テクノフレックス(3449)2026年12月期 中間決算分析――現金の減りは税金と在庫だと読みました

テクノフレックス(3449)2026年12月期 中間決算分析――現金の減りは税金と在庫だと読みました 決算を読む

配管の継ぎ目を、動かして守る部品

配管は、まっすぐ固定してしまうと壊れます。ポンプの振動、温度差による伸び縮み、地震の揺れ。それを逃がすために、配管と配管のあいだに蛇腹のように動く部品を挟みます。それがフレキシブル継手で、テクノフレックスはこれをビルの設備配管向けに作っている会社です。

同じ技術は、半導体を作る装置の中でも使われています。装置の内部は真空に保たれていて、そこで使う配管の部品も、この会社の継手事業に入っています。今回の決算で稼ぎ方が変わった場所は、ここです。ほかに防災設備の工事、自動車やロボット向けの部品、福祉用具のレンタルもやっていますが、今回はほぼ継手の話になります。

この決算で何が起きたか

8月6日に出た、2026年12月期の中間決算です。1月から6月までの半年分になります。

項目今回前年同期増減率
売上高162億7,500万円125億6,500万円+29.5%
営業利益35億6,400万円19億1,900万円+85.7%
経常利益34億8,200万円19億8,500万円+75.4%
純利益23億7,400万円13億2,600万円+79.1%

売上が3割伸びて、営業利益は倍近くになりました。営業利益率は前年同期の15.3%から21.9%へ上がっています。表紙の数字だけなら、文句のつけようがない決算です。ただ、この表には「どの事業が」も「現金は」も出てきません。

継手事業ひとつで、営業利益の増え分を全部出している

事業ごとの数字は、短信の12ページ目にあります。

事業売上高前年同期比セグメント利益前年同期比
継手117億1,000万円+68.2%29億6,500万円+140.1%
防災・工事24億8,500万円△30.5%7億円△17.9%
自動車・ロボット10億8,600万円+4.3%6,800万円+56.1%
介護9億4,400万円+1.0%6,500万円+17.8%

継手の利益は、前年同期の12億3,500万円から17億3,000万円増えました。全社の営業利益の増え分が16億4,500万円ですから、継手だけで全部を出して、防災・工事の減りを埋めて、まだ余っています。これは私の引き算です。

利益率も見ておきます。売上117億1,000万円に対して利益29億6,500万円で、4分の1ほどです。前年同期は2割弱でした。売上が7割増えて、そのうえ利益率まで上がっています。

ここで引っかかりました。数が増えただけなら、利益率は変わらないはずだからです。会社は「収益性の高い真空機器」が好調だったと書いています。売り物の中身が変わった、と受け取っています。

一方で、防災・工事は3割の減収です。前年に北海道の先端半導体工場向けの案件が大きく、その反動だと短信にあります。前年の山が高かっただけで、驚く話ではありません。

利益は倍近く、現金は半分以下

営業キャッシュ・フローは12億4,100万円で、前年同期の28億9,400万円から半分以下です。税引前の利益は19億6,400万円から35億9,400万円に増えています。……利益が倍で、現金が半分か。これは変だ。

内訳を10ページ目のキャッシュ・フロー計算書で追うと、大きいものは3つです。

現金を減らしたもの今回前年同期
法人税等の支払い10億4,400万円3億5,500万円
棚卸資産の増加9億300万円5,900万円の減少
売上債権の増加8億6,400万円2億3,700万円

税金は、前の期の利益にかかった分をこの半年で払ったものです。前年同期も営業利益が9割近く伸びていたので、その分の支払いが今年の上期に来ました。ここは心配していません。

棚卸資産は、貸借対照表で見ると原材料の増え方がいちばん大きい項目です。半年で28億7,000万円から37億100万円へ増えました。増え幅は8億3,100万円です。売上と同じくらいの伸び率ですが、なぜここまで積んだのかは、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに理由があるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。

売上債権のほうは、売上が3割伸びれば増えるものです。受取手形と売掛金の伸び方は、売上より緩やかです。

為替は、損益では損に、純資産では益になっている

営業利益と経常利益のあいだで、8,200万円が消えています。中身は為替です。前年同期は為替差益が5,200万円あり、今回は為替差損が9,500万円出ています。

面白いのは、同じ為替が純資産では逆に効いていることです。為替換算調整勘定は半年で4億3,600万円増えました。海外にある資産の円建ての価値が上がったという意味です。継手事業は海外の売上が伸びていますから、その資産も海外に積み上がっています。

もう一つ、特別利益に固定資産売却益1億1,100万円があります。貸借対照表の土地が1億円ほど減っているので、土地を売ったものと考えています。増益の主役ではありませんが、下期には繰り返さない種類の利益です。

会社はどう説明しているか

短信の4ページ目に、会社自身の説明があります。継手事業は、海外市場の売上が好調だった前年をさらに上回り、国内でも収益性の高い真空機器が引き続き堅調だった、というものです。介護事業には、レンタル用の資産の減価償却が進んで原価が下がった、という説明も付いています。

継手の説明は、そのまま受け取っています。理由は、利益率の上がり方が「単価の高い物が増えた」という筋と矛盾しないからです。ただ、海外のどこで何が売れたのかは、短信の文章には出てきません。「海外市場」の一語だけでは、増え方の大きさに対して説明が短いと感じます。

通期予想に対して、どこまで来ているか

予想は7月15日に公表したもので、8月6日の短信でも変えていません。半年の数字がほぼ固まった段階で出したものですから、上期の好調は織り込み済みです。

項目通期予想進捗率残り6ヶ月に必要な額前年下期比
売上高320億円約50.9%157億2,500万円約+16.9%
営業利益60億円約59.4%24億3,600万円約+21.8%
経常利益59億円約59.0%24億1,800万円約+24.8%
純利益41億円約57.9%17億2,600万円約△4.0%

約の付いた数字と残りの額は、表紙の予想と前年の数字から私が出したものです。

営業利益は、残り半年が24億3,600万円で足りますから、上期の35億6,400万円より3割ほど少ない置き方です。下期を弱く見ている理由は、短信には出てきません。

引っかかるのは純利益の行です。営業利益は下期も前年より2割増える見込みなのに、純利益だけ前年の下期を下回ります。上期に売却益が乗っている分だけでは、この差に理由が付けられませんでした。

配当は年間64円の予想で、前期の69円より少なく見えます。ただ、前期の期末42円には特別配当10円が入っています。今期の中間31円にも、特別配当が2円入っています。特別分を除いた普通配当で比べると、前期の59円に対して今期は62円以上になります。期末33円の内訳は表紙にありません。

私はどう読んだか

営業キャッシュ・フローが半分以下になったことを、私はそれほど心配していません。理由は、減った分の大半が前の期の税金の後払いと原材料の積み増しで、利益が出ていないせいで減ったわけではないからです。利益が現金になるのが、半年遅れているだけです。

この半年でいちばん大きな変化は、継手事業の利益率だと考えています。売る物の中身が変わった分は、為替のように半年で向きを変えるものではありません。それでも、心配性なので原材料の増え方は頭に残ります。売上に合わせて仕入れたのか、値上がりする前に買ったのか、それとも作りかけで止まっているのか。増え方が売上の伸びとほぼ同じなので、私は最初の見方をしています。8億円の原材料が下期に製品になって出ていくかどうかは、次の短信の棚卸資産の行で分かります。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260806/140120260806511188.pdf

原材料が半年で8億3,100万円増えた理由は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました