日東紡績(3110)2027年3月期 第1四半期決算分析――純利益半減の予想が、腑に落ちました

日東紡績(3110)2027年3月期 第1四半期決算分析――純利益半減の予想が、腑に落ちました 決算を読む

はじめに

日東紡績は、ガラスを糸にする会社です。溶かしたガラスを細い糸に引き、布に織ったり、樹脂と混ぜて板にしたりします。その布や板が、サーバーの中の基板の土台になります。電気を通さず、熱で伸び縮みしにくいからです。ほかに、家の壁の断熱材、車や船の部品の芯材、工場で使う耐熱の布があります。

もう一つ、病院や検査会社で使う診断薬も作っています。糸の会社が診断薬というのは意外ですが、その組み合わせで何十年もやってきています。

今回、私が引っかかったのは最初の表の増益ではありません。貸借対照表で減っている現金と、通期予想の純利益だけが半減になっている理由が、同じ場所につながっていたことです。

この決算で何が起きたか

8月5日に出た、2027年3月期第1四半期の決算短信です。売上が2割増えて、利益がほぼ倍になりました。

項目今回前年同期増減率
売上高340億3,300万円282億3,100万円+20.6%
営業利益79億4,300万円42億9,800万円+84.8%
経常利益84億3,300万円43億4,400万円+94.1%
純利益57億9,700万円31億4,700万円+84.2%

売上原価は1割弱しか増えていません。ここには後で戻ります。

増えた利益の8割は、電子材料ひとつから来ています

短信の10ページ目にセグメントの表があります。6つの事業が全部増収で、赤字だった複合材と断熱材も黒字に戻りました。それでも利益の置き場所は偏っています。

事業売上高営業利益前年同期の営業利益
電子材料145億8,900万円70億3,600万円41億3,900万円
メディカル38億1,800万円7億500万円4億2,200万円
複合材38億3,000万円0(100万円未満)△1,500万円
資材・ケミカル26億1,500万円2億2,200万円1億900万円
断熱材43億9,900万円2億5,100万円△5,000万円
その他47億8,000万円2億1,300万円1億1,200万円

6事業の利益の合計は84億2,900万円で、そのうち70億3,600万円が電子材料です。割ると8割強になります。残りの5事業を全部足しても14億円に届きません。

現金が減った先は、税金の支払いでした

貸借対照表で目が止まりました。現金及び預金が、3月末の620億1,400万円から6月末の454億7,600万円へ減っています。差は165億3,800万円です。売上も利益も伸びた四半期に、現金が4分の1減っています。……いや、これは変だ。

キャッシュ・フロー計算書は、この短信には「作成しておりません」とあります。第1四半期はそうする会社が多いので、減った理由を直接たどれません。

代わりに負債側を追いました。未払法人税等が131億1,700万円から18億3,200万円へ減っています。差は112億8,500万円で、現金の減り分の7割ほどです。会社側も「負債の減少の主な要因は未払法人税等の減少」と書いています。ここまでは貸借対照表の数字です。現金の減少の大半は税金の支払いだった、と私は読みました。

残りは原材料と売掛金の増加です。売上が2割伸びれば売掛金も増えるので、それ自体は珍しくありません。

純利益の予想だけが半減している理由も、同じ場所につながります

131億円の税金を積んでいたということは、前期に相応の利益があったはずです。表紙の通期予想では、営業利益と経常利益は4割増える置き方です。それなのに純利益は200億円で、前期比マイナス52.1%と半分になっています。

5ページ目に前期の通期実績が載っていました。経常利益215億4,400万円に対して、純利益は417億7,000万円です。税金を引く前より、引いた後のほうが200億円以上大きいのです。前期のどこかで、本業とは別の大きな利益が入ったことになります。

それが何だったかは、今回の短信には書かれていません。前期の通期短信は、まだ開いていません。今期の純利益予想200億円は、経常利益300億円から普通に税金を引いた水準です。半減に見えるのは、前期が特別だったからです。

会社が挙げた理由は、損益計算書と合っています

会社が挙げる増益の理由は、AIサーバー向けの需要と、価格改定の2つです。低誘電のガラスと、半導体パッケージ基板向けの低熱膨張のガラスを「スペシャルガラス」と呼んでいて、その販売が増えた、と4ページ目にあります。

そのまま受け取っています。理由は損益計算書がそう言っているからです。売上原価は174億9,200万円から191億1,800万円へ、1割弱しか増えていません。売上総利益を売上高で割ると、前年の38%から44%へ上がっています。量が増えただけならこうはなりません。単価が上がったか、高いものの割合が増えたか、その両方です。

上方修正しても、残り9か月は控えめな置き方です

今回、上期と通期の予想を上方修正しています。通期の営業利益は260億円から300億円へ引き上げました。

通期予想第1四半期進み具合残り9か月に必要な額
売上高1,410億円340億3,300万円約24%1,069億6,700万円
営業利益300億円79億4,300万円約27%220億5,700万円
経常利益300億円84億3,300万円約28%215億6,700万円
純利益200億円57億9,700万円約29%142億300万円

約の付いた数字と残りの額は、私が表紙の予想から引いたものです。

3か月分の目安は4分の1ですから、少し先を行っている程度です。残り9か月の営業利益220億5,700万円は、前年の同じ9か月より3割強の増加です。第1四半期の8割増より、かなり控えめです。

上期の予想も同じです。上期の営業利益の予想は153億円です。そこから第1四半期の79億4,300万円を引くと、7月から9月は73億5,700万円という置き方です。第1四半期より6億円ほど少ない数字になります。

前年の同じ3か月は51億5,600万円でした。前期上期の94億5,400万円から、前期第1四半期の42億9,800万円を引いた数字です。今回の73億5,700万円は、それより4割多い数字です。伸びは続くが第1四半期ほどではない、と会社側は見込んでいるようです。

私はどう読んだか

増えた利益は、営業外でも特別利益でもなく、売上総利益から来ています。これが今回の短信でいちばん確かなところです。私は良い方向の見方をしています。理由は、原価に対する売値の改善は、3か月で消える種類のものではないからです。

心配は2つ残ります。ひとつは、利益の8割が電子材料にあることです。AIサーバー向けの需要が途切れたとき、ほかの5事業で埋める力は、今の数字にはありません。もうひとつは、前期の利益の中身を、私がまだ知らないことです。7月1日に1株を5株に分割していて、配当は分割前の額で年間140円と、前期の127円から増える置き方です。その裏付けは、まだ確かめていません。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260805/140120260805509788.pdf

前期の純利益417億7,000万円が経常利益より200億円以上大きかった理由は、今回の短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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