DOWAホールディングス(5714)2027年3月期 第1四半期決算分析――据え置きが腑に落ちました

DOWAホールディングス(5714)2027年3月期 第1四半期決算分析――据え置きが腑に落ちました 決算を読む

廃棄物から金属を取り出して、また売る会社です

DOWAホールディングスは、使い終わったものから金属を取り出す会社です。壊れた家電、使用済みの自動車の排ガス浄化触媒、工場から出る廃棄物。それらを集めて焼き、溶かして、金や銀、銅、亜鉛を取り出します。

取り出した金属は地金として売られるほか、自社の工場で太陽光パネルに塗る銀の粉、自動車の電装部品に使う銅の板、記録用テープの磁性粉に姿を変えます。歯車を硬くする熱処理の受託加工もあります。

客は両側にいます。処理を頼む自治体や工場と、金属や部品を買う自動車メーカーや電子部品メーカーです。取り出した金属の売り値は、金や銀の価格で決まります。売上と利益が金属価格と為替で大きく動くのは、この商売の性質です。今回の決算は、それがいちばん強く出た3か月でした。

売上高は6割増、営業利益は4倍近く

2026年8月7日に出た第1四半期決算、4月から6月までの3か月分です。

今回前年同期増減率
売上高2,533億9,500万円1,601億2,900万円+58.2%
営業利益247億4,800万円64億9,400万円+281.0%
経常利益325億2,700万円86億1,600万円+277.5%
純利益234億5,200万円64億100万円+266.4%

1ページ目だけを見れば、文句のつけようがない数字です。ただ、どの部門が何で稼いだのかを分けないと、この4倍が続く種類のものかは分かりません。短信の5ページ目に、部門ごとの表があります。

増えた営業利益は、ほぼ製錬部門のものでした

部門の営業利益今回前年同期
環境・リサイクル43億5,100万円39億8,900万円
製錬156億3,300万円19億6,100万円
電子材料15億4,200万円△9億7,200万円
金属加工26億3,000万円9億1,200万円
熱処理1億2,000万円1億9,600万円

営業利益247億4,800万円のうち、156億3,300万円が製錬部門です。増えた分のほとんどをこの部門が占めます。短信が挙げる理由は2つで、金や銀の平均価格が上がったこと、そして6月末にかけて銀の価格が下がったことに伴うヘッジ取引評価益です。

ここで引っかかりました。「価格が上がって儲かった」と「価格が下がって評価益が出た」が、同じ段落に並んでいます。……いや、これは矛盾ではない。在庫の銀の値下がりに備えて先に取引を結んでおけば、銀が下がるほどその取引の値打ちは上がる、と私は理解しています。会社が棚卸資産を対象にそういう取引をしていることは、補足資料の9ページ目にあります。

問題は、この評価益がいくらで、いつまで残るかです。短信には金額がありません。補足資料では、この3か月の評価益は43億5,000万円で、うち26億円が6月末時点の評価額です。期末の評価額は翌四半期の初めに同額を戻し入れる、と同じページにあります。7月1日には、26億円が反対向きに立つ仕組みです。

経常利益が営業利益より78億円大きい理由

営業利益の外でも利益が膨らんでいます。経常利益から営業利益を引くと77億7,900万円で、同じ引き算を前年でやると21億2,200万円でした。広がった中身は、営業外収益の欄にあります。

営業外収益今回前年同期
持分法による投資利益62億6,700万円16億900万円
受取ロイヤリティー5億9,000万円8,800万円
営業外収益の合計88億8,100万円32億4,600万円

持分法による投資利益の増え方が目立ちます。短信の5ページ目は、海外の亜鉛鉱山の投資利益が、金属価格の上昇とティサパ鉱山の生産回復で増えた、と説明しています。出資先の鉱山の利益が持ち分だけ入ってくる形です。亜鉛の価格が下を向けば、同じ速さで細ります。

利益234億円の3か月で、現金は30億円減っています

第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成していない、と注記にあります。現金の動きは貸借対照表で追うしかありません。

前期末(3月末)今回(6月末)
現金及び預金512億2,500万円481億9,500万円
短期借入金293億600万円446億1,400万円
コマーシャル・ペーパー170億円250億円
原材料及び貯蔵品2,074億6,800万円2,131億1,900万円

