ブロードマインド(7343)2027年3月期 第1四半期決算分析――増益は費用減の分と読みました

ブロードマインド(7343)2027年3月期 第1四半期決算分析――増益は費用減の分と読みました 決算を読む

ブロードマインドは、生命保険を入口にして家計の相談に乗る会社です。結婚や出産、住宅の購入といった節目に「今の保険のままでいいのか」「積み立ては何から始めればいいのか」と迷った人が相談に来ます。そこで保険だけでなく、証券口座で買う投資商品や住宅ローンまで、ひとりの担当者が一緒に組み立てる。売っているのは商品そのものというより、その人の家計の設計図です。

収入は、保険会社や証券会社から入る手数料です。相談に来るのは働き盛りの世代が中心で、提携しているカード会社などから紹介を受ける形もあります。これとは別に、不動産を仕入れて売る事業も小さく持っています。

私も長女が生まれた年に、似たような相談をした覚えがあります。夜遅くまで話を聞いてくれた担当者が、最後に投資信託の話を始めた。あの商売です。

表紙は文句のつけようがない数字でした

8月12日に出た第1四半期決算です。表紙だけを見ると、増収増益、それも利益の伸びが目を引く並びになっています。

今回前年同期増減率
売上高12億6,900万円12億3,800万円+2.5%
営業利益2億600万円1億1,600万円+77.0%
経常利益2億800万円1億1,900万円+74.5%
純利益1億3,700万円4,600万円+193.7%

売上は2.5%しか増えていないのに、営業利益は8割近く増えています。純利益は3倍近くです。こういう表に出会うと、私は先に損益計算書の中身を開きに行きます。売上が動いていないのに利益だけ動くとき、動いたのはたいてい費用のほうだからです。

売上総利益は減り、減ったのは販売費でした

8ページ目の損益計算書を並べると、増益の出どころがはっきりします。

前年同期今回
売上高12億3,836万円12億6,933万円
売上原価382万円3,665万円
売上総利益12億3,453万円12億3,267万円
販売費及び一般管理費11億1,800万円10億2,643万円
営業利益1億1,653万円2億623万円

千円単位の損益計算書から直しています。

売上総利益は、前年より186万円減っています。これは私の引き算です。増えた売上3,096万円は、ほぼそのまま売上原価の増加3,283万円に消えました。原価が増えたのは不動産販売事業で仕入れた物件を売ったからで、この会社の本体である手数料収入には原価がほとんどかかりません。

そのうえで、販売費及び一般管理費が9,156万円減りました。営業利益の増分は8,970万円ですから、増益はまるごと費用が減った分です。稼ぎが増えたのではなく、使う金が減っています。ここまでは損益計算書の数字です。

引っかかったのは、費用が減った理由です。4ページ目には、2026年4月に30名弱の新卒を採用して、第3四半期の稼働に向けて教育中だとあります。……いや、30人増やして費用が減るのか。

思い当たるのは2ページ目の注記です。Money With株式会社という子会社が連結から外れました。前年の第1四半期には、非支配株主に帰属する損失が305万円ありました。ここには外部の株主がいる子会社の赤字しか出てきませんから、そういう子会社が赤字だった、ということになります。損益計算書には関係会社株式売却損123万円も立っています。赤字の子会社が抜けて費用が軽くなった、と私は考えています。ただ、それで9,000万円を説明しきれるかは分かりません。

主力の売上は減っています

10ページ目のセグメント情報です。

前年同期今回
フィナンシャルパートナー事業 売上高12億3,337万円12億1,402万円
同 セグメント利益1億2,407万円2億296万円
不動産販売事業 売上高498万円5,530万円
同 セグメント利益△753万円326万円

主力の売上は1.6%減り、利益は6割増えています。4ページ目の説明文には「新規相談件数は引き続き堅調」「主力の手数料収入が伸展」とあります。手数料収入が伸びて、そのセグメントの売上が減る。この二つの文を、私は自分の中でつなげられませんでした。外れた子会社の売上が抜けた分かもしれません、という程度の当たりしか付きません。

