FUJI(6134)第1四半期決算分析――受注残高が1年で40,465百万円から90,320百万円へ、売った分より積み上がっていた

FUJI(6134)第1四半期決算分析――受注残高が1年で40,465百万円から90,320百万円へ、売った分より積み上がっていた 決算を読む

はじめに

FUJIは愛知県の会社で、マウンターと呼ばれる機械を作っています。スマホや車の中に入っている電子基板の上に、米粒よりずっと小さい部品を高速で正確に並べていく機械です。私たちが電子製品を買うことはあっても、この機械を買うことはありません。買うのは電子機器メーカーや、製造を請け負うEMSと呼ばれる会社です。つまり、世界のどこかで「電子製品をたくさん作ろう」という設備投資が起きると、この会社に注文が入る仕組みになっています。ほかに工作機械や半導体製造装置もやっていますが、売上の9割以上はこのロボットソリューション事業です。

8月3日に出た2027年3月期の第1四半期決算を読みました。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高60,59741,521+45.9%
営業利益15,2125,199+192.6%
経常利益15,8835,631+182.0%
純利益12,6225,683+122.1%

(単位:百万円)

売上が4割半ば増えて、営業利益はほぼ3倍。営業利益率は前年同期の12.5%から25.1%へ、ちょうど倍になっています。あわせて通期予想も引き上げました。1ページ目だけでも十分に強い決算です。

最初の表では分からなかったこと

売った量より、積み上がった量が多い

引っかかったのは、短信の9ページ目、受注及び販売の状況です。今回の受注高は85,784百万円。売上高60,597百万円より2万5千百万円ほど多く受けています。その結果、受注残高は前年同期の40,465百万円から90,320百万円へ。1年で2倍を超えました。

売上の伸びは過去の注文の結果ですが、受注残は未来の売上の在庫です。この積み上がり方は、1ページ目の業績表には出てきません。

純利益には売却益が入っている。ただし前年も入っていた

損益計算書を見ると、特別利益に投資有価証券売却益が2,046百万円あります。純利益12,622百万円のうちの一部は本業の外から来ている。……ただ、前年同期にも同じ売却益が2,563百万円ありました。むしろ前年のほうが多い。だから純利益の伸び+122.1%は、売却益で膨らんだ数字ではありません。営業段階だけで+192.6%です。ここは疑って読みに行って、疑いが晴れた形です。

タイ向けが跳ねている

地域別の売上を見ると、タイ向けが前年同期の1,232百万円から8,532百万円になっています。会社の説明では、タイ・ベトナムを中心としたアジア地域でAIサーバー関連とスマートフォン向けの設備需要が高水準だったとのこと。電子製品の生産地図が動いている感じが、この一列に出ています。

全部が良いわけではない

マシンツール事業(工作機械)は売上が半分近くまで減って、営業損益は184百万円の損失です。会社は自動車関連の設備需要が低調と書いています。ただしこの事業の売上構成比は全体の2.2%。全社を左右する大きさではありません。

キャッシュ・フロー計算書は無い

私はいつもキャッシュ・フロー計算書まで読みに行くのですが、この短信には「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」と注記されています。第1四半期はこれが認められているので珍しいことではありません。代わりに貸借対照表を見ると、現金及び預金は前期末から9,103百万円増えています。利益が現金にならないまま売掛金や在庫に化けている、という気配は、この範囲では見えませんでした。

会社はどう説明しているか

短信では、NXTRというモジュール型の装着機を拡販の軸にして、性能向上と機能拡張が評価され様々な業種で需要が拡大した、と説明しています。説明会資料のほうには、高速装着機を旧機種のNXTからNXTRに一本化したこと、地域構成の変化が利益率を押し上げたことが書かれていました。これは説明会資料の記述で、短信には一本化の話は出てきません。

需要が増えただけでなく、売る機械を新しい一機種に絞ったことが利益率を押し上げた、という説明は、営業利益率が倍になったこととつじつまが合います。ここは会社の説明をそのまま受け取ってよいと思っています。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目通期予想進捗率
売上高244,00024.8%
営業利益60,00025.4%
純利益44,00028.7%

(単位:百万円。3ヶ月経過時点の目安は25%)

上方修正した直後の予想に対して、ちょうど4分の1のところにいます。修正したばかりの予想と足並みが揃っているのは当然といえば当然で、勝負は残り9ヶ月です。残りの期間、営業利益は前年の同じ期間より9割近く増えるペースが必要になります(これは渡された計算値です)。強気な置き方ですが、受注残90,320百万円がその裏付けとして置いてある、という構図です。

私はどう読んだか

良いほうに寄せて読んでいます。理由は、利益の増え方が営業段階から来ていること、売却益は前年も同規模あって水増しではないこと、そして何より受注残が売上を追い越して積み上がっていることです。心配性の私が下振れの種を探しに行って、見つかったのが構成比2.2%の工作機械の赤字だけだった、というのが正直なところです。

ただし受注は取り消されることもありますし、AIサーバー向けの設備投資がいつまでこの勢いなのかは、私には判断できません。読み違えかもしれません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260803/140120260803506270.pdf

タイ向け売上が1年で1,232百万円から8,532百万円まで跳ねた中身──どんな顧客の、どんな案件なのか──は、短信からも説明会資料からも読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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