |
| 賞与引当金の減少 | △15億1,500万円 |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 158億4,400万円 |
いちばん大きいのは仕入債務の増加です。貸借対照表では、支払手形及び買掛金が287億2,500万円から354億9,500万円へ増えています。商品も、697億800万円から730億6,800万円へ膨らみました。エアコンなどを大量に仕入れて、その代金をまだ払っていない、という6月末の姿です。売上債権の減少は、3月末に残っていた売掛金が回収された分です。
前受金の中身は、短信には書かれていません。取り付け工事を待っているエアコンの代金を先に受け取った分かもしれない、と私は読みました。
この現金で、借入金を33億5,100万円返し、コマーシャル・ペーパー10億円も償還しています。それでも現金は45億2,900万円から140億7,200万円へ増えました。財務が痛んでいる様子はありません。ただ、買掛金は次の四半期に払う金です。この現金の厚みは、そのまま残る種類のものではないです。
会社はどう説明しているか
短信の4ページ目の説明文は、業界全体の話が中心です。エアコンの前倒し需要のほか、白物家電、理美容家電が堅調だったこと。そして「同業他社との競争は一層激化することが予想されます」と、先行きは慎重に書いています。
なぜ前倒し需要が起きるのか、基準の厳格化が何をどう変えるのかは、短信には書かれていません。私も家電の基準には詳しくないので、会社側の言葉をそのまま受け取るしかありません。
自社の話は、店を2つ出して219店舗になったことと、業績の数字の列挙です。
通期予想に対して、どこまで来ているか
ここが、この短信でいちばん引っかかった場所です。上期の予想は8月4日に引き上げられました。営業利益は25億円から45億円へ。それなのに通期の60億円は動いていません。
| 項目 | 通期予想 | 第1四半期の実績 | 残り9か月 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,380億円 | 1,127億400万円 | 約3,252億9,600万円 |
| 営業利益 | 60億円 | 31億6,400万円 | 約28億3,600万円 |
| 経常利益 | 55億円 | 30億8,900万円 | 約24億1,100万円 |
| 純利益 | 35億円 | 23億5,600万円 | 約11億4,400万円 |
約の付いた数字は、通期予想から第1四半期の実績を私が引いたものです。
営業利益は3か月で通期の半分を超えました。純利益は3分の2まで来ています。それでも通期を上げなかったので、残り9か月の営業利益は28億3,600万円という置き方です。前年の同じ9か月と比べると4割減、純利益は6割近く減る計算です。
上期の側も引いておきます。上期予想の45億円から、第1四半期の31億6,400万円を引きます。7月から9月の営業利益は13億3,600万円です。前年の7月から9月は15億7,300万円でした。これは短信ではなく、決算説明資料に載っている数字です。つまり上期を上げながら、7月から9月は前年を下回ると置いています。下期に至っては、通期の60億円から上期の45億円を引いた分しか残していません。15億円です。
私はどう読んだか
見方は2つあります。通期の予想が古いまま置いてあるのか、前倒しで先に売れた分を後の四半期から差し引いてあるのか、です。
私は後者だと考えています。理由は、増えたものがエアコンと工事収入に集中していて、会社側が自分の言葉で「前倒し」と書いているからです。来年買われるはずのものを今年の春に売ったのなら、その分がどこかで抜けるのは筋が通ります。
ただ、粗利率が上がり、経費が増えなかったことまで、前倒しと一緒に消えるのかは分かりません。……いや、下期15億円は前年の下期より小さいはずだ。心配性の私の目にも、慎重に置きすぎているように見えます。それでも下期を15億円にした以上、何か悪い材料を見込んでいるのだろうと思って、頭の片隅に置いておきます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260804/140120260802506006.pdf
上期の予想を引き上げた理由と、7月から9月を前年割れと置いた理由は、短信からは読み取れませんでした。別紙のお知らせは読めていません。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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