短期借入金がゼロから6億円になった3か月

7ページ目の貸借対照表で、短期借入金が前期末のゼロから6億円になっています。5ページ目の説明は「運転資金需要等」の一言です。その3か月に出ていった金を、同じ5ページ目から拾いました。

出ていったもの金額
配当(利益剰余金の減少)3億9,601万円
賞与の支給(賞与引当金の減少)1億2,834万円
納税(未払法人税等の減少)1億259万円
未払金の減少1億4,715万円

足すと7億7,400万円ほどになります。第1四半期の営業利益2億600万円ではとても足りません。6億円を借りて、現金の減りを2,264万円にとどめた形です。年度初めに配当と賞与と納税が重なる会社が、この時期に短期で借りるのは珍しいことではありません。

気になるのは借りたことより、配る量のほうです。配当予想は1株70円です。これを予想1株利益55円87銭で割ると、配当性向は125%になります。……稼ぐ以上に配って、その分を借りているわけか。純資産の側では、その他有価証券評価差額金も6,185万円減っています。自己資本比率は75.6%から70.1%へ下がりました。

会社はどう説明しているか

4ページ目で会社側が力を入れて書いているのは二つです。一つは新卒30名弱を第3四半期から稼働させるための教育。もう一つはAIコンサルティングシステムのヒアリングツールを使い始めたことです。不動産販売事業については、資材や人件費が上がる中で「出口価格の引き下げによる早期売却を回避」と書いています。安売りして早く現金にするより、値段を守って待つ、という判断です。

そのまま受け取れるのはここまでです。販売費がなぜ9,156万円減ったのか、6億円を何に使うのか、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想第1四半期進み具合
売上高50億9,600万円12億6,900万円4分の1
営業利益4億8,000万円2億600万円4割強
純利益3億2,000万円1億3,700万円4割強

進み具合は私の割り算です。

利益は3か月で4割を超えているのに、予想は据え置きです。据え置いた予想は営業利益で前期比23%減ですから、残りの9か月を相当に低く置いていることになります。前年と並べると、その低さがはっきりします。

通期予想の4億8,000万円は、前期から23.0%減った後の数字です。そこから割り戻すと、前期の通期営業利益はおよそ6億2,300万円になります。そこから前年第1四半期の1億1,600万円を引くと、前年の7月から3月はおよそ5億700万円でした。今年の同じ9か月は、4億8,000万円から2億600万円を引きます。残りは2億7,400万円です。

営業利益第1四半期7月から3月通期
前年1億1,600万円約5億700万円約6億2,300万円
今年2億600万円2億7,400万円4億8,000万円

約の付いた数字は、表紙の増減率△23.0%から私が割り戻したものです。今年の7月から3月は、通期予想から第1四半期を引きました。

前年に5億円稼いだ9か月を、今年は半分近くまで落ちると置いています。その理由として短信の説明文から拾えるのは、30名弱の新卒が第3四半期から現場に出る、という一点だけです。新人はすぐには手数料を稼ぎませんが、給料は初日から費用に乗ります。第1四半期に減った販売費は、後半で戻ってくる。会社側はそう見込んでいる、と私は受け取りました。

私はどう読んだか

費用を絞れた四半期なのか、利益の出方が変わった四半期なのか。私は前者だと考えています。理由は、売上総利益がまったく増えていないことと、会社側自身が残り9か月を前年の半分近くと置いていることの二つです。

新規の相談が堅調で、資産形成の商品が売れている。この商売の土台の話は悪くありません。ただ、それは主力の売上に出てくるはずのもので、今回の主力の売上は減っています。

心配性なので、6億円の借入のほうが頭に残ります。稼ぐより多く配る予想と、前期末にはなかった短期借入。この二つが同じ貸借対照表に並んでいます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260812/140120260810516902.pdf

販売費が9,156万円減った中身と、6億円の短期借入の使い道は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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