テイツーは「古本市場」「ふるいち」の看板で、中古の本やゲーム、トレーディングカードを買い取って売る会社です。郊外の道路沿いに構えた大きめの店が軸で、最近はショッピングモールの中に小さな店を増やしています。子どもが束のカードを持ち込んで査定してもらい、その場で別のカードや中古ゲームを買って帰る、そういう場所です。
新品も扱っています。ゲーム機本体や新作ソフトを売り、遊び終えたものをまた買い取る。店の中で品物が一周する商売です。傘下にはネット通販の子会社もあります。
私が引っかかったのは、売上が大きく伸びた四半期に、借入も膨らんでいたことです。7月15日に出た第1四半期決算短信を、その順番で読んでいきます。
この決算で何が起きたか
3月から5月の3か月です。増収率も増益率も、小売業としては見慣れない大きさでした。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 117億2,100万円 | 85億6,100万円 | +36.9% |
| 営業利益 | 7億9,200万円 | 2億2,100万円 | +257.7% |
| 経常利益 | 8億1,600万円 | 1億9,900万円 | +309.5% |
| 純利益 | 4億7,500万円 | 9,100万円 | +421.8% |
営業利益が3.6倍近くになった四半期です。この表だけなら、文句の付けようがありません。
売上ほどには、粗利が増えていない
損益計算書の売上総利益は32億2,859万円から40億6,606万円になりました。増えた分は8億3,746万円です。売上に対する粗利の割合を私が計算すると、前年が約37.7%、今回が約34.7%になります。売上が伸びたわりに、粗利の割合は3ポイント下がっています。
会社は短信の4ページ目で、新品分類のゲームが前年同期を大きく上回ったと書いています。中古は自分で買い取って値段を付けるので粗利が厚く、新品は仕入れ値が決まっているので薄くなります。売れた中身が新品側に傾いたぶん、割合が下がった、と私は読みました。
それでも営業利益がここまで増えたのは、販管費の側です。販管費は30億709万円から32億7,383万円へ動いただけです。増えた分は2億6,673万円にとどまります。粗利の増え方に対して費用の増え方が3分の1以下なので、差がそのまま利益になりました。3店を新しく出しながらこの数字です。ここまでは損益計算書の数字です。
キャッシュ・フロー計算書の無い四半期に、借入が倍になった
第1四半期の短信には、キャッシュ・フロー計算書が付いていません。9ページ目に「作成しておりません」とあります。第1四半期は省いてよいので、珍しいことではありません。ただ、この会社の今回の貸借対照表は、お金の動きが気になる形をしています。
| 科目 | 2月末 | 5月末 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 30億8,924万円 | 32億9,182万円 |
| 売掛金 | 9億9,808万円 | 14億1,215万円 |
| 商品 | 48億9,029万円 | 50億8,135万円 |
| 短期借入金 | 15億円 | 29億円 |
| 長期借入金(1年内返済分を含む) | 約11億6,575万円 | 約10億9,236万円 |
長期借入金の行は、1年内返済分と固定負債の長期借入金を私が足したもので、「約」を付けています。ほかは短信の数字です。
短期借入金は3か月で14億円増えました。この14億円が、今回の核心の数字です。長期のほうは7,300万円ほど減っているだけなので、借入全体では13億円あまり増えたことになります。現金は2億円しか増えていません。差額はどこへ行ったのか。
行き先の一部は表の上のほうにあります。売掛金が4億1,400万円増えました。商品も1億9,100万円、その他の流動資産も3億3,900万円増えています。それに加えて、10ページ目に配当3億2,085万円と自己株式の取得2億4,816万円が載っています。株主に払ったお金は合わせて5億6,900万円で、この四半期の純利益4億7,500万円より大きい額です。……いや、稼いだ以上に配っている。
会社は5ページ目で、負債の増加は主に短期借入金によるもの、と説明しています。何に使ったかまでは、決算短信には書かれていません。営業活動でどれだけ現金が入ってきたのかは、キャッシュ・フロー計算書が付く中間決算まで分かりません。
売上が増えれば売掛金と在庫が増えるのは小売として自然です。ただ、純利益より多く株主に払い、その分を短期の借入で埋めた形です。私はここを、利益の増え方より重く見ています。
会社はどう説明しているか
会社側の説明は4ページ目にまとまっています。中古はトレカとゲームが好調だったこと、新品は新型ゲームハードの供給が安定して需要が広がったこと、そして価格改定前の駆け込み需要があったこと。この3つです。駆け込みという言葉を自分から使っているのが目を引きます。値上げの前に買った人は、値上げの後には買いません。
駆け込みがどれだけの金額だったのかは、決算短信には書かれていません。1ページ目に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに内訳があるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。
事業の話では、6月でふるいちオンラインを終え、ネット通販を子会社の山徳に集めると書いてあります。台湾の2店舗目の準備、トレカの査定機「TAYS」の外販も続いています。
通期予想は4月のまま、後半は3割減の置き方
| 項目 | 通期予想 | 第1四半期 | 進捗 | 残り9か月 | 残り9か月の前年比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 425億円 | 117億2,100万円 | 約27.6% | 約307億7,900万円 | 約8.6%減 |
| 営業利益 | 16億円 | 7億9,200万円 | 約49.5% | 約8億800万円 | 約30.1%減 |
| 経常利益 | 16億円 | 8億1,600万円 | 約51.0% | 約7億8,400万円 | 約32.2%減 |
| 純利益 | 8億円 | 4億7,500万円 | 約59.4% | 約3億2,500万円 | 約58.2%減 |
約の付いた数字は、表紙の通期予想から第1四半期の実績を引き、前年の残り9か月と比べて私が出したものです。
営業利益は3か月で通期の半分まで来ています。それでも会社は、4月14日に出した予想を7月15日の短信でも変えていません。残り9か月の営業利益は8億800万円で、前年の同じ9か月より3割減る置き方です。
駆け込み需要の反動を、会社側が自分で予想に織り込んでいると受け取っています。第1四半期の中身を新品ゲームの駆け込みだと説明した以上、残りを弱く置くのは筋が通っています。純利益を6割近く減らすのは、それでもかなりの減り方ですが。
私はどう読んだか
第1四半期の数字は本物で、ただし続かない、と私は読みました。理由は、増収の説明に駆け込み需要を自分から挙げ、通期予想を据え置いたからです。利益が営業外や特別利益ではなく、粗利と販管費から出ていることは損益計算書で確かめられます。
ただ、私の頭に残るのは利益より貸借対照表です。現金の本当の出入りはまだ見えません。中間決算でキャッシュ・フロー計算書が付いたとき、営業活動によるキャッシュ・フローを見に行くつもりです。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260715/140120260714593621.pdf
短期借入金14億円の使い道と、駆け込み需要の金額は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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