カチタス(8919)2027年3月期 第1四半期決算分析――借りて仕入れた四半期、と読みました

カチタス(8919)2027年3月期 第1四半期決算分析――借りて仕入れた四半期、と読みました 決算を読む

カチタスは、古くなって誰も住めなくなった一戸建てを買い取り、直して、売る会社です。地方が中心です。

買う人は、新築には手が届かないけれど、家賃を払い続けるのも避けたい、という世帯です。会社自身はこれを、新築・中古・賃貸に並ぶ「第四の選択肢」と呼んでいます。

この会社の短信を読むのは今回が初めてです。商品は一軒一軒の家で、仕入れも販売も件数で数えます。短信には売上のほかに販売件数と仕入件数が載っていて、住宅会社よりも小売業に近い数字の並びでした。

この決算で何が起きたか

8月7日に出た第1四半期決算です。売上も利益も、前年の同じ3か月から2割5分ほど増えています。

項目今回前年同期増減率
売上高439億6,100万円350億6,300万円+25.4%
営業利益55億6,200万円43億3,100万円+28.4%
経常利益54億1,800万円41億9,900万円+29.0%
純利益36億7,800万円28億5,700万円+28.7%

利益の伸びが売上の伸びを上回り、営業利益率は12.4%から12.7%へ上がりました。ここまでは表紙で分かることです。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書はありません

注記の6ページ目に、当第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成していない、と書いてあります。第1四半期では珍しくありません。それでも現金がどう動いたかは知りたいので、貸借対照表の前期末との差から追いました。材料は、会社が4ページ目に書いた増減額です。

何が動いたか金額
販売用不動産・仕掛販売用不動産の増加73億8,900万円
未払法人税等の減少(前期分の税金の支払い)20億2,500万円
賞与引当金の減少(賞与の支払い)5億7,500万円
剰余金の配当32億700万円
短期借入金の増加90億円
四半期純利益36億7,800万円
現金及び預金の減少3億5,600万円

現金を減らした側の4つを足すと約131億9,600万円、増やした側の利益と借入を足すと約126億7,800万円です。差の5億円ほどは買掛金や未払消費税などの細かな項目の動きで、それらを含めた現金及び預金の減りは3億5,600万円で収まっています。ここまでは私の足し算です。

この3か月で稼いだ利益では、在庫の増加と配当と前期分の税金を賄えず、不足分を短期の借入で埋めています。第1四半期は配当と法人税の支払いが重なる時期なので、現金が出ていくこと自体は毎年のことです。

前期末にゼロだった短期借入金が、90億円になっています

引っかかったのはここです。貸借対照表の流動負債に、短期借入金90億円が並んでいます。前期末の欄は「-」です。1年内返済予定の長期借入金185億円と、固定負債の長期借入金80億円は動いていません。借入金の合計は、265億円から355億円になりました。

借りて何を買ったかは、資産の側で分かります。在庫は前期末から73億8,900万円増えました。仕入件数は2,722件で、販売件数の2,381件を341件上回っています。売れる数より速く仕入れているので、在庫は積み上がります。

利息もついてきます。損益計算書の支払利息は1億600万円から1億5,000万円へ増えました。自己資本比率は56.9%から53.3%へ下がっています。……いや、これで慌てる水準ではないな。純資産535億円に対して、借入は355億円です。裏には約886億円の家の在庫があります。

件数が2割増えて、売上が2割5分増えた理由

売上の伸びは25.4%で、件数の伸びは20.5%です。差は5ポイントで、売上のほうが上回っています。1.254を1.205で割ると1.04ですから、1件あたりの売上は4%ほど上がった計算です。売上を2,381件で割ると、1件およそ1,846万円です。ここに、会社の言う「新築住宅を検討する顧客層向けの商品」が効いています。

ただ、単価を上げた分は仕入価格にも出ています。売上総利益率は前年同期から0.5ポイント下がった、と4ページ目にあります。売上総利益の額は84億1,500万円から103億2,500万円へ増えているので、率は落ちても額は増えています。営業利益率が上がったのは、販管費の伸びが16.6%で、売上の伸びより小さかったからです。ここまでが損益計算書の数字です。

会社はどう説明しているか

説明は素直です。物価上昇と環境規制で新築の価格が上がり、中古の価格競争力が高まったこと。低価格帯の家をファミリー層以外にも出し、新築を検討する層向けの商品も増やしたこと。仕入では危ない物件を見極めつつ、成長率を上げるために買取りの行動量を増やしたこと。粗利率の低下は商品拡充で仕入価格が上がったため、販管費の増加は人材投資の人件費のため、とあります。

ここは留保なしに受け取っています。理由は、説明と数字の向きが全部合っているからです。件数が増えて単価も上がり、粗利率が下がって在庫が増えている。書いてあるとおりに読んで矛盾がありません。

一つだけ気にしているのは、粗利率が下がった理由が、少し高い価格帯を狙った結果だという点です。安さで選ばれてきた商品が、いつもより高い家で伸びている。その家が見込みどおりの粗利で売れ続けるかは、3か月分では分かりません。

7月28日の熊本地震にも触れています。従業員に人的被害はなく、保有物件には一部損傷があるものの、詳細な調査は提出日時点で終わっていません。業績への影響は軽微という判断です。調査が終わっていない、と書いてあるのは信用できる書き方だと感じました。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期の予想は、5月8日に出したものから変えていません。

項目通期予想第1四半期進捗率残り9か月に必要な額残り9か月の前年比
売上高1,774億円439億6,100万円約24.8%約1,334億3,900万円約+14.2%
営業利益210億円55億6,200万円約26.5%約154億3,800万円約+10.7%
経常利益200億円54億1,800万円約27.1%約145億8,200万円約+7.1%
純利益140億円36億7,800万円約26.3%約103億2,200万円約+7.4%

約の付いた数字は、表紙の通期予想と第1四半期の実績から私が引き算・割り算したものです。

3か月で4分の1が目安なので、売上はぴったり、利益はわずかに先行しています。残り9か月に必要な営業利益の伸びは1割ほどで、第1四半期の28.4%よりかなり控えめです。いまの勢いより低い置き方のまま、予想を動かしていません。

上期の予想も引いておきます。上期の営業利益は107億円です。そこから第1四半期の55億6,200万円を引くと、7月から9月の3か月は51億3,800万円という置き方です。売上の上期予想は867億円です。第1四半期の439億6,100万円を引くと、7月から9月は427億3,900万円になります。

件数が増えて在庫も厚いのに、次の3か月は今回を下回ると見込んでいる。理由は短信には書かれていません。補足説明資料が別にあるので、そちらにあるのかもしれませんが、まだ読んでいません。

私はどう読んだか

借りて在庫を厚くしたのを、前向きの仕込みと見るか、無理をしていると見るか。この2つのどちらかだと思います。

私は前者の見方をしています。理由は、在庫と借入の増え方が、「買取りの行動量を増やした」という会社の方針と重なっているからです。売れる速さも落ちていません。増えた利益も、営業外でも特別利益でもなく、売上総利益の額が増えたところから来ています。

それでも心配性なので、粗利率の0.5ポイントと、支払利息の1億5,000万円は覚えておきます。在庫は売れて初めて現金になります。第2四半期の短信でその2つがどう動いたか、次も追います。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260807514089.pdf

短期借入金90億円をいつ返す予定なのかと、1件あたりの仕入価格がどれだけ上がったのかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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