湖北工業(6524)2026年12月期 中間決算分析――利益の伸びは営業の行だけで受け取りました

湖北工業(6524)中間決算分析――電子記録債権1,179百万円が、半年で32百万円になっていた 決算を読む

はじめに

湖北工業は、二つのまったく違う部品を作っている会社です。

一つはアルミ電解コンデンサのリード端子です。コンデンサは電気をいったん蓄えて吐き出す部品で、自動車の電装品にも、AIサーバーの電源基板にも入っています。そのコンデンサから外へ出ている二本の足、あれがリード端子です。部品の中の、さらに小さな部品を作っています。

もう一つは海底ケーブル向けの光部品です。大陸と大陸をつなぐ光ファイバーケーブルは、海の底で何十キロかごとに信号を増幅する中継器を通ります。その中継器の中で、光が逆戻りしないように止める光アイソレータなどを作っています。海底ケーブルを敷く会社が買い、私たちが海外のサイトを開くたびに、その光を通しています。

8月6日に出た中間決算です。

この決算で何が起きたか

今回前年同期増減率
売上高100億2,300万円78億7,500万円+27.3%
営業利益29億4,900万円18億1,200万円+62.7%
経常利益31億5,100万円12億9,700万円+142.9%
純利益21億2,300万円6億400万円+251.0%

売上が3割近く増えて、営業利益が6割増えました。ここまでは1ページ目の話です。その下の経常利益と純利益は、増え方が急に大きくなります。この差がどこから来たのかを、損益計算書まで下りて確かめました。

経常と純利益の勢いは、前年に沈んだ分の裏返しです

損益計算書の営業利益の下に、答えが二つ並んでいます。

前年同期今回
為替差損益5億6,000万円の差損1億7,700万円の差益
減損損失3億1,000万円無し

前年の上期は、為替で5億6,000万円を失い、光部品の子会社で3億1,000万円の減損を出していました。今年はどちらも無く、為替はむしろ1億7,700万円の益になっています。差損から差益へ動いた分だけで7億3,700万円。これは私の引き算ですが、経常利益の増えた分18億5,400万円のうち4割がここです。

減損の3億1,000万円は、前年だけに載った特別損失です。今年は無いので、純利益はその分そのまま持ち上がります。純利益3.5倍という数字は、今年が強かったのと同じくらい、前年の底が低かったからです。

だから、この決算をどれだけ評価するかは営業利益の6割増で決めるべきだと考えています。それでも6割増は大きい。営業利益率は前年の23.0%から29.4%へ上がっています。

利益の8割を、光部品が稼いでいる

セグメントの表に行くと、二つの事業の姿がまるで違います。

売上高セグメント利益利益率
リード端子事業53億6,000万円5億4,900万円約10%
光部品・デバイス事業46億6,200万円24億円約51%

約の付いた利益率は、私がセグメント利益を売上高で割ったものです。

売上はリード端子のほうが大きいのに、利益は光部品が24億円。営業利益29億4,900万円の8割にあたります。海底ケーブルの中継器に入る部品は、値段の付き方が別物です。利益の中身は、ほぼ光部品専業の会社と同じだと私は受け取りました。

リード端子は、アルミと銅の価格が上がりました。3か月ごとに販売価格へ自動で転嫁する仕組みなので影響は無い、ただ2026年前半の急な上昇は一時的に受けた、と5ページ目にあります。利益率1割の事業は、この転嫁の遅れをそのまま食らいます。

光部品の売り先が、イギリスからアメリカと日本へ動いている

セグメント表には地域別の売上も載っています。ここに5ページ目の説明文と重なるものがありました。

光部品・デバイス事業前年同期今回
イギリス16億500万円13億7,100万円
アメリカ12億3,100万円18億1,400万円
日本4億7,900万円10億4,300万円