現金及び預金は30億2,900万円減り、短期借入金は153億800万円増えました。ただし、この3か月に配当金217億6,600万円を払っています。純利益とほぼ同じ額が出ていくのですから、借りて埋めるのは珍しいことではありません。原材料の増加も、金属価格が上がれば同じ量でも金額は膨らみます。ここは心配していません。

小さな引っかかりを一つ。短信の9ページ目に、電子材料事業の銀地金リース費用を、販売費から売上原価へ移した表示方法の変更があります。前年分で2億5,700万円です。「経営環境の変化を契機として」とだけあり、その変化が何かは短信には書かれていません。銀価格の上昇で資材費が増えたとあるので、借りている銀の費用が本業の原価とみなすべき大きさになったのかもしれません。

会社はどう説明しているか

短信の4ページ目は、需要と価格と費用に分けています。需要は、廃棄物処理の受注が堅調で、自動車の生産も総じて堅調、太陽光パネル向けの銀の粉と燃料電池向けの粉が伸びた、とあります。価格は、円安に動き、金や銀、白金族の平均価格が前年より上がりました。費用は、電気代は減ったものの製錬原料の購入条件が悪化し、賞与で人件費が上がり、中東情勢で資材の単価が上がった、という説明です。

予想を据え置いた理由は一文です。「需要面は概ね想定通りに推移したことから」。利益が4倍になった理由の大半である価格と為替は、この一文に入っていません。売れた量は予定どおりで、値段の分は当てにしない。この姿勢は、そのまま受け取ります。

留保は一つです。短信は銀の価格が「当第1四半期末にかけて下落基調」と書くだけで、7月以降には触れていません。補足資料には、金・銀・プラチナの価格が下落基調にあり、自動車関連の需要も減退している、と一歩踏み込んだ書き方があります。短信だけの人と補足資料まで開いた人で、印象がだいぶ違う決算です。

営業利益は半分近く、それでも7月から9月は赤字の置き方です

通期予想に対して、売上高は4分の1ほど、営業利益は半分近く、純利益は4割まで来ています。私の割り算です。ただ、上期の予想と並べると、別のものが見えます。上期予想は5月14日に出したもので、8月7日にもそのまま残されました。

第1四半期 実績上期 会社予想7月〜9月
営業利益247億4,800万円237億円約△10億4,800万円
経常利益325億2,700万円371億円約45億7,300万円
純利益234億5,200万円266億円約31億4,800万円

約の付いた数字は、上期予想から第1四半期の実績を私が引いたものです。

7月から9月の3か月は、10億4,800万円の営業赤字という置き方になります。第1四半期の数字が出たあとで、会社はこれを動かしませんでした。6月末の評価益26億円が7月に反対向きになること、貴金属の価格が下を向いていることを考えると、無理筋には見えません。

通期の純利益は570億円で、前期より1割近く減る予想です。残る9か月に必要なのは335億4,800万円です。570億円から第1四半期の234億5,200万円を引くと、そうなります。前年の同じ9か月と比べると4割少ない額です。配当は、前期の368円のうち100円が特別配当でした。今期の予想338円は普通配当だけです。普通配当で比べれば、268円から338円へ増えます。

私はどう読んだか

この決算の見方は2つあります。一つは、第1四半期の勢いが本物で、予想が慎重すぎるというもの。もう一つは、一時の益と金属価格で膨らんだ3か月であり、据え置きが妥当だというものです。

私は後者の見方をしています。理由は、増えた営業利益の大半が製錬部門で、その中に7月に反対向きになる評価益が含まれているからです。もう一つ、短信自身が、銀の価格は期末にかけて下がったと書いています。電子材料部門の黒字転換は本物だと考えていますが、製錬の156億円を左右する規模ではありません。

据え置きが腑に落ちました。心配性なので、貴金属の価格の先は頭の片隅に置いておきます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://data.swcms.net/file/hd-dowa/dam/jcr:13b8b994-daf5-4cd7-9827-3a8b1900dae9/140120260805510866.pdf

上期予想の営業利益237億円に、6月末の評価益26億円の戻し入れがどこまで織り込まれているのかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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