カナモト(9678)2026年10月期 第3四半期決算分析――償却の減りが利益の3分の1と読みました

カナモト(9678)2026年10月期 第3四半期決算分析――現金と借入が一緒に増えたのが気になる 決算を読む

カナモトは建設機械を貸す会社です。ショベルカー、高所作業車、発電機、それに工事現場の仮設の設備。ゼネコンや地場の工務店が、工事の期間だけ借りて、終わったら返します。買えば家が建つほどの値段がする機械を、現場ごとに自前で持つ会社はほとんどありません。だから借ります。

北海道で始まった会社で、いまは関東に広げているところです。豪州にも拠点があります。

貸す商売の損益は、機械を買った代金を何年かに分けて費用にする「減価償却」で決まる部分が大きい。今回の短信を最後まで追って、いちばん引っかかったのがそこでした。

この決算で何が起きたか

2026年9月4日に出た第3四半期の短信です。2025年11月から2026年7月までの9か月分になります。

項目今回前年同期増減率
売上高1,629億2,300万円1,587億9,200万円+2.6%
営業利益154億4,000万円117億3,400万円+31.6%
経常利益157億7,900万円120億3,900万円+31.1%
純利益100億6,300万円72億3,600万円+39.1%

売上はほとんど動いていないのに、営業利益は3割増えています。売上原価が前年より減り、粗利が増えた分がそのまま営業利益になった形です。

減った原価の中身は、減価償却でした

損益計算書は8ページ目です。売上原価は1,114億7,600万円から1,107億4,000万円へ減りました。売上が増えて原価が減れば、粗利は増えます。売上総利益は473億1,600万円から521億8,300万円へ増えました。私の引き算で、48億6,700万円の増加です。

原価が減った理由は、決算短信の損益計算書には書かれていません。9ページ目の注記まで行くと、減価償却費が載っていました。前年同期の258億300万円に対して、今回は244億4,100万円。引き算で13億6,200万円の減りです。営業利益の増えた分は、154億4,000万円から117億3,400万円を引いた額です。37億600万円になります。13億6,200万円を37億600万円で割ると3分の1強になりますから、営業利益の増えた分の3分の1強は償却の減りで説明がつきます。

残りの3分の2は、償却ではないところで稼いだ分です。会社は4ページ目で「レンタル単価の適正化」と書いています。10ページ目のセグメントの表では、建設関連のレンタル契約の売上が1,005億2,300万円から1,046億4,800万円へ伸びていました。値段を上げても借り手が離れなかった、と私は受け取りました。ここまでは良い話です。

気になるのは、償却が減った理由のほうです。6ページ目の貸借対照表で、レンタル用資産の取得価額は3,298億9,200万円から3,355億1,200万円へ増えています。差は56億2,000万円です。機械は買い足しているのに、償却費は減っています。……償却の終わった古い機械が、貸し出しの中で増えているのか。

これは私の読みで、短信にそう書かれているわけではありません。載っているのは、償却前の資産が増えたことと、償却費が減ったことの2つの数字だけです。償却の終わった機械は費用がかからないぶん利益を押し上げますが、いつまでも貸せるわけではありません。

現金は増え、借入も増えました

貸借対照表には、もう一つ気になる動きがあります。現金と借入が同じくらい増えている話です。現金及び預金は期首から109億5,700万円増えました。一方で短期借入金が3億1,000万円から70億6,000万円へ増えています。差は67億5,000万円です。1年内返済の長期借入金も29億9,600万円増えていて、足すと97億4,600万円です。

第3四半期の短信にはキャッシュ・フロー計算書が付きません。会社もそう断っています。ですから、増えた現金が本業で稼いだものか借りて積んだものかは、この短信からは分けられません。言えるのは、増えた現金と増えた借入が、ほぼ同じ大きさだということまでです。

その使い道らしきものが、最後の12ページ目にありました。発表と同じ9月4日に、高崎事務器グループを買うと決めています。ユニットハウスや仮設トイレなど、現場の設備を貸す関東の会社です。対価は現金で、9月中に完了の予定です。取得価額は、決算短信には書かれていません。

7月末に急に増えた短期借入金は、この買収の準備かもしれない、と私は考えています。当たっているかどうかは、通期の短信で現金の残りを確かめれば分かります。

会社はどう説明しているか

4ページ目の説明は、需要と単価の2本立てです。防災や国土強靱化の公共投資に、物流施設やデータセンターの民間投資が乗って、レンタル需要は底堅かった、とあります。そこに「レンタル用資産の効率的な運用とレンタル単価の適正化」を続けた、という組み立てです。

単価の話は、レンタル契約の売上が伸びていることと合っていますから、そのまま受け取ります。ただ「効率的な運用」という言葉に償却の減りまで含まれているのかは、短信の文章からは読み取れませんでした。説明文に減価償却という言葉は出てきません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目9か月実績通期予想残り3か月に必要な額進捗率
売上高1,629億2,300万円2,210億円約580億7,700万円約73.7%
営業利益154億4,000万円204億円約49億6,000万円約75.7%
純利益100億6,300万円129億円約28億3,700万円約78.0%

約の付いた数字は、通期予想から9か月実績を引き、実績を予想で割った私の計算です。

進み具合は4分の3で、目安どおりです。ただ、残りの3か月に必要な額を前年の同じ3か月と比べると、営業利益は1割以上、純利益は2割以上減る置き方になっています。6月1日に上方修正した予想を、会社は動かしていません。

なぜ最後の3か月を減益と置くのかは、短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに何かあるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。

私はどう読んだか

利益が増えた中身については、単価を上げた本業の分が3分の2、償却の減りが3分の1、という見方をしています。理由は、レンタル契約の売上が実際に伸びていて、それは償却を減らしても作れないからです。

心配性なので、3分の1のほうが頭に残っています。古い機械で稼いだ利益は、機械を入れ替えた年に費用になって戻ってきます。会社が最後の3か月を減益と置いたのは、その入れ替えが始まるからだろう、と私は思っています。別の理由なら、通期の短信で分かります。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

IRスケジュール|株式会社カナモト 株主・投資家の皆様へ
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減価償却費が減った理由と、高崎事務器グループの取得価額は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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