半導体のチップは、ウエハという薄い円盤の上に作られます。円盤はウエハを作る会社からチップを作る工場へ運ばれ、工場に着いたあとも、工程から工程へ何度も移されます。素手で触れば台無しになるものなので、専用の容器に入れて運びます。ミライアルは、その容器を樹脂で作っている会社です。
柱は出荷用の容器で、工場の中で使う容器も手がけています。もう一つ、樹脂を型に流して固める成形機そのものを売る事業も持っています。半導体の工場が忙しくなれば容器の注文が増え、静かになれば減る。その意味で、この会社の数字は半導体の景気そのものです。
そして今年の春、船の計器を作る会社を買いました。半導体とは縁の遠い相手です。今回の中間決算は、その買い物が数字の上でどう見えるかを、初めて確かめられる短信でもあります。
半年で、売上が4分の1増えました
2026年9月8日に出た、2026年2月から7月までの半年の決算です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 79億8,300万円 | 63億4,000万円 | +25.9% |
| 営業利益 | 5億5,900万円 | 3億3,400万円 | +67.3% |
| 経常利益 | 5億6,000万円 | 3億6,200万円 | +54.9% |
| 純利益 | 4億3,100万円 | 2億8,300万円 | +52.0% |
売上が4分の1増え、営業利益は7割近く増えました。売上の伸びより利益の伸びが大きいので、営業利益率は5.3%から7.0%へ上がっています。純利益の伸びが営業利益より小さいのは、あとで書く一時的な損益が混じっているためです。
営業キャッシュ・フローは3倍以上。ただ、増えた分の出どころ
キャッシュ・フロー計算書は短信の8ページ目にあります。営業活動で得た資金は22億500万円です。前年同期は6億8,300万円でしたから、3倍以上になります。利益の伸びよりずっと大きい。ここで引っかかりました。
| 項目 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュ・フロー | 6億8,300万円 | 22億500万円 |
| 税引前利益 | 3億5,900万円 | 6億7,700万円 |
| 減価償却費 | 6億7,300万円 | 7億8,000万円 |
| 仕入債務の増減 | △6億6,000万円 | +6億4,400万円 |
| 法人税等の支払額 | △2億7,600万円 | △540万円 |
| 法人税等の還付額 | ― | +1億200万円 |
差を作っているのは、利益ではなく支払いの側です。仕入債務は前年が6億6,000万円の減少で、今回は6億4,400万円の増加です。減った分と増えた分を合わせると、これだけで13億円の差になります。買った材料の代金を、まだ払っていない分が増えたということです。
法人税の支払いも540万円で、前年の2億7,600万円からほぼ消えました。逆に1億200万円の還付が入っています。前期の利益が落ち込んだぶん、前払いしていた税金が戻ってきた形です。ここまでは計算書の数字です。
税引前利益は6億7,700万円、減価償却費は7億8,000万円です。足すと14億5,700万円になります。22億円のうち商売で稼いだのはこの14億円ほどで、残りは支払いの時期のずれ、と私は読みました。悪い話ではありません。ただ、この22億円を稼ぐ力として覚えると、代金を払う次の半年で肩透かしを食います。
貸借対照表だけ先に来た、船の計器の会社
4月30日に、布谷舶用計器工業の株式を全部取得しました。磁気コンパスなど航海用の計器を作り、造船所に納めている会社です。対価は現金で19億1,200万円。この半期では貸借対照表だけを連結し、損益は第3四半期から乗せると、4ページ目に書いてあります。
だから今回の売上と利益に、この会社の分は一円も入っていません。一方で、総資産と負債には入っています。売掛金や在庫が増えて見えるのは、一部はこのためです。本体の動きがどれだけかは、貸借対照表からは切り分けられませんでした。
買収の資金として19億円のシンジケートローンを組み、前期末にゼロだった借入金が32億円台になりました。自己資本比率は85.7%から71.3%へ下がっています。それでも7割です。……いや、気になったのはそこではない。この借入には、純資産を一定以上に保つことと、経常損失を2期続けて出さないことが条件として付いています。9ページ目の注記です。
