はじめに
ネット通販で買い物をして、カード番号を入れて「購入」を押す。あの瞬間、お店とカード会社の間に立って処理をつないでいるのが、この会社です。お店(加盟店)から見れば、カードも電子マネーも後払いも、この会社と契約すれば一度に使えるようになる。決済の裏方です。
裏方なので、消費者がこの会社の名前を目にすることはほとんどありません。ただ、公共料金の支払いや病院の予約アプリの後ろにもいて、生活のかなり広い範囲を通っています。
そしてもうひとつ、この会社は最近、加盟店や海外のFinTech事業者に「お金を貸す」仕事を大きくしています。今回の決算は、そこが主役でした。
この決算で何が起きたか
第3四半期までの累計です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 69,728 | 61,002 | +14.3% |
| 営業利益 | 29,112 | 23,444 | +24.2% |
| 経常利益 | —(IFRSのため科目なし) | — | — |
| 純利益 | 18,981 | 15,587 | +21.8% |
(単位:百万円)
売上が1割半増えて、営業利益は2割以上増えている。営業利益率は前年同期の38.4%から41.8%へ上がりました。1ページ目だけ見れば、文句のつけようがない決算です。
最初の表では分からなかったこと
営業キャッシュ・フローが半分以下になっている
15ページ目のキャッシュ・フロー計算書で引っかかりました。営業活動によるキャッシュ・フローは13,893百万円。前年同期は34,018百万円でした。利益が2割増えて、営業から入る現金が半分以下になっている。
……これは変だ、と思って内訳を見ると、理由は書いてありました。
| 資金を減らした項目 | 金額(百万円) |
|---|---|
| 前渡金の増加 | 15,052 |
| 営業債権及びその他の債権の増加 | 9,654 |
| 法人所得税の支払 | 11,004 |
前渡金というのは、先にお金を出している分です。そして19ページ目の注記に、営業貸付金が25,066百万円から35,587百万円へ増えたと印字されています。1年経たないうちに4割ほど積み増した形です。
つまり、現金が出ていったのは商売が悪いからではなく、貸す量を増やしたからです。粉飾めいた話ではありません。ただ、決済の手数料で稼ぐ会社と、お金を貸して稼ぐ会社は、儲け方も、抱えるリスクも別物です。この会社は静かに後者の比重を上げている。
売上の6分の1は、もう金利収益
12ページ目の損益計算書に、小さく印字があります。売上収益69,728百万円のうち、金利収益は11,825百万円。前年同期は10,357百万円でした。5人の討論でも触れられていませんでしたが、私はここが今回いちばんの拾い物だと思っています。「決済代行の会社」という看板のまま読むと、この決算は読み違えます。
利益率が上がった理由の半分は、費用が減ったこと
売上が1割半増えたのに、販売費及び一般管理費は18,105百万円から17,304百万円へ、むしろ減っています。会社は決済代行事業の説明の中で、前年同期に一時的な費用を計上していたと書いています。つまり利益率の改善には、前年が重かったという事情が混ざっています。地力だけで38.4%から41.8%に上がったわけではない。
件数は減っている。後払いも伸びていない
会社自身が書いています。決済処理件数は前年同期比2.2%減。金額は7.3%増なので、1件あたりが大きくなった計算になりますが、件数が減るのは前期に顕在化した特定加盟店の内製化——大口のお客さんが決済処理を自前でやるようになった——の影響です。
もうひとつ。この会社は後払い(BNPL)を強化していると紹介されることが多いのですが、後払い決済サービスの売上は5.9%増「に留まりました」と、会社が自分でそう書いています。金融関連事業を+17.6%に引っ張ったのは後払いではなく、北米・インド・東南アジアの海外FinTech事業者向けレンディング、+67.6%のほうでした。
会社はどう説明しているか
会社の説明は一貫しています。金融関連事業のセグメント利益が5,799百万円、+40.5%と大きく伸びたのは、後払いの未回収率が低位で安定し、海外レンディングは「クレジットクオリティを維持しながら」伸びたから、と。営業利益全体については「業績予想に対して順調に進捗」と書いています。
未回収率が低位で安定している、という説明はそのまま受け取ります。数字の裏付けとしても、貸倒引当金は357から332百万円へ、貸付金が増えたのにわずかに減っています。ただし「今まで焦げていない」と「これからも焦げない」は別の話で、貸付残高が4割増えたばかりの貸出の質は、時間が経たないと分かりません。ここは留保をつけて読みます。
通期予想に対して、どこまで来ているか
会社は通期予想を据え置いています。売上収益93,235百万円、営業利益37,639百万円です。
短信に進捗率の印字はないので、ここからは私が割り算した数字です。営業利益は37,639に対して29,112ですから、77%あたりまで来ています。9ヶ月経過の目安が75%なので、目安より少し前にいる。会社が「順調に進捗」と書くのは妥当です。
ひとつ気になるのは、通期の親会社帰属利益の予想が+7.2%と、ここまでの+21.8%に比べてかなり控えめな置き方になっていることです。損益計算書では金融費用が461から884百万円へ増えており、社債20,000百万円を償還して長期借入10,000百万円を入れた資金の入れ替えも済んでいます。第4四半期に何を見込んでいるのかは、短信からは読み取れませんでした。
私はどう読んだか
増益は本物だが、利益の性質が変わってきている——私はそちらに寄せて読みました。理由は、伸びの中心が手数料ではなく貸出と金利収益に移っていることが、損益計算書とキャッシュ・フロー計算書の両方に出ているからです。
決済の手数料は、取扱いが増えれば入ってくる。貸出の利益は、返ってきて初めて確定する。営業キャッシュ・フローの13,893百万円という数字は、その違いをそのまま表しています。悪い数字ではなく、性質の違う数字です。私の読み違いかもしれませんが、この会社の決算は、これからは19ページ目の営業貸付金から先に見ることにします。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.gmo-pg.com/news/pdf/20260814_gmo_pg_ir_tanshin.pdf
営業貸付金35,587百万円の中身——国内と海外、貸出先ごとの内訳——は読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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