イギリス向けだけが減っています。5ページ目には「一部顧客において、前半は新製品への切り替えに伴う一時的な在庫調整が発生した」とあります。その顧客がどこの国かは、決算短信には書かれていません。私はこのイギリスの減りと、その在庫調整を重ねて読みました。この読みが当たっていれば、後半は回復傾向とも書いてあるので、下期には戻ってくる数字です。

電子記録債権が、ほぼ消えている

貸借対照表で一つ引っかかりました。電子記録債権が、前期末の11億7,900万円から3,200万円になっています。……11億が、3,200万円になっている。

売上が3割近く増えた半年で、債権が減る。売掛金は4,100万円ほど増えているだけなので、減ったのはほとんど電子記録債権です。キャッシュ・フロー計算書を開くと、営業キャッシュ・フロー40億8,300万円のうち、売上債権の減少が12億6,100万円を占めています。前年の同じ半年は、逆に債権が4億6,700万円増えていました。この一行の振れ幅だけで、前年からの営業キャッシュ・フローの増え方の半分近くが説明できます。

なぜ減ったのかは、決算短信には書かれていません。回収の方法を変えたのか、たまたま期日が6月末までに集中したのか。もし後者なら、次の四半期には債権が戻り、営業キャッシュ・フローはその分だけ元に戻ります。現金及び預金が110億500万円まで積み上がった中身の一部は、その戻りを待っているお金です。

会社はどう説明しているか

7ページ目に、両事業とも期初の想定を上回ったとあり、通期予想を上方修正しています。下期については、リード端子はAIサーバー向けコンデンサが好調に推移する、とあります。光部品は長距離海底ケーブル向けの受注増加と、多芯化に伴う新製品で、期初の想定を上回るとも書かれています。

一つ留保を付けます。下期の前提為替は1米ドル160円です。上期の期中平均は158.29円でした。今年の為替差益1億7,700万円は、円安が進んだから出た数字で、前年はその逆で5億6,000万円の差損になりました。営業外の行は、会社の仕事ではなく為替の方向で決まります。ここは信じるものではなく、眺めるものだと考えています。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想進み具合残り6か月に必要前年下期比
売上高222億3,800万円45.1%122億1,500万円+27.5%
営業利益67億5,400万円43.7%38億500万円+35.4%
純利益46億1,800万円46.0%24億9,500万円+4.5%

進み具合と残りの額は、通期予想から今回の実績を引いた私の計算です。

売上と営業利益は半分弱まで来ていて、残り6か月に前年の下期より3割半ほど多い営業利益を求める置き方です。上方修正した直後に、下期をさらに強く見込んでいます。

一方で純利益の残り6か月は、前年の下期とほぼ横ばいです。営業が3割半増なのに純利益が横ばいなのは変に見えますが、これは上に書いた裏返しの続きです。前年の下期は為替差損も減損も無かったので、すでに高い水準でした。前期の純利益は29億9,200万円です。そこから上期の6億400万円を引いた23億8,800万円が、前年の下期の純利益です。今年の下期はその上に、営業外を当てにせず本業だけを積む予想になっています。

私はどう読んだか

この決算の見方は二つあります。純利益3.5倍を額面どおり受け取るか、営業利益6割増で受け取るか。私は後者の見方をしています。理由は、営業外と特別損失を除いたあとに残るのが、売上原価が売上より遅れて増えた分、つまり本業の改善だけだからです。

売上総利益は45億1,600万円で、売上高で割ると45.1%。前年の売上総利益は32億5,300万円です。売上高78億7,500万円で割ると41.3%でした。この差は私の割り算ですが、粗利の改善は損益計算書の数字で、3か月で消える種類のものではありません。

心配は二つ残ります。利益の8割が光部品一本に乗っていること。海底ケーブルは案件ごとに動くので、次の案件までの間が空けば、この利益率はそのまま落ちます。そして電子記録債権の減りが、営業キャッシュ・フローをどれだけ一時的に持ち上げたのか、次の四半期まで分からないことです。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260806/140120260805510640.pdf

電子記録債権が11億7,900万円から3,200万円へ減った理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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