条件そのものは、借入としてありふれたものです。ただ、同じ半年で自己株式を4億9,900万円買い、15億6,900万円分を消却しました。純資産を減らす操作と、純資産を保つ約束を、同時に始めたことになります。今の水準なら遠い話ですが、心配性なので頭の片隅に置いておきます。
会社はどう説明しているか
売上が伸びた理由を、会社側は生成AI向けのデータセンター投資と書いています。先端の半導体の需要が増え、汎用品も在庫調整が進んで昨年の第4四半期を底に回復が続いている、と。原材料の一部で調達価格が上がったが、大きな混乱はなかったともあります。
セグメントでは、容器を作るプラスチック成形事業が売上3割増、利益6割増でした。成形機事業は売上がほぼ横ばいで、利益は2割近く増えています。伸びたのはほぼ容器の側です。この説明はそのまま受け取っています。理由は、増えた利益が営業外や特別利益ではなく、売上総利益から来ているからです。売上総利益は12億4,400万円から17億7,100万円へ増えました。増えた額は5億2,700万円です。
もう一つ、今回から調整後営業利益を指標にすると宣言しました。のれんの償却費と買収に関わる費用を除いたもので、上期は6億4,000万円です。営業利益との差の8,100万円は、仲介や調査の報酬です。
特別損益は2つあります。7月の熊本地震で製品と仕掛品が壊れ、生産ラインが1.5日止まった損失が4,100万円。政策保有株式を売った利益が1億5,800万円。純利益4億3,100万円のうち、この売却益は来期には無い分です。
予想は、あと3か月分しか出ていません
表紙に載っている予想は、通期ではありません。第3四半期までの累計です。半導体業界は短期間で環境が大きく変わるので、次の四半期累計までしか出さない方針だと、5ページ目に書いています。通期と期末配当は未定です。
| 項目 | 上期実績 | 第3四半期累計の予想 | 残り3か月に必要な額 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 79億8,300万円 | 130億5,000万円 | 約50億6,700万円 |
| 営業利益 | 5億5,900万円 | 11億7,000万円 | 約6億1,100万円 |
約の付いた列は、予想から上期実績を引いた私の引き算です。売上は6か月で79億8,300万円だったのに、次の3か月だけで50億6,700万円を置いています。営業利益も、6か月で5億5,900万円のところを、3か月で6億1,100万円です。
これは本体だけの数字ではありません。第3四半期から布谷グループの売上と利益が乗ります。ただ、その会社がどれだけ売り、どれだけ稼ぐのかは、決算短信には書かれていません。載っているのは受け入れた資産と負債の額だけです。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあり、説明会も9月9日に開くと書いてあります。そちらに規模があるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。
私はどう読んだか
本体の容器の商売が、はっきり上向いた半年です。ここは疑っていません。
残り3か月の6億1,100万円をどう受け取るか。本体がこの調子で伸びるのか、買った会社の利益が大きいのか。私は後者の見方をしています。理由は、営業利益率から逆算した売上の大きさが釣り合わないからです。上期の営業利益率は7.0%でした。6億1,100万円をこれで割ると、およそ87億円の売上が要ります。3か月で、上期6か月分の79億8,300万円を超える額です。それより、船の計器の会社がまとまった利益を持っていると考えるほうが、数字の収まりがいいのです。
ただ、それなら短信に、買った先の売上と利益を書いてほしかった。上期の79億円と、3か月の50億円をつなぐ線が、短信の中には引かれていません。上がるかは知りません。私に言えるのは、次の第3四半期決算まで、本体の勢いを短信からは測れない、ということまでです。
出典:決算短信(会社発表)
布谷舶用計器工業グループの売上と利益の規模